東京六本木の国立新美術館で開催中の「シュルレアリスム展」で、五月に来柏を予定している巖谷國士先生が講演されるというので聴講を兼ねてご挨拶してきた。巖谷先生はフランス文学者であり、美術批評家としても名高く、わが国におけるシュルレアリスム研究の第一人者である。
この講演は本来三月十二日に予定されていたが、東日本大震災の発生で延期となっていたものだ。講演は先生の大震災体験談から始まった。現在先生の監修による「森と芸術」展が東京白金の東京都庭園美術館で開催されているが、三月十一日には展覧会図録の校正の追い込みに入っていた。
午後二時四十六分の地震発生時、自宅で膨大な量の校正作業を進めていた先生は、すぐさま机の下にもぐりこんだ。東京での揺れもかなりのものだったはずだが、それでも先生は仕事をやめない。締め切りが迫っていたからだ。その後も机の下にもぐり込んだまま校正を続けたという。
恐るべきプロ根性である。「森と芸術」展は今月十六日から始まったが、大地震にもめげぬ先生の活躍で、大変素晴らしい図録が完成した。“森”を新しい視点から捉え直し、その意味と重要性について考察したもので、これまでにない美術アンソロジーとして楽しむこともできる。
リアリスムの終焉ととともに、“森”は絵画における描写の対象ではなくなったが、ひとりシュルレアリスム絵画だけが“森”を描き続けた。エルンスト、マグリットなどがその代表といえる。巖谷先生はそのことの意味を問う。
巖谷先生は五月六日に来柏され、柏崎の鎮守の森を見学されることになっている。その結果は七日の講演に反映されることになるだろう。越後タイムス創刊百周年記念講演である。
この講演は本来三月十二日に予定されていたが、東日本大震災の発生で延期となっていたものだ。講演は先生の大震災体験談から始まった。現在先生の監修による「森と芸術」展が東京白金の東京都庭園美術館で開催されているが、三月十一日には展覧会図録の校正の追い込みに入っていた。
午後二時四十六分の地震発生時、自宅で膨大な量の校正作業を進めていた先生は、すぐさま机の下にもぐりこんだ。東京での揺れもかなりのものだったはずだが、それでも先生は仕事をやめない。締め切りが迫っていたからだ。その後も机の下にもぐり込んだまま校正を続けたという。
恐るべきプロ根性である。「森と芸術」展は今月十六日から始まったが、大地震にもめげぬ先生の活躍で、大変素晴らしい図録が完成した。“森”を新しい視点から捉え直し、その意味と重要性について考察したもので、これまでにない美術アンソロジーとして楽しむこともできる。
リアリスムの終焉ととともに、“森”は絵画における描写の対象ではなくなったが、ひとりシュルレアリスム絵画だけが“森”を描き続けた。エルンスト、マグリットなどがその代表といえる。巖谷先生はそのことの意味を問う。
巖谷先生は五月六日に来柏され、柏崎の鎮守の森を見学されることになっている。その結果は七日の講演に反映されることになるだろう。越後タイムス創刊百周年記念講演である。
(越後タイムス4月30日「週末点描」より)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます