日々の恐怖 3月3日 眼球1
東京の会社員のKさんに話を聞きました。
とても長くなります。
受験勉強もやって、かろうじて名門大学に滑り込みました。
人並みに頑張ったと思ってます。
そして人並みに成果が出たかな。
会社勤めがはじまってからも、やっぱり頑張りました。
でも、ちょっと頑張りすぎたのかもしれない。
営業入社だったんですよ。
どこの会社でもそうですよね。
伸び悩んだが最後、他の課への転属が待ってる。
人当たりが良くて、礼儀正しい。
それだけで配置されたなんてド新人にはきつい職場でした。
同期に後二人入ったんですね。
彼らは半年もしないうちに最初の成績あげたんです。
数年に一度しか営業課には残れないっていわれるくらいだから。
もう、その時点で、自分は脱落だと覚悟してました。
でも、はじめてだったんです。
納得ができないほど、挫折感を味わったのは、あれが最初でした。
なんとかしなきゃって走り回って。
やっとのことで、親族の経営する会社に売り込みました。
数字でいえば他二人より桁が一つ上です。
嬉しかったなあ。
「 はやいとこ、お前の机は他所にいってもらおうな。」
顔を合わせるたびに言われていたこのお小言がなくなりました。
見放されかけていた先輩に、
“ ばんっ、ばんっ!”
って肩を叩かれながら、
「 よしっ、くどきにいくぞっ!」
って発破かけられる毎日がはじまりました。
一人いなくなり、二人いなくなり。
数年ぶりに自分が営業課に正式採用がきまりました。
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