日々の恐怖 2月22日 レクイエム 3
家に着いたら、母がいなかった。
もうすでにあたりは真っ暗で、いつもなら母は帰っている時間だ。
これはいよいよおかしいのでは。
そう思って母に電話しようとして携帯を取ろうとしてポケットに手を突っ込んだら、いつも入れているポケットに携帯がない。
” あれ・・・・?”
と思ってバッグを見てもない。
” バイト先に忘れたか、それともこの家のどこかに置いたのを忘れただけかな・・・?”
と考えて、わからなくなったので、とりあえず自分の携帯にかけてみることにした。
今は昔、家の固定電話があったときで、その固定電話から空で覚えている自分の携帯電話にかけて耳をすませた。
どこからも、バイブ音は聞こえない。
” どうやらバイト先に置いてきたみたいだな・・・。”
と考えながら受話器を置こうとしたとき、不意に違和感を感じて、受話器を耳に当てた。
コール音が鳴っておらず、誰かが応答している気配があった。
誰かに拾われて、通話に出てくれたのか、それともバイト先の店長か、どちらかの可能性が高い。
なんとかするべく話してみた。
「 あの~、すいません。
その携帯僕のなんですが、そちらはどなたですか・・・??」
しかし、応答がない。
僕は耳をすませて相手の出方を伺った。
かすかに向こうの周囲の音が聞こえる。
どこかの店らしく、BGMが流れている。
クラシック調の音楽で、曲目が判別できるほどは聞こえなかった。
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