方向音痴はつらいよ

　「ァ。203の奥さん、すみません。私

ベランダに締め出されちゃって。ハハ

ドア開いてますから、入って来て、

窓を開けて頂けませんか？」

「ハイ。今すぐ。」

「片方の部屋の窓を拭いて、窓の鍵

閉めて、もう片方の部屋の窓を拭いて

ベランダに出て、窓を拭いたら、

出て来た方の部屋の雨戸、外から

閉めちゃってハハハハ

雨戸って外から開かないのね。

　見たら203のお部屋　お布団が干して

あったから、もうすぐ、ベランダに

出ていらっしゃると思って…

　有難う御座います。

お陰で助かりました。」

「いえいえ、どういたしまして。ハハ」

「201の部屋　引っ越してしまいましたね。でも直ぐに　次の方　越していらっしゃいましたね。新しく越して来た方

ご挨拶に見えました？」

「イイエ、ウチには…」

　世の中色々な人が居るもので、新しい

201の人は挨拶が無い。

　

　アパートには実に色々なセールスの人が来る。

　201の奥さんは　来るセールスの人を　手を引く様に部屋に引き入れて、

ジックリ話を聞く様子。

その為　屋根には太陽光温水器も付けた

　そして、どうやら今日はお引越しだ。

引っ越して行く時も挨拶無しか…と

思った時　ピンポーン。

「ハイ」

「お金　5000円貸して！」

201の奥さんは、手をズット前に突き出して立っている。

アァ、ピンポーンでドアを開けちゃダメなんだぁ…

「お役に立てません。」（ニッコリ）

「ダメなの？」

「ハイ」

と、ドアを締めた。

　いろんな人が居るものだ。

　　　　　　　┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