6月30日は、ブルームーンだったようだ。ブルームーンとは、通常1ヶ月に1回しか起こらない満月が、2回起こる現象で、2~3年に1度しか起きないらしい。珍しいことから、幸運を呼ぶという人もいるし、災いをもたらすという人もいるのだが・・・。
10年前の7月下旬のある日、それがブルームーンだったかどうかは定かではないのだが、少なくとも、私にとってはその年の7月末の満月は甚だ幸運であったようだ。
私は、その年の7月に、勤め先のスペインマグロの畜養を事業とする会社の現地総責任者として、現地に着任したばかりであった。人員を雇用し、餌も多少備蓄して、あとは定置網にマグロが大量に入るのを待つばかりであった。既に50本ほどのマグロを生け簀に追い込んではいたのだが・・・。しかし、この数字では到底採算に合う筈もなかった。
やはり、会社は倒産かな? 内心そう思っていたところだった。私は、マグロが定置網に入った日付5年間分をデータとしてパソコンに入力していて、シミュレーション計算はしていたのだったが・・・。しかし、昨年、一昨年の実際の的中率は、あまり芳しくなかったのである。
その夜、いつものように、スペイン人女性と結婚していて、この町に住んでいる日本人技術責任者で、私の右腕でもあったOと、バルで一杯やっていた。確か土曜の夜であった。
「中村さん。会社どうなるんでしょうね。このまんま、マグロ入らないと・・・」と、いつもは現地スペイン人相手に威張っているOが不安そうに聞いてきたのでした。
「それなんだけどね、パソコンのシュミレーションによると明日800本以上入るとの予想が出ているんだよ。それに、今日は綺麗な満月だし、風もレバンテ(地中海の東風)だし、ここの言い伝えでは、マグロが入るんだろう?」
「ええ、まあそうなんですけど・・・」と、相変わらず不安げなO。
「船頭のヴィセンテやここの町の漁師達みんなの長年の経験上の話なんだからさ。それに、パソコン予想でも、明日はグラフは急カーブ描いていて、800本~1000本入るって出ているし・・・」
「ええ・・・。でも、満月でレバンテ(東風)でも、入らない時も結構あったし・・・」と、相変わらず不安げなO。
「でも、さあ、よく考えてみなよ!ほんの数ヶ月前までは、このプロジェクトもお終いだと思っていたじゃないか!だいだい、ここまで来れたのが奇跡だぜ!俺たち多分ついている筈から、マグロもバ~ンって入っちゃうよ!それに今夜はこんなに綺麗な満月じゃないか。こんな綺麗な満月なんだからさ、マグロも見とれて、定置網に入っちまうさ!」
「ちげえねえ、中村さんの云うとおりかもしれねえ。じゃあ、もう一杯ビール飲んでいっすかね。」
「あ~、明日は日曜だし、餌撒きは船長達に任せて、少しは休もうやあ!」
てな訳で、ぐっすり眠っていた日曜日の朝なのに、朝っぱらから自宅電話と携帯電話がじゃんじゃん鳴った。あまりうるさいので出てみると、案の定、Oからで、「大変です!中村さん!」その一言で、一瞬で完全に目が覚めてしまった。それは、もし、事故であったら一大事だからだ。
「さっきから、何度も何度も電話してるんですけど、定置網に凄っい数のマグロが入っているんです!」
「えぇ! すっごいって?どのくらい?」
「見張りの連中によると、1000本近いって!」
「な・・なに!1000本!」と、絶句状態の私。
やはり、マグロ達はあの素敵な満月に惚れたのかな?と、カミさんに言ってみたら、「まさか!」と、一蹴されたスペイン、アンダルシアでの忘れがたい何とも爽やかな日曜の朝でありました。
こちらでわたしのブログを載せていただき嬉しいです。
ブル-ムーンは残念ながら見ることが出来ませんでした。今度は数年先なんでしょうね。
月と生き物の関係は意外と深いところにあるのかもしれませんね。満月の夜には殺人事件が多いと言われてますし、潮の満ち引きにも影響を与えてるそうで。満ちるときに生まれ、引くときに死んでいく。
月の光には不思議な力があるのかもしれません。
妖しい月光に導かれ幸運を運んできたのでしょう。
イワモッチさんのブログでブルー・ムーンの事が話題になっていたので10年前の満月の出来事を思い出して書いてみました。学術的なことは分かりませんが、満月とレバンテ(東風)という現地漁師達の話しは、潮位、潮流、プランクトンの発生位置から、それなりに根拠はあるようです。
赴任してから、定置網にかかったマグロの本数データを入力していたのですが、1週間前のデータを入れた後、急にすごい予測値が出た時は、誰も信じませんでしたが・・・。やはり、漁業も科学なんだと思いました。
満月すごいですね・・・
友達もブルームーンに赤ちゃんを産むんだ!と言っていましたが
帝王切開で前日に出産になりました。
自然分娩を待っていたら、きっとブルームーンだったでしょうね!
最大で30人近い作業員を使っていながら、予算の関係で経営管理は勿論、作業の指示から経理事務までの一切を私一人ですべてこなしていたので、携帯は必需品でした。
海上との連絡は無線ですからトランシバーも持っていました。電話、携帯、トランシバーと同時に鳴ることもしばしばで、メチャメチャ忙しい毎日でした。人生であんなに仕事したことはありませんでした。当時はまだまだ体力があったんですね。
マグロは作る側より、食べる側に限りますね、やっぱり!
地中海の満月綺麗ですよほんとうに!
パソコンでマグロの動きをシミュレートできるんですね~。
マグロは大好きです。
回転寿司が好きで、その中でもマグロの赤身が好きでよく食べるのですが、前は100円のお皿だったのが、今ではワンランク上のお皿になってしまいました。
質もちょっと落ちたような? 残念です。
満月は同じものをみるにしても、見る場所によって全然違うんでしょうね。
横軸に日付、縦軸に漁獲本数を入力して行くグラフから、何次かの関数を自動的に作るみたいです。おそらく、月齢の数式と同じではないかと想像します。
ちなみに、本マグロの見分け方をお教えしましょう!赤みの刺身にサランラップを貼り付けて、よ~く見て下さい。非常に小さい脂身(トロ)の霜降りのつぶつぶがあれば本マグロです。本マグロの赤身は、これがあるので美味しいんです!でも、キハダマグロやビンチョウマグロの赤身には、この霜降りはありません。
それで美味しいんですね。
マグロ通に一歩近づけました^^