一時は日本公開が危ぶまれた作品です。
その理由は、はっきりしませんが、一応"諸般の事情"ということだったようです。
まして、この話が事実であるということで、どんなものか興味がありました。
物語としては、案外と平凡で娯楽性の強いものでしたが、戦争の裏側でなにが起こっていたのかを知る映画でした。
そして、話題と言えば、この映画は、監督、製作、脚本、そして主演が、ジョージ・クルーニーということです。
1944年7月、美術品を奪還するために、芸術の専門家7人がフランス・ノルマンディーに上陸します。
しかし、ヨーロッパ各地を捜索するもすべて奪われた後で、そんな中、敗北を悟ったヒトラーは、ドイツが敗北すれば全てを破壊することを命じます。
専門家に犠牲者を出し、奪略品を爆破すると知り、実戦経験なしの専門家は、焦り始めます。
奪略した美術品はどこにあるのか・・・
ナチスは、「総統美術館」の建造をもくろんでいました。
この映画では、多くの美術品が登場します。
これらの複製も、この映画の見所なのでしょう。
ベルギー ヘントの祭壇画 ベルギー ブルージュの 聖母子像
上記2点は、2011年、ベルギーにて撮影したものです。 詳しくは「当ブログのカテゴリーのオランダ・ベルギー旅行を参照してください。
もう一つの見所は、派手な戦闘場面がないのですが、戦争映画さながらの戦場の雰囲気と、ヨーロッパの都市が戦争で破壊されている様子を映し出し、激しい戦闘が起こったことを思い出させることにあったようです。
専門家に犠牲者を出し、人命と美術品とどちらが尊いのかをも問うている作品でもあります。
奪略という形の美術品への愛着をもつヒトラーの蛮行をも指摘しているようです。
どのようにして、敗走しているドイツ軍から、取り戻してゆくのかは映画を見ていただくとして、最後に見つけ出されるミケランジェロの「聖母子像」は、ベルギーのブルージュで見たのを思い出し、ノイシュバンシュタイン城が映し出された時には、ヨーロッパ旅行の時が蘇りました。
ともかく、この映画は、戦争映画とは違い、戦闘ではない戦争で起こった出来事を改めて感じさせられた映画でした。