ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

畑の春の花

2017年06月02日 | 沖縄01自然風景季節

 ガジ丸ブログの読者になってくれているひえじまちえさんのブログには、いつも花が一杯である。そこに虫はいない。静岡の友人、才色兼備のKさんとメールのやり取りをたまにやっていて、花や動物の写真を送っているが、彼女も花には興味を示すが動物全般には無関心。友人のアラサーA嬢や、従姉の息子嫁M嬢も花は好きみたいだが、虫は不倶戴天の敵のように嫌っている。しかし、美女たちに盾突くが、私は虫にも興味がある。
 私は、オジサンと呼ばれる歳になってからだが、花にも実にも鳥にも虫にも興味を持つようになっている。「ミミズだーって、オケラだーって、アメンボだーって、みんなみんな生きているんだ友達なんだー」と感じている。ハチに何度も刺され、毛虫に何度も被れさせられていても、彼らは「みんなーおなじー地球の仲間ー」だと思っている。
 花にも実にも鳥にも虫にも興味を持つようになったオジサンは、それらの写真を撮り、それらが何者であるか調べて、それを記事にして、それがガジ丸HP及びブログとなっているが、花と虫との間に私の場合エコ贔屓は無い。概ねの話だが、女は見た目きれいなのが好き、男は見た目だけでなく自然のモノが好きということではないだろうか。

 「一寸の虫にも五分の魂」らしいが、身長170センチの後期オジサンにだって10センチくらいの色気は残っている(と思っている)ので、女性にモテたいという気持ちもまだいくらか残っている。そこで、今回は女性受けするように花の写真の紹介。

 沖縄は年から年中、何かしらの花が咲いているが、そんな中でも春は多い。畑の花だけでもクチナシ、ハクチョウソウが咲き、パッションフルーツ、バナナ、パパイアなどの果物が咲き、ゴーヤー、インゲンなどの野菜が咲き、シロツメクサ、タンポポなどの雑草が咲いている。畑の周辺ではゲットウ、テッポウユリなどが咲いている。
 今回は3月から5月に咲く春の花の紹介。

 3月
 野菜、果樹の花
 
 アスパラガス

 
 バジル

 
 ダイコン

 
 ウズラマメ

 
 モモ 開花期:3~4月

 4月
 野菜、果樹の花
 
 ニンジン
 
 
 ニンニク

  
 タマネギ
 
 
 トマト

 
 パッションフルーツ 開花期:4~5月

 
 ストロベリーグヮバ 開花期:4~5月

 その他の草木
 
 クチナシ 開花期:3~5月
 
 
 ハクチョウソウ 開花期:4~6月

 5月
 野菜、果樹の花
 
 ゴーヤー

  
 キュウリ

  
 ドクダミ
 
 
 バナナ

 
 グヮバ 開花期:4~5月
 
 
 コーヒーノキ 開花期:4~5月
 
 その他の草木
 
 ゲットウ 開花期:4~6月
 
 
 テッポウユリ 開花期:3~5月
 
 
 ギョクシンカ 開花期:5~8月

 記:2017.5.21 ガジ丸 →沖縄の生活目次


スーマンボースー

2017年05月19日 | 沖縄01自然風景季節

 先週土曜日(13日)、沖縄気象台は沖縄地方の梅雨入りを宣言した。その日はその通りの大雨となり、雨は翌日明け方まで続き、朝は小雨となり午前中まで続いた。その日の午後は降らなかったので、畑へ出掛け、草抜きなどの作業ができた。
 月曜日(15日)、天気予報では「夜から雨」だったので、「布団干しのチャンスだ」と車に布団を載せ、畑に持って行く。空は晴れているが、空気が湿っているので「干すのは11時頃から」と決める。ところが、11時頃になると雲が多くなり、「陽が射さないと意味ない」と、布団を干さずにいたのだが、それは大正解だった。昼飯食った12時過ぎから大雨となる。雨は時々小雨になったが、概ねは土砂降りで、夜まで続いた。
 雨は「夜」までではなかった。翌日16日の夜中土砂降りの雨音で目が覚めた。未明も時々目が覚めた。雨は朝まで続いた。「朝」までではなかった。その日は昼間もずーーーっと「大雨、時々小雨」となり、今年はその名に恥じぬ梅雨入りとなった。
     
     

