コロナ関連給付金の不正受給での摘発が相次いでいる。
不正受給の背景若しくは原因は、「審査の甘さ」とする意見がメディアを中心に大勢を占めているが、自分としては不正受給は起きるべくして起きたものと思う。
政府が各種給付を決定した前後の世相は、「一日も早い給付を」若しくは「どこどこの国では〇日で給付」の大合唱で、政府・自治体でも世論に抗しきれない形で給付のための制度設計・手続き不備のままに見切り発車に踏み切らざるを得ない状態であった。
不正受給多発の原因は、住民基本台帳と税務資料が連接していないことが全てであり、連接していない原因は「一部の国民や政党が過度の個人情報保護」を主張したことに依っている。もし政府・自治体が個人の税務実態を把握していたとしても不正受給の全てを防ぐことはできなかったであろうが、局限はできたであろうと思う。
コロナ給付金の実績と不正受給件数は如何ほどであるかわからないが、新聞報道によると、中小企業庁が把握しているだけでも給付424万件(5.5兆円)に)に対して、不正受給1218件(12億円)とされ、摘発の厳格化に伴って15,427件(166億円)の返金があったとされているので、地方自治体の独自給付等を合算すれば天文学的とは言えないまでも相当な金額が闇に消え・悪徳間の懐に落ちたものと思える。
折に触れた書いていることであるが、日本のこれまでは性善説によって成り立っていたと思っている。大震災等における社会的混乱に対しても我意を殺して秩序に耐え忍ぶ姿は、麗しの国として世界中から称賛されてきたが、ここまで不正受給が明らかにされると、性善説統治も限界に近いように思われる。不正受給者で「指南役の口車に乗った」と自主的返金を申し出る人には、未だ救われる思いがするものの、これらの「あわよくば」層を加えると少なからぬ国民が国の安寧よりも自分の懐勘定を優先する拝金ウィルスに感染しているかのようである。この拝金ウィルスは既に政治家、行政の番人たる官僚、税の番人の国税職員にまで蔓延し、徐々に一般市民にまで広がっているように思えるが、厄介なことには拝金ウィルスに対する即効ワクチンが無い。
「高楊枝」を誇示して空腹を押し隠した武士、甘い誘惑を跳ねのけて家を全うした「踏ん張り」後家の気概は、既に昔話となったのであろうが、遅効性ではあっても日本人としての「大和心の美風」を取り戻す施策・教育が必要に思えるが。如何に。
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