“鶉の卵”と言えば、“弁当に良く使われている食材”の1つというイメージが在る。街中で売られていたり、親が作ってくれたりした「素朧弁当」には必ずと言って良い程に鶉の卵が入っていたし、今でも「キャラ弁」の食材の1つに使われる事が多い様だ。
そんな鶉の卵が、今、ピンチを迎えている。26日付け東京新聞(夕刊)に、「鶉の卵 ピンチ」という記事が載っていた。鶉の卵の生産農家減少が深刻化しているのだとか。
鶉の卵の生産を手掛ける農家の戸数、そして鶉の飼育羽数は、2011年と比べると2~3割減。ウズラの卵の国内需要は回復傾向に在るが、新型コロナウイルス感染症禍で一度減った羽数は、餌代の高騰等も在って充分には戻らず、廃業を検討する業者も在ると言う。
鶉の卵のシェア6割を占める愛知県。或る農家からは「新型コロナウイルス感染症の影響で、外食の機会が減った為の需要減で、飼育羽数が約5万羽から半減。現在は約4万羽迄増やしたが、餌の穀物の価格が倍近くに跳ね上がり、『羽数を増やしても、利益が出ない。後継者も居ない。此の儘、廃業するかも。』。」と、嘆きの声が。
農林水産省の統計によると、「百羽以上を飼育する鶉農家は、2011年の70戸から昨年は46戸となった。2011年には約525万羽だった羽数も、新型コロナウイルス感染症による需要減を切っ掛けに、昨年は約381万羽に落ち込んだ。」そうだ。2011年と比べると昨年は、鶉農家数は「約34.2%減」、鶉の飼育羽数は「約27.4%減」という訳だ。
こんなにも激減した上、必要経費の異常な高騰や後継者不足が重なれば、「鶉の卵 ピンチ」というのも理解出来る。
鶉飼育を巡る苦境は、生産農家だけの話では無い。愛知県で鶉肉を解体する或る食肉工場では、新型コロナウイルス感染症禍で外国人を含む労働者を確保出来ず、今年閉鎖した。羽数減少等を背景に、卵の孵化業者等の廃業も相次いでいると言う。