 スーマンボースーとは沖縄語で、漢字で書くと小満芒種。小満も芒種も二十四節季の一つ。小満は「4月の中。太陽暦の5月21日頃に当たる」(広辞苑)で、芒種は小満の次の節で「5月の節。太陽暦の6月5日頃に当たる」(〃)のこと。今年の小満は5月21日で、芒種は6月5日と広辞苑の通りとなっている。
 小満芒種は『沖縄大百科事典』に記載があり「梅雨の代名詞」とのこと。私の経験でも小満芒種は「梅雨時のことだな」と認識していた。であるが、梅雨入りの平年値(たぶん最近数年間の平均値)は数年前まで5月5日で、今の平年値は5月9日である。5月21日ではちょっと遅かろうと思うが、だいたいそんなもんということだろう。梅雨明けの平年値は6月23日だ。芒種の終わりは6月20日頃なのでほぼ当たっている。

 今年は少雨傾向であった。私としてはそんな傾向を感じていなかったのだが、4月、ラジオからのニュースで「ダムの貯水率が50%を切っている。例年より20%ほど低いらしい」と聞き、「そうか、沖縄は少雨傾向だったのか」と気付かされる。
 私の感覚では、雨の日は多かったような気がしたのだが、日記を読み返すと、雨の日だった日数は例年とそう変わらない。だが、沖縄気象台のデータによると、去年10月から今年3月まで雨量が少ない。大雨の日が少なかったようである。
 4月10日は「昼前から大雨」の予報であった。素直なオジサンは予報を信じて、畑を早めに切り上げ、あれこれ雑用の日としたのだが、雨はちらちら降っただけ。翌11日も同じく大雨の予報、その日は少し降ったが、大雨と言うには程遠かった。
 「何だこの天気予報、ピーターと狼みたいだぞ」と思い、「大雨が降るぞー!」と言って降らないから「ピーターと大雨」でお話でも作ろうかと少し考え、「ビーチャー(トガリネズミ)と大雨」というタイトルも考えたのだが、面白い話は思い付かなかった。
 しかし、こちらのピーター(沖縄気象台)は3度目の正直で、4月18日火曜日、大雨の予報があって、その通り朝から土砂降りとなった。久々の大雨だった。

 ところがその後しばらく、またも少雨傾向となる。過去5年間(2012~2016)の、4月の月間降雨量平均値は222ミリだが、今年はたったの67ミリ。「沖縄のダム貯水率は大丈夫かいな」と思っていたが、5月13日の梅雨入り以降、一昨日5月17日まで雨はたっぷり降った。沖縄のダムもきっと、もう大丈夫だろう。
     

 記:2017.5.18 ガジ丸 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


うーじ畑

2016年02月26日 | 沖縄01自然風景季節

 ウージはキビ(黍)のウチナーグチ(沖縄語)。沖縄でキビといえばサトウキビを差すので、うーじ畑はサトウキビ畑ということになる。少なくとも中年以上の、特に農業に携わっている人はサトウキビとは言わず、ウージと言う。

 ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
 ざわわ ざわわ ざわわ 風が通り抜けるだけ

 と始まる『さとうきび畑の唄』では、さとうきびと表現されているが、「しまうたよ風に乗り・・・」の『島唄』という歌では「うーじ」と表現されている。どちらの表現でも構わないが、とにかく、うーじ畑のある風景は沖縄であると倭国の作詞家たちは思い、うーじ畑のある風景は沖縄であるとウチナーンチュの多くも認識しているはず。

 私の育った那覇にうーじ畑は無かったが、母の実家のある南風原町には多く見られ、その景色は私も子供の頃から馴染み深い。高校生の頃、級友たちとサイクリングに出かけることが何度かあった。ヤンバル(沖縄島北部の通称)へのサイクリング、那覇を出て1号線(現国道58号線)を北上し、帰りは太平洋側へ回り329号線を南下することがあった。北上する西海岸沿い、浦添市、宜野湾市、北谷町、嘉手納町となるが、浦添市辺りから基地が目立ってくる。北谷町、嘉手納町になるとほとんど基地だ。次の読谷村まで基地はあるが、読谷からは畑も少し見えてくる。それでも西海岸は、1号線という幹線道路沿いを走っている限りでは、恩納村、名護市まで畑は少ない。
 東海岸へ渡ると畑は目立ってくる。うーじ畑も多くある。自転車を漕ぎ続けて数時間経ってくると喉も乾いてくる。悪ガキ達の中(私も入っていた)にはうーじ畑へ入って行って、うーじを少々かっぱらう者もいた。歯でうーじの皮を剥き、汁を啜った。

