映画画面の中の人物や物が、観客席まで浮き出して見える、初の本格的な3D映画であり、巷間アカデミー賞作品賞、監督賞の受賞候補作品でもあった”アバター”を先月見に行った。
聞くところによれば、IMAX方式が最も良く、また3D効果により文字まで浮き出て来て見づらいので、吹き替え版が良いと聞いていたので、数少ないIMAX劇場である川崎シアター7まで、わざわざ朝っぱらから見に行ったのでのである。
ストーリー的には、戦争を起こす最大の原因である資源確保のための武力行使という、人類が繰り返す愚行を皮肉ったシニカルで、警告的なメッセージを含む内容でもあり、決してスタ-ウォーズのような単純なSF娯楽映画でもなっかったように見えた。
そして、立体3D映画という視覚娯楽手法での一種の革命的な試みによって、映像史的にも画期的な作品であり、かつ興行的にも大成功をした作品でもあるのだが・・・。
一般的には、アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男女優賞などの主要部門では、SF作品は受賞出来ないようだ。スターウォーズや未知との遭遇などがその例ではあるのだが、オズの魔法使いやロードオブザリングなどのファンタジー系は、そうではないようである。つまり、アバターもファンタジー系という見方もあったとは思うのが、結果としてはアカデミー賞では惨敗だったようだ。
では、一体何が原因だったのだろうか・・・。
これは、飽くまでも推測だが、悪役も善役も元海兵隊員という設定にしてしまった事が、一部の米国民及びその家族から諸手を挙げて評価されなかったのではなかったのだろうか?
海兵隊といえば、米軍の速攻精鋭部隊としてあまりにも有名であり、数々の著名人達も在籍していた軍組織なのである。例えば、
ジョン・グレン(宇宙飛行士、上院議員)、テッド・ウィリアムス(プロ野球選手)、ロベルト・クレメンテ(プロ野球選手)、ジョージ・シュルツ(国務長官)、スティーブ・マックィーン(俳優)、ジュージ・C・スコット(俳優)、ジーン・ハックマン(俳優)、リー・トレビノ(プロゴルファー)、ケン・ノートン(プロブクサー)、マイク・マンスフィールド(駐日大使)
と、まさに海兵隊出身者で、退役後に社会で活躍している著名人の多さに驚かされる。
彼等著名人達の家族や親族にとってこの映画を見たあとで、素直に心からこの作品を評価できるのであろうか?
きっと、この設定が原因でアカデミー賞を逸したのかなぁ?などと、私は勝手につぶやきながら、遅めのクレープランチをカミさんと共にパクついていた春うららかな週末であった。