太陽光発電に関して、自分が憂慮していた現象が既に顕在化していることが報じられた。
読売新聞の報じるところを要約すると《国立環境研究所が2021年に公表した調査結果では、出力500Kw以上の太陽光発電施設は全国に8,725か所あり、「土砂災害警戒区域」の傾斜地で下方に住宅などが存在するものが231か所、うち34か所は「特別警戒区域」に設置されている》とされていた。
太陽光発電は、風力発電などに比べて初期費用が少ないことや売電価格の高額助成などから雨後の筍的に設置されたが、一部には「乱開発」に近いものも混在しているようである。かってのバブル期に傾斜地に建てられた別荘やリゾート施設がバブル崩壊とともに廃屋となって地元住民の生活を脅かすという事象が今も続いているが、一部の太陽光発電施設にも同種の後遺症が懸念されるようである。これらのことは、誰も買い手がない「土砂災害警戒区域」ならば用地買収も安価・容易で、送電幹線網への接続ができれば設置場所は何処でも良いために起きたものであろうか。
出力500キkwの発電施設のパネル面積は5,000㎡程度であるらしいが、将来的には風雨によってパネルが飛ばされたり、流されて住宅に被害が及ぶこともあり、さらに、設置時に森林伐採や造成工事が行われていれば地滑り等の災害が誘発される可能性もあるように思える。また、売電価格の助成が縮小されつつあり将来的に廃止されると、体力の弱い売電業者の倒産や施設放棄なども起こり得るのではないだろうか。
東京都は新築戸建てにも太陽光パネルの設置を義務付けるらしいが、取付ボルトは何時かは腐食するので数年後には「台風で飛ばされた住宅用パネルでの第三者被災」も十分に起こり得ると思っている。現に基礎部分の腐食で、屋上の大型看板が飛ばされたり、信号機や電柱が倒壊したり、ゴルフ練習場の鉄柱が倒壊したり、風力発電の風車が倒れたり羽根が飛ばされることは度々報じられていることは、太陽光パネルの明日を暗示しているように思える。
技術や社会の進歩・変革は「両刃の刃」であり、人と地球に優しいとされる太陽光発電にあっても、里山の生態系を破壊することも有るだろうし、土石流の牙を剝いて住民の生命財産に襲い掛かることも有るだろう。
産業革命でもたらされた100年の変化を現在は1年で経験すると聞いたことがあるが、便利さと同時にもたらされるリスクを覚悟することは、我々の避けて通れぬ道であろうか。
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