 私の畑ナッピバルの北隣はうーじ畑となっている。主はSさんという人。私がナッピバルを始めてからしばらくしてキビ刈があった。その時、Sさんと声を交わした。
 「子供の頃、ウージの皮を歯でむしり取って汁を啜ったのを思い出しますよ。」
 「私もよくやった。だけど、今は難しいよ。」
 「ん?何でですか?農薬がかかっているからということですか?」
 「いや、そうじゃなくて、今のキビと昔のキビは品種が違う。今のキビは害虫に強く丈夫なんだが、皮が硬く、歯で齧り取るのが難しいんだ。」とSさんは言って、笑う。
 Sさんは前歯が欠けている。私の視線に気付いて、
 「この歯はウージを齧ったせいではないよ。」と言って、さらに笑った。

 Sさんの畑はナッピバルと同じ約300坪。Sさんとその仲間達数人でやっている。Sさんの話では、「うーじは必ず買ってくれる。補助金によってまあまあの値段。仲間達と分けても小遣程度にはなる。」とのこと。「TPPになったら補助金も削減されるだろうから、やってられなくなるよ。」とも言っていた。補助金があっても家族を養う程の収入には足らず、補助金がなければ営利農業には全くならないようだ。
 うーじ畑、上記した通りいかにも沖縄の風景、それが消えてしまうのは淋しい。TPPになったとしても、大規模栽培にして何とかならないかと願う。
     
     
     
     
     
     
     
     
     

 サトウキビ(砂糖黍):農業作物
 イネ科の多年生草本。原産はインド、ニューギニア。方言名:ウージ
 甘蔗(かんしょ、かんしゃ)、または荻(おぎ)とも言う。方言名のウージはこの荻からきているのではないかとある。茎の高さ2~3m、径2~4cm。茎に10~20%の蔗糖を含み、砂糖の原料となる。沖縄にとっては大切な基幹作物。
 沖縄には13~14世紀頃に中国の福建省からもたらされたのではないかと考えられている。製糖の始まりは文献が残っているらしく、1623年、儀間真常(芋の普及にも大きな貢献をした人)が製糖法を学ばせるため福建省へ人をやったとのこと。
 たくさんの品種がある。沖縄で栽培されている8割方は同じ種類とのこと。昔は穂が開く前に収穫したと聞いたことがある。8割を占める現在の種とは違っていたのだろう。

 記:2016.9.9 ガジ丸 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


鳥たちの休み処

2015年07月31日 | 沖縄01自然風景季節

 私が借りている300坪の畑ナッピバルには1羽のイソヒヨドリが住みついている。イソヒヨドリは磯と名の付く通り海辺に近い場所で多く見られるとのことだが、沖縄では磯から離れた住宅街でも普通に見られる。私の畑の近辺でもあちこちにいる。雄にはたぶん縄張りがあって、ナッピバルにいるイソヒヨドリはナッピバルのすぐ傍に住処があり、ナッピバル近辺を縄張りにしているのであろう。他の鳥がやってくると追っ払ったりするので、私は彼をナッピバルの番鳥とし、河原万砂(かわらばんさ)と名付けた。

 万砂はモテない男みたいである。鳥たちの恋の季節は春、3~4月頃だと思われるが、その時期、彼もしきりに囀っている。去年の春もそうやっていたが、雌は住みついてくれず、6月から8月の初めにかけて彼は姿を消した。「傷心旅行でもしているのか」と私は勝手に想像したが、8月の初めには戻ってきて、今年の春も元気に囀った。
 万砂は努力する男みたいである。今年の春はたびたびナッピバルから消えた。あちらこちらに遠征して恋人探しをしていたのかもしれない。そんな努力はきっと男を磨く。男の逞しさを身に付けたか、見た目が良くなったか、囀り方が上手くなったのか知らないが、去年も一昨年も恋人ができなかったが、今年はできた。雌が2羽もやってきた。
     
