わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。
小説の感想です。
『精霊探偵』(梶尾真治著、新潮社)
妻を事故で失ったデザイナー、新海友道は、そのショックから立ち直ることができず、ほぼ自宅マンションに引きこもり日々を過ごしていた。実は新海は目を凝らして集中すると、他人の背後霊を見ることができるのだ。そのせいもあって引きこもっていた新海の世間との交わりは、マンション1Fにある喫茶店「そめちめ」のみ。そんな新海を心配したそめちめのオーナー夫婦は、以前から(背後霊の助けを借りて)ちょっと不思議な失せもの探しの能力を発揮していた新海に、失踪した妻を捜している男性を紹介する。行きがかり上、新海は素人探偵としてその妻の行方を追うこととなるが・・・?
というようなお話。
ホラーでもなく、SFでもなく。・・・強いて言えばホラー、なのかもしれませんが、カジシンさんとしては珍しい作品だった気がします。でも主人公の繊細な性格はカジシンさんの持ち味そのもの。何だかこう、頑張れ、元気出せ、と言ってあげたくなります。
失踪した人妻探しをするうちに徐々に社会復帰(?)を果たす新海ですが、彼が背後霊の助けを借りて助けてやったホームレスと、同じマンションの住人の小学生、小夢(さゆめ)ちゃんが中盤から異様に出世し(笑)、重要人物になります。ありえないよと思う反面、あったらいいな、という感じで、特にホームレスの出世物語は何だかこちらまで嬉しくなる感じです。
しかし人妻の失踪の原因が実は色んなところで自分とも深くかかわりがあったという点や、ラスト近くのどんでん返しには驚かされました。・・・そう来るとは。伏線はあったのに、やはり騙されました(笑)。
後半の諸悪の根源の正体とかラストとかには賛否両論あると思いますが、わたしは良かったと思います。誰も傷つけない優しい主人公に乾杯。
わたしも聴いてみたいよ、『板場旅情』と『城下町悲恋』(笑)。
皆様ごきげんよう。昨日の早寝の甲斐あってか、今日は元気に夜を迎えました黒猫でございますよ。
今日は『連理の枝』の試写会に行って参りました。
「涙の女王」、チェ・ジウ主演作です。
今日はチェ・ジウ→冬ソナ→ヨン様(ペ・ヨンジュン)→そういやサンヒョク役だったパク・ヨンハも一時期「もうひとりのヨン様」とか言われてたな→・・・あれっ、じゃあ、チョー・ヨンピルもヨン様じゃないの?とか思っているうちに終業を迎えました(仕事しろよ)。
それはさておき。
入院している病院を抜け出し、雨の日にバス停でバスを待っていたヘウォン(チェ・ジウ)は、通りかかった車に思い切り水を撥ねかけられる。憤慨してちょっと悪態をついたら車が止まり、中から出てきたのは軽い交通事故による検査入院のため病院に向かう途中の、プレイボーイのミンス(チョ・ハンソン)だった。ミンスはヘウォンを気に入り、軽い気持ちで口説こうとする。入院先の病院で再会したふたりは徐々に打ち解け一緒に出かけるようになり、ミンスはヘウォンに交際を申し入れる。ヘウォンの答えは「今まで傷つけてきた女性全員に謝って証拠を見せてくれたら付き合ってあげる。それまでは友達よ」というものだった。それでもふたりは度々デートを重ね、仲を深めていくが、ある日ヘウォンの見舞いに訪れたミンスは、担当医師に重い事実を告げられる。元気に見えるヘウォンは重い病気で、おそらく長くないというのだ。ミンスにそのことを知られたヘウォンは別れを切り出し、病院を退院して姿を消すが・・・?
というようなお話。
悲恋だというのは「残された時間を幸せだけで埋めてあげたい」というコピーからもわかっていたので、そのつもりで多分泣くだろうなと思って観に行きましたが、案の定泣きました。
韓国の悲恋ものって、前半(出会い~付き合うまで)は純然たるラブコメなのに、後半怒涛の展開を迎えるものが多い気がします(『猟奇的な彼女』、『わたしの頭の中の消しゴム』など)。今日の映画もご多分に漏れず、ふたりが付き合うあたりまでは本当に純然たるラブコメです。メインのふたりもコミカルなのですが、脇役の主役男女双方の親友と、病院の医師と看護婦の恋模様の展開が実に笑えます。笑っちゃ可哀想だけど(笑)。特に男性側の親友は一緒にゲームソフト会社を立ち上げた先輩なのですが、この人が笑えて笑えて。ああ馬鹿だこの人、でも頑張れという感じで非常にいい味を出してました。
ちなみに主役ふたりとも親友と一緒に住んでいたのですが、女性はともかく男二人で住むのはいかがなものかと言いますか、日本では一部の女子に過剰な反応をされるんじゃなかろうかとか、余計な心配をしてしまいました(笑)。しかも主役、ゲームソフト会社の社長だよ。すごい部屋に住んでます。日本だったらヒルズ族です(笑)。でもわたしはイケてない親友のほうが好きです(笑)。
わたしは映画を観たり本を読んだりするとき、あまり伏線に注意を払わないであとで「なんだってーーー!!」と騙されてびっくりする、製作者サイドとしてはきっと非常にありがたい存在なのですが(笑)、この映画もそういうサプライズが一箇所ありました。注意深い人は気づいたのかもしれませんが、わたしは騙され放題でした(笑)。あー、騙された。でもこれは今までの同ジャンルの映画にはなかった気がするので、ひねりがあっていいんじゃないでしょうか。
以下ちょっとだけネタバレ気味です。イヤな方はここまでにしておいてください。
悲恋ものということで、中盤以降、会場からはかなりすすり泣きが漏れ、わたしも泣いたのですが、よく一緒に映画を観てあまり泣かない友達がわたしよりも泣いていてちょっと驚きました。やはりわたしはちょっと泣きのツボが違うのかもしれません。今回だって、一番泣いたところはお父さん登場シーンですもの(※お父さんの出演時間=多分2、3分)。帰りにそれを告白したらなんか微妙な顔をされました。でも泣いちゃったんだもの。親子関係とか友達関係のほうが激しくツボに来る気がします。何故だろう。
最終的には悲しいお話ですが、面白かったです。出てる俳優さんがお好きなら是非。
それにしても斉州島は綺麗な所ですねー。一度行ってみたいな。