もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

陛下即位の「賀詞」と共産党を考える

2019年05月10日 | 天皇・皇室

 衆院が今上陛下即位の賀詞を全会一致で議決した。

 今回の賀詞は、平成天皇即位の際には議決に反対した共産党も賛成しての全会一致であった。今回賛成した理由について共産党の志位委員長は、「当時の綱領が”君主制の廃止”を謳っていたが平成16年の改定で考え方を変えたため」としているが、現在の綱領でも「国会を名実ともに最高機関とする」、「一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」と規定しているので、立憲君主制(天皇制)は廃止することを婉曲表現に変えただけと解釈される。新元号発表時(4.2)の党首コメントに対して書いたことであるが、ここでも共産党の巧みなレトリックが見て取れる。局外者には字面どおりの理解を要求しつつ組織内には紙背にある思想を伝達する巧妙なもので、その他にも「(特権階級や生産の国営化による)旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない」と反共者に独自性と柔軟性を強調する傍ら、「人口が一三億を超える大きな地域での発展として、二一世紀の世界史の重要な流れの一つとなろうとしている」として中国式の開放経済による社会主義政権を目指すとしているが、現在、中国が人権や反対意見を強権で抑圧しているのは常識であるので、中国という国名を明記しない表現にしている。ソ連崩壊後、西側諸国の共産党はこぞって党名をソフトなものに変更したが、現在でも共産党(マルクス政党)を掲げているのは日本だけと聞いている。この背景には中国共産党に阿ざるを得ない裏事情の存在が覗えるとともに、レトリックによるまやかしが通用するとの判断に立っているのではないだろうか。

 また、志位委員長は賀詞中の”令和の御代”との表現にも「御代は天皇の治世という意味になり、憲法の国民主権の原則にもなじまない」とも述べているが、改元や御代代わりに示された国民の熱情を考えれば、国民は令和を天皇の時世とは考えるが委員長が述べる治世と考える者は極めて少数と思う。中国では習皇帝が誕生しようとしているが、彼の子供が国家主席になった場合にも、日本共産党は中国礼賛を続けるのだろうかと興味が湧くところである。


 


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