アネモネは、主に地中海沿岸に分布するキンポウゲ科アネモネ属(イチリンソウ属)の球根植物で、日本では昭和の初め頃から親しまれ、ベニバナオキナグサ(紅花翁草)、ハナイチゲ(花一華)、ボタンイチゲ(牡丹一華)といった和名で呼ばれることもあります。
”アネモネ”という名前は、ギリシャ語の”風”を意味する”anemone”が語源で、ガーデニングの聖地とも言えるイギリスでは”wind
flower(風の花)”と呼ばれています。
”風の花”というすてきな呼び名は、風に揺れるアネモネの花のイメージから名づけられたとする説もあるようですが、実際にはアネモネの種子が風に乗って遠くまで運ばれ、分布を広げることから名づけられたともいわれています。
アネモネの開花期は、地域によっても多少の違いがありますが、早春の3月から5月ごろまで、気温がおよそ10℃を上回る頃に開花が始まり、梅雨を前にした5月ごろに開花時期の終わりを迎えます。
そしてアネモネの栽培適温は、5℃~20℃で25℃を超えると生育が停止します。そのため、花期を終えた後の6月の梅雨時を前に、球根を土の中から掘り出して、次の植え付け時期(10月頃~)まで冷暗所で保存する”球根の掘り上げ”という処理を行います。
球根の堀り上げを行わずに、地上部を切り落としてそのまま次の植え替え時期(植え付け時期と同じ10月頃~)まで保存することも可能ですが、アネモネはもともと雨季が短く乾季の長い地中海性気候の地域が原産の球根植物で、湿度が高くなる日本の夏がとても苦手です。そのため、6月の梅雨の時期以降、水遣りを控えるなどの注意が必要です。