半年ほど前だったか、・・・日記を調べると去年の10月中頃だから約9ヶ月前のことであった。ラジオの情報番組で面白い話を聞いた。確か「異才発掘プロジェクト」について語っていたと記憶している。この先、世界がどう変わっていくかわからない。そんな社会で画一的教育を受けた普通の人ばかりでは対応できないかもしれない。そんな社会で必要となる者は異才の人である。といった内容。
「あー俺も異才だったかも」と不遜にも思った。だからまともな仕事に向かない、結婚に向かない、のではないかと思った。他人の感性に合わせることのできない異才なのではないか、と考えてもう1つの言葉が思い浮かんだ。発達障害、これもラジオからの情報。ラジオで聞いただけなので正確には覚えていないが、後日、ネットで調べた。
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさと、その方が過ごす環境や人間関係とのミスマッチから、社会生活に困難が生じる障害のことをいいます。
とのこと。
半年ほど前だったか、・・・日記を調べると去年の12月末頃だからこれは確かに半年ほど前のこと。あるラジオ番組で「すげぇ!」と感心する人がゲストに出ていた。ゲストは伊是名夏子さんという人。ラジオで紹介された限り、私が覚えている限りで言えば、
年齢はたぶん30代後半、2児(上は6才)の母、身長100センチ、体重20キロの女性。生まれつきの骨の病気でその体格とのこと。それで、子供を産み育て、なおかつ働いてもいる。ハンデに負けない「何糞!」根性をお持ちの人のようである。
で、それ以前に私が「何か面白そう」と記憶していた「異才」と「発達障害」が頭の中に蘇ってきた。伊是名夏子さんは肉体的発達障害で、類まれなる異才ではないかと。
「異才発掘プロジェクト」は日本財団という団体がそういった子供達を選んで教育援助しているらしい。現状の教育現場に馴染めず不登校傾向にある小・中学生が対象で、興味関心や特性に応じたプログラムを提供しますとのこと。
伊是名夏子さんは「異才発掘プロジェクト」に頼らずとも、自らの力でその類まれなる異才を発掘し、その才を伸ばし、見事に輝かせたということであろう。体重20キロしかない女性が、子供を産みちゃんと育てている。子供を育てることにおいてできなかった難しいことも多くあっただろうに、子供を育てるに遥かに大きな才能があったのだろう。
「あー俺も異才だったかも」と不遜にも思って、「俺が社会に順応できないのはそのせいだぜ、順応できないので会社をクビになり貧乏になってしまったんだぜ。」と思って一旦は良い気分になる。「生まれたのが早すぎたんだな、世が世であればって奴だな。」とさらに調子に乗る。「50年後、地球に危機が来た時には俺が救えるかもしれない。」などとお調子モンは留まるところが無い。で、さすがの私もここでブレーキ。
私がまだ若ければ、「貧乏でもいいさ、他人に迷惑を掛けなければいいさ、生きていればいいさ、いつかその異才が必要とされる時が来たら花開けばいいさ」と考え、そのいつかを待てばいいのだ。がしかし、ここで正気に戻る、「オイオイ、鏡を見よ、俺は若くないぞ、人生の幕をどう閉じるかを考えるような年齢に既になっているぞ」と気付く。それでもなお、「時代に合わなかっただけ、花開かずに散る異才もある」ということにした。
記:2019.7.5 島乃ガジ丸