アメリカが、リムパック2020に台湾を招待する可能性が報じられた。
台湾としては表舞台への正式招待であり西側諸国の友誼と好意的に受け取る一方で、中国関係が尖鋭化することや中国への帰属を主張している国民党支持者の反発も予想され、招待受諾にはなお紆余曲折が予想される。
リムパック(環太平洋合同演習(RIMPAC)は、アメリカ海軍が主催して2年に1度ハワイ周辺海域で実施される演習であり、主要な変遷は次のとおりである。
1971(昭和46)年 アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージランドの4カ国海軍で開始
1980(昭和55)年 海上自衛隊が護衛2隻と対潜哨戒機8機で参加。5カ国
1984(昭和59)年 ニュージランドが枠組みから離脱。 4ヶ国
1990(平成 2)年 韓国参加。5ヶ国
以後、回を追って参加国が増加
2012(平成24)年 ロシア参加(ロシアの参加はこの回のみ)。 22ヶ国
2014(平成26)年 陸上自衛隊参加。中国参加(2016年も参加)。23ヶ国
2018(平成30)年 参加26ヶ国。艦艇47隻・潜水艦5隻・航空機約200機・人員約25,000人の歴代最大規模の演習となる。
平成20年は世界的なコロナ禍で、計10ヶ国。艦艇22隻・潜水艦1隻・人員約5,300人と規模を縮小し洋上演習のみ実施 となっている。
海上自衛隊の参加兵力も、2000年前後は、潜水艦・補給艦を含む艦艇10隻程度、対潜哨戒機8機と大規模で参加していたが、北朝鮮のミサイル対処や尖閣海域の緊迫等に伴って2010年以降は護衛艦1~2隻の参加となっている。
現在の訓練態様は不勉強であるが、かっては集団的自衛権解釈の制限から、RIMPAC参加であっても訓練相手はアメリカ海軍に限定されており、その他の海軍とはハワイでの儀礼的な交歓に留まっていた。そのため、海上自衛隊の目的は、ハワイ近海でのRIMPACよりも、ハワイ~サンディエゴ間で行われる米海軍との日米共同訓練が主体であった。
参加(招待)国の推移に見られるように、近年のRIMPACは各国海軍の戦技・戦術の共有・錬成よりも、政治的デモンストレーションの趣が強くなっているように思えるので、台湾招待もその一環でなされたものであろう。
台湾にとってRIMPAC招待の諾否は、北京五輪の政治的ボイコットで苦慮している日本など足元にも近寄れないほどの政治的決断を迫られるものと同情するところであるが、軍事的意義を考えれば受諾・参加することになるのではないだろうかと観ている。
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