もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

パスポート期限切れ

2022年03月05日 | 社会・政治問題

 パスポートの期限が切れたが、更新(取得)しないこととした。

 海自退職後、家族旅行する際に取得した(させられた)ものであるが、大して活用しないままであった。
 海上自衛官が遠洋航海等で外国訪問する場合、パスポートはなく身分証明書は艦長がサインしたIDカードが全てで、外国での出入国に当たっては個人の通関手続きもない。
 これは、各国の軍人にも慣例的に適用される恩恵で、軍艦・軍用機による公用の出入国については相手国の通関手続きも免除される。日本の場合、米軍人の出入国については日米地位協定で民間機による空路出入国にも適用されるという特例が認められているが、軍属や軍人の家族は当然ながらパスポートによる通常の出入国である。コロナ禍では、来日する米軍人の隔離等について協定の不備とする意見が多かったが、各国を眺めても外国軍人の出入国については略同様に派遣国の善意・信義を信頼するという体制に思える。
 那覇基地での感染拡大時に、地位協定に基づく米軍人の出入国がコロナ感染拡大の決定的要因とする意見もあったが、国際慣例によっても軍人の強制隔離は出来るべくもなく、偏に対コロナの国民性と対処要領の違いに起因するものと思っている。
 対コロナに神経質なほど取り組んでいる日本でも、先般のトンガ王国の津波被害に救援・支援物資を空輸した空自隊員が、現地到着後にコロナ発症したように、万全と思って送り出した隊員が感染初期のために検査陰性で、その後に感染・発症が確認されるというような不具合は避けられないようである。
 海自では、外国から何らかの事情で隊員を帰国させる場合は現地領事館等でパスポートを取得して民間機で帰国させるという手順が定められているが、その場合にあっても、飛行機が日本直行便であれば領事館員が機内まで付き添うことで、パスポートを取得することなく出国と日本入国が可能である。陸・空自の対応については不案内であるが、ほぼ同様であろうと思っている。
 こう書けば、禁制品の持ち込みもフリーパスかと誤解されるかもしれないが、帰国時の通関検査や検疫は厳格に受けるし、税関職員の検査前には独自に事前検査を複数回実施すると徹底している。 まだブランド洋酒が高根の花であった昭和40年代には、厳しい検査をすり抜けて持ち込んだ隊員も存在したが、国内でも容易に手に入る時代にあってはそんなこともない様である。

 パスポートの失効によって身分証明書は保険証とマイナンバーカードだけになってしまったが、この先、厳しく身分を問われることもないだろう。
 身分証明以上に、コロナワクチン接種済証明が幅を利かす時代が早く終わってほしいものである。

 


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