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エドワード・ゴーリー(1925-2000)は大好きで、日本では柴田元幸対訳で読めるので、全巻揃えて持っている。
最新刊は『金箔のコウモリ』(The Gilded Bat)。
エドワード・ゴーリーの残酷さはいつも通りだが、今回はいつも以上にもの悲しさを感じる。
今日のGetUpEnglishはエドワード・ゴーリーのこの20作目の作品を紹介する。
次の印象的なフレーズがあった。
She became aware of what real ballet was when Madam took her to one of Sileposkaya’s innumerable farewell performances.
know what A is, become aware of what A isという言い方はぜ普通に使えるようにしておきたい。
1984年のForeignerの大ヒット曲 “I Want To Know What Love Is”(邦題はなぜか「アイ・ワナ・ノウ」)のサビの部分は次のとおり。
○Practical Example
I wanna know what love is
I want you to show me
I wanna feel what love is
I know you can show me
『金箔のコウモリ』にはこの言い方もある。
For the next two years she danced in the provinces.
provinceは[the ~s] 地方, いなか《英国・カナダ・オーストラリアなどで首都や主要都市から離れた地域》(リーダーズ)。
次のように使われる。
◎Extra Example
Many downtown traditional restaurants are frequented by big butter-and-egg men from the provinces.
「都心の由緒ある割烹店には、地方からやって来る大物を常連するところがたくさんある」
a big butter-and-egg manは「(勢力、経済力を備えた地方の)大物」のこと。「《特に 舞台興行の》パトロン」(リーダーズ)でもあるので、日本の「割烹店」に対して使うのはやや苦しいかもしれない。
For the next two years she danced in the provinces.と、provincesが複数になっているので注意。英日翻訳ではこのあたりを含んだ表現にすることが必要だ。
本日紹介した英語表現は柴田元幸が実に見事に訳しているので、ぜひ『金箔のコウモリ』(河出書房新社)をご覧いただきたい。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309291123/
エドワード・ゴーリー 著
柴田 元幸 訳
単行本 B5変形 ● 72ページ
ISBN:978-4-309-29112-3 ● Cコード:0071
発売日:2020.11.05
定価1,430円(本体1,300円)
著名なバレリーナに見出された少女モーディーが、長い修行時代を経て、ヨーロッパに渡り、時代を象徴するバレリーナとなるまでを描く傑作。バレエマニア・ゴーリーによる光と闇の物語。
著者
エドワード・ゴーリー (ゴーリー,E)
1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。邦訳書に『ギャシュリークラムのちびっ子たち』『うろんな客』などがある。2000年没。
柴田 元幸 (シバタ モトユキ)
1954年生まれ。『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン』(上・下)で日本翻訳文化賞を受賞。著書に『翻訳教室』他。訳書に、ポール・オースター『幻影の署』他多数。