「検察側の証人」ならわかるのですが、「検察側の罪人」とはどういうことなのか・・・
「時効」がこの物語の着想の発端で、検事を作品の主題とした社会的司法ミステリーです。
物語は、初めは早いテンポで進み、後半は二人の検事の心の動きを丁寧に描いてゆきました。
なにしろ、急に大きな声や怒鳴り声が、耳に響き、これが検事の取り調べなのかと感心と驚きで見入ってしまいました。
東京地検の検事・最上毅(木村拓哉)と同じ刑事部に検察教官時代の教え子だった沖野啓一郎(二宮和也)が配属されてきた。
2012年4月、大田区で起こった老夫婦刺殺事件の複数の容疑者の中から最上は、既に時効を迎えている未解決事件の最有力容疑者の松倉重生(酒向芳)に狙いを定め、沖野はその松倉を取り調べることになった。
その松重はかって最上が関わった女子中学生殺人事件の関係者でもあった。
既に時効となった未解決事件を執拗に追い詰める最上に対して、松重は犯行を拒否し続けます。
捜査が進むにつれ、新たな容疑者弓岡(大倉孝二)が浮かび上がるなど松倉犯人説は暗礁に乗り上げます。
沖野は、やがて、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと疑問を抱きます。
そして、二人の検事は、お互いの正義を掲げて対立してゆきます。
主役の二人をも食う松重重生(酒向芳 さこう よし)の怪演ともいわれる好演
一つの犯罪に対して、検事は、他の事件の犯人をでっちあげる、つまり検事の思惑通りのストーリで罪人を作り上げる、このことが ”検事側の罪人” というタイトルなのです。
いかに、他の事件の犯人と思われていても、これを他の事件の報復で犯人憎しで検事が起訴することは、それこそ正義の名の元出来るはずがないのですが、果たして現実にあるのでしょうか・・・・