 2羽の雌は5月の中頃から姿を見せ、万砂の恋人に立候補したようで、その後どのような選考過程があったかは知らないが、しばらくすると雌は1羽となった。万砂はその1羽と家庭を持ち、子作りをし、子育てをしていると思われた。ところが、6月になると万砂の姿が時々消えた。「あいつ、どこぞに妾でも作ったか」と私は想像した。
 浮気者(かもしれない)万砂も7月になるとナッピバルにほぼ常駐している。雌もたびたび姿を見せている。「子育てに忙しいのかも」と私は想像している。
     


 ナッピバルにはイソヒヨドリだけでなく他の種の鳥もやってくる。スズメ、メジロ、シジュウカラ、ウグイス、セッカ、ヒヨドリ、タイワンシロガシラ、キジバト、リュウキュウツバメ、ズアカアオバト、ハシブトカラスなどは年中いる。以上の内、リュウキュウツバメ、ズアカアオバト、ハシブトカラスは周りの森の中に住処があるようで畑に降りて来ることはほとんどないが、スズメとキジバトはしばしば畑に降りて来る。枯れ草を突っついたり、草の実などをついばんでいる。他の種は畑の果樹などに時々留まっている。
 季節季節にやってくる種もある。秋になるとキセキレイ、ハクセキレイ、ダイサギ、チュウサギ、コサギなど、何を食べているかは知らないが、彼らは畑の中をウロチョロ歩いている。ジョウビタキが畑の構造物の上でひと休みしているのも見る。ミサゴやサシバが上空を飛び回るようになり、彼らは地上には降りず、向かいの森の樹上に留まる。
 秋深くなるとシロハラが畑の草の中でガサガサし、冬になるとオオタカが畑の周りの樹上や電柱の上に来る。シマキンパラという種は、文献には1年中見られると書かれてあるが、私の畑では秋から冬の間にやってきて、畑の果樹などに留まる。

 ナッピバルを始めたのは2012年の夏なので、この夏で満3年となった。2012年の夏、灼熱の中、除草や開墾作業に大汗をかきながらも彼の鳴く声に私は気付いた。その独特の鳴き声は知っている。「おっ、森の中にアカショウビンがいる」で間違いない。寒くなるとアカショウビンの声は聞こえなくなったが、毎年春になると戻ってきた。
 アカショウビンは鳴き声だけでなく、その姿も独特である。ぜひともお目にかかり、その姿を写真に撮りたいと思い続けていた。今年(2015年)5月5日、畑仕事をしている時に彼の声が近くに聞こえ、その後、彼が私の近くを飛び、その姿を初めて見た。見紛うことなくアカショウビン、しかしながら、カメラを手にする余裕は無かった。
 独特の鳴き声の持ち主がもう1種いる、ホトトギス。その声に気付いたのは2013年の梅雨時であった。その時期になると毎年鳴き声は聞こえている。甲高く、澄んだ声なので「ホトトギスがいるぜ」とすぐに気付く。彼は上空高く飛んで、ナッピバルの周りの森を渡っている。西の森から東の森、あるいは東の森から西の森へ渡る時、ナッピバルの上空を飛ぶこともある。その時、鳴き声はひと際大きい。
 声が大きく聞こえた時は「おっ、上空を飛ぶぜ」と判断できる。そんな時に、私が休憩中で近くにカメラがあり、カメラを構えたことが2度ばかりある。上空にカメラを向け、左目でホトトギスの姿を確認し、右目でファインダーを覗き、ズームする。が、ズームした時のピントは合わせにくい。何度かシャッターを押したが全て失敗に終わった。
 ある日、ホトトギスがいつものように甲高く、澄んだ声で鳴きながら畑の上空を飛び、100mほど先の梢に留まったことがあった。すぐにカメラを取りに行き、ズームで写真を数枚撮った。止まっているものはピントも合わせやすい。が、100mはさすがに遠過ぎて、写真は鮮明でなく、写っている者がホトトギスかどうかの判別ができない。でも、鳴き声は確かにホトトギス、よって、写真に写っている鳥もきっとホトトギス。

 私が借りている300坪の畑ナッピバル、その周辺は畑を囲む3方の森を含めて、鳥たちの休み処となっているようだ。まだ姿は見ていないが、上記の鳥たちのどれでも無い鳴き声も何度か聞いている。自然が活き活きとしている場所なのだと思う。そんな恵まれた環境にいる間に、まだ見ぬ鳥も含め、アカショウビン、ホトトギスの写真は撮りたい。
 ちなみに、上に挙げた鳥たち、それらの、沖縄島で見られる時期を記しておく。

