車椅子テニス界のスーパースター国枝慎吾氏が現役を引退された。
国枝氏の戦績は改めて書くことも要しないであろうが、グランドスラム車椅子部門で男子世界歴代最多となる計50回(シングルス28回、ダブルス22回)優勝、シングルスでは年間グランドスラムを5回達成、パラリンピックでは単複併せて4個の金メダル獲得、・・・と黄金色に彩られており、世界ランキング1位のまま今年1月に現役引退を表明していた。
国枝氏の活躍は日本男子テニスのトッププロとされる錦織圭選手の実績も遠く及ばないものであるが、残念ながら国民からの応援の声は錦織選手の方が圧倒している。
日本では、車椅子テニスに限らず障碍者スポーツに対して、競技者をアスリートとして観るよりも、かすかな憐れみの情を込めて「障碍者だけの別のもの」との認識に依っているのではないだろうか。このことは、自分のような平民に限らず、日本のスポーツ関係者や報道関係者の認識でもあるらしい。
かって、スポーツ担当記者がテニスのトッププロであるジョコビッチ選手にインタビューした際に、記者の「日本には貴兄のようなトップ選手がいないが・・・」との質問に「何を言っている!!日本にはクニエダがいるじゃないか」と叱られたそうである。
このように、国枝氏の評価は日本よりも海外で高いようで、国枝氏も引退会見で「車椅子テニスをスポーツとして認めて貰えるように頑張った」と述懐されていた。
政府も、2月4日になって国枝氏を国民栄誉賞で顕彰すると発表したが、世界的に見れば当然、むしろ遅いと感じられるものだろうか。
既に幾つかの臓器を容器に先駆けて天(地獄?)に送ったとは言え、一応五体満足に生きて来た自分としては国枝氏に代表される「ハンデキャップをものともしない生き方」には圧倒される。
願わくば、国枝氏の将来が濃密なものとなり、彼に続く人々が「アスリート」と評価される日が1日でも早からんことを祈って。
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