こういう商売をしていると、今は時代遅れとなって誰にも使われなくなった
道具が集まりやすい。
このだるま時計もそうしたもののうちの一つ
明治時代にアメリカからはるばる船に乗ってやってきたらしい。
月に2~3回くらいねじを巻いてやる。
ゼンマイ式なので、巻きが足らなくなると遅れだす。
古時計の収集家は、止まるまで巻かないようにと昔アドバイスをくれた。
常に同じ回数だけ巻くことが、時計を長持ちさせる方法なんだそうだ
この方が旅立たれてもう10年以上たつ。
ある日、動かないままホコリにまみれていたこの時計と目が合ってしまった。
かわいそうになって連れて帰り、また動けるように直してもらった。
20年くらい前はまだ振り子時計を修理できる店が商店街の中にあったが、
時計が古びていくとともに、修理できる人も年で引退していく。
今は探すのに苦労し、また探し当てても修理費がかさむ。
だが人が大切に扱うことで、品物の寿命は格段に延びる。
定時になると鐘が鳴る。
一世紀以上前の代物だが音はかくしゃくとしている。元気がなくなってくると、
一世紀以上前の代物だが音はかくしゃくとしている。元気がなくなってくると、
音までヘロヘロしてくるところが、これまた人間的でいい。
アバウトな時刻しか示すことはできないが、振り子時計は無機質な時の流れに、
人間味のある暖かさを加えてくれるような気がする。
夜になると外が静かになり、針の動く音が室内に響く。
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