昭和16年3月、国体(皇室)や私有財産制を否定する運動を
取り締まることを目的として「治安維持法」なる法律が制定され、
結社や宣伝・勧誘の禁止は無論のこと、集会への参加も罪とされ、
最高刑10年が課せられることとなった。
この法律が、結果的には当時の戦時体制に反対する
すべての運動や報道行為に適用され、暴走する関東軍等の
「日米開戦もやむなし」という開戦論に反対する意見すべてが封殺され、
9ヶ月後に米国に開戦した過去があることはあまりにも有名である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BB%E5%AE%89%E7%B6%AD%E6%8C%81%E6%B3%95
ただし、当時と大きく違うのは、我が日本には今現在
暴走する軍部は存在しないし、日米関係も良好である上に、
国連を脱退しなければならないような国際的な孤立状態にもない。
では、国はなぜ今「特定秘密保護法案」成立を急ぐのか?
一言でいえば、「今、そこにある危機」が考えられる。
隣国、中国の軍部は、事実上文民によるコントロールが
出来ない状態になりつつあるからだ。
その顕著な事例が、今年1月に起きた中国海軍によるレーダー照射事件だ。
当時、中国外務省の狼狽ぶりと、中国軍部の暴走による危険性が
現実的な日中戦争勃発に繋がる行為として明らかになった事件なのである。
また、日本と欧州連合(EU)による定期首脳協議が19日、
首相官邸で開かれ、共同声明に
「緊張を高めるいかなる一方的な行動も回避し、
威圧的な行為を放棄するよう求める」と明記。
法の支配に基づく「平和的な解決策の追求」を確認したことは、
明らかに中国軍部による挑発または一方的な軍事行動があり得ると、
欧州連合(EU)も見ていると、事実上表明したことになる。
それを裏付ける内容として、2013年11月19日付の
英フィナンシャル・タイムズ紙の記事でも確認できる。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1902Y_Z11C13A1000000/?dg=1
その危機の最大の原因だが、中国国内に渦巻く中国国民の怒りである。
ほとんどの政府幹部の汚職による桁違いな額の不正蓄財、
国営企業幹部だけに偏る富の偏在とその制度に対する不公平感、
都市戸籍者と地方戸籍者の事実上の格差社会、
少数民族に対する人権無視の抑圧行為、
報道統制や言論統制など国民への抑圧に対する苛立ちと不満。
中国国民の怒りは、実はもうすでに暴発寸前の状態にある。
http://www.news-us.jp/article/354565470.html
この分裂寸前の状態にある、中国国内政治事情を一気に好転させる
手段といえば、かつて戦前の日本軍部が使った手法である。
不満を外国に向ける!怒りの矛先を日本へ向ける手法である。
つまり、戦争を引き起こして、愛国心を煽り、国民的総意を作り出して、
前述した国内問題や国民の不満をすり替えてしまう手法である。
更には、日本に勝利して、尖閣を強奪することのみならず、
沖縄を傀儡国家として独立させ、米軍に代わって中国海軍を
駐留させ事実上の支配下に入れるという、かつての関東軍による
満州国建国を思わせる荒唐無稽な議論が中国軍内部で、
その実現性を実際に検討されている可能性さえもあるのである。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0530&f=national_0530_018.shtml
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2813
とはいえ、今のままの「特定秘密保護法案」が一人歩きして、
かつての暗黒時代に日本が舞い戻る愚行を再び行ってはいけない。
「今、そこにある危機! 将来、再び暗黒時代に舞い戻る危機!」
どちらを向いても、この先には危機が迫っているようだ。
2020年の東京オリンピックが、1940年に開催される筈だった
「幻の東京オリンピック」とならぬことを心より祈るばかりだ。