 アカショウビン 4~10月
 ウグイス 周年
     
 オオタカ 12~3月
     
 キジバト 周年
     
 キセキレイ 9~4月
     
 コサギ 9~6月
 サシバ 10~4月
     
 シジュウカラ 周年
     
 シマキンパラ 周年
     
 ジョウビタキ 10~3月
     
 シロハラ 11~3月
     
 ズアカアオバト 周年
 スズメ 周年
     
 セッカ 周年
     
 ダイサギ 9~5月9-5
     
 タイワンシロガシラ 周年
     
 チュウサギ 9~5月
     
 ハクセキレイ 9~4月
     
 ハシブトカラス 周年
     
 ホトトギス  5~9月
     
 ミサゴ 9~5月
     
 メジロ 周年
 リュウキュウツバメ 周年
     

 記:2015.7.29 ガジ丸 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『野鳥ガイド』唐沢孝一著、株式会社新星出版社発行


猪鹿猿と鼠猫人

2014年11月14日 | 沖縄01自然風景季節

 中学生の時、私は決して不良少年ではなかったが、賭け事をして(不良か?)遊ぶことがたまにあった。ソロとかカブとかいう名前のトランプゲームがあった。何人かで遊び、それぞれにカードを2枚ずつ配り、その組み合わせで勝ち負けを決める。スペード、ハートなどの柄別にA、K、Q、J、10、9・・・と2枚揃ったらソロと言い、その順に強い。A、K、Q、Jはそれぞれ10点とし、2枚の数字を足して下1桁が9になるとカブと言い、それがその次強く、8、7、6・・・の順になる。0点はブタと言った。
 トランプの他に花札もやった。重ねて言うが、私は決して不良少年ではない。親しい友人にそういうのが好きな者が何人かいて、付き合わせられただけだ。付き合いでやって楽しく遊んだだけだ。楽しく遊ぶ、健全である。大人になってからだが、正月になると家に伯母が来て両親と一緒に、僅かな金額を賭けて花札を楽しんでいた。私はそれに参加しなかったが、家の中に明るい笑い声が満ちた。正月早々明るい家、健全である。

 花札の遊び方、中学生の時なのでもうほとんど忘れてしまったが、2通りあり、1つはトランプのカブと同じように2枚ずつ配って、2枚の数字を足して下1桁が9になるとカブと言い、それが一番強く、8、7、6・・・の順になる。もう一つの遊びは点数の多さを競った。花札には役(やく)というものがあり、それが大量点となった。私が覚えているのは五光、月見、花見、松竹梅、いのしかちょうなどといったもの。
 いのしかちょう、漢字で書くと猪鹿蝶、札にそれらの絵が描かれている。語呂が良いので、私はその役を早く覚え、それらの札を集めるのが好きであった。
  表題の猪鹿猿。何のことかと言うと、9月末、岐阜の伯母を訪ねた際、伯母の口から出た言葉で、「この辺りには猪と鹿と猿がいっぱいいて、畑の作物を荒らすのよ。」とのこと。「いのしかさる」から花札を思い出し、こんな前書きとなった。

 「沖縄にはいないの?」
 「猪はヤンバル、沖縄島の北部のことだけど、そこには多くいて、やはり畑の作物を荒らすと大宜味(おおぎみ)、ヤンバルの村の一つだけど、そこで有機農業をやっている知人から聞いている。鹿は慶良間にしかいな い、それも本土から持ち込んだもので、沖縄には元々いない。猿は動物園にしかいない。野生は元々いないようだ。」
 「ということは、あんたの畑には作物を荒らす動物はいないってことね。」
 「いや、自分は直接被害を受けたかどうか確認できていないけど、野ネズミはいる。近所の先輩農夫の話では、あれこれ悪さをすると言っていた。」
 「ネズミくらいなら大した被害はないんじゃない?」
 「それと、野良猫がいる。作物を荒らしているかどうか不明だけど、一度、畑小屋に置いてあった私の食べ物を盗まれたことがある。あっ、そうだ、大きな被害を与える動物がもう一匹いた。隣のキャベツ畑はそいつに600個ものキャベツを盗まれた。」
 「盗まれたって、あーそうか、野菜泥棒がいるってことだね。」
 岐阜で畑の敵となる(哺乳)動物は猪鹿猿のようだが、私の近所では人がいる。
     
     

 記:2014.11.11 ガジ丸 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行