もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

トマホーク購入

2022年12月20日 | 軍事

 来年度の防衛費が総額6.8兆円となる見通しと報じられた。

 新規事業としての反撃能力整備には、トマホーク購入に2113億円が、12式地対艦誘導弾(SSM)の射程延伸(100㎞⇒1000㎞)の整備については1227億円が計上されている。
 また、継戦能力向上のためにも、弾薬整備に9901億円、航空機等の維持整備費2兆359億円が計上されてもいる。
 この数字を見ると極めて巨額に感じられるが、内容を精査すればこれまで怠っていた事業へのパッチ充ての意味合いも強く、部品の調達ができないために本来可動すべき戦闘機の一部を部品取りのために非可動とせざるを得なかったケースや、実弾射撃訓練を減らしていた現状を解決するための予算措置に過ぎないものも多い。
 トマホークの購入については、国産ミサイルの開発に時間を要することから止むを得ない対症療法かとも思うが、技術先進国を謳う日本が巡航ミサイルを国産開発できないのは残念に思う。これらは、「軍事技術開発拒否の学会」、バブル期に増殖した「買えば良い思想」、「備蓄は無駄とする会計検査」の結果であって、一朝一夕には根治困難な病根であるように思えるが、改善すべき課題であるように思う。
 戦後80間に亘った平和(ただ戦争が無かった)は、日本人から確実に危険予知・危機管理の思考を奪っているようで、そのことはコロナ禍で構築された医薬品の緊急承認制度でも如何なく発揮されたと思っている。ワクチンに関しては、米英の承認後2週間で緊急承認はしたものの、イスラエルは開発国における承認と同時に接種開始したことや、日本人の治験も無いままの承認に2週間も必要だったのかとの疑問が残り、治療薬「ゾコーバ」に関しては、1回目の審議会では治験データ不足として門前払いに近い結論を出しながら、世論の反発を受けてであろうか2か月後には一転して承認という不可解さを露呈した。

 本日発表されたFNN(産経グループ)世論調査では、反撃能力の保有には60.2%が賛成としたものの、財源を増税に求める岸田提案には69.5%が評価しないと答えている。
 かって、イザヤ・ペンダサン(山本七平?)は、「日本人は空気と安全はタダと思っている」と警鐘を鳴らしたが、安全な空気は無料でないことをコロナ禍が教え、いままた安全もタダではないことを学ばなければならない事態となっている。整備に賛成・増税には反対という意見にあっては、自己負担が曖昧な国債に財源を求めよということだろうと思うが、あれほど喧しかった1960年代の国債反対の主張はすっかり影を潜め、現在では負担を孫子に託す国債が大手を振って闊歩している。
 今回の岸田増税案にあっても、国民(富裕層は除く)一人当たりの直接負担増は年間数千円・外食1回分程度で、家計のダウンサイジングやレベルダウンとまでは必要としないものと思う。
 昭和40年代頃までは、戦後の食糧事情を子供に伝えるために月に1回「すいとん」食を設ける風潮もあったが、それも「今は昔」食品ロスに悩んでいる。
 岸田提案も、「ズボンを穿けずとも核兵器(長射程ミサイル)を」とした毛沢東に倣っての掛け声程ではないことを、冷静に考えようではありませんか。


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4 コメント

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増税案 (onecat01)
2022-12-22 22:58:04
 管理人殿

 高橋洋一氏の意見が正しいのではないかと、考えております。

 国防のための支出を嫌がっているのでなく、財務省の姿勢に???を感じています。増税して景気を冷やすのが正しいのか、国債の増発は、果たして子々孫々への負債となるのか。

 これまでの財務省の姿勢は、外務省に似ており、東京裁判史観の上にたち、日本の軍事増強は悪だという思考からなされています。

 でも財政問題は門外漢ですから、確信はなく、自分の思いを述べています。


 
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Unknown (勉強しますが)
2022-12-23 00:09:25
(onecat01 様
コメントを有難うございます。
自分は財政音痴でありますが、岸田増税案には別の見方もできると思っています。
それは、「否応なく防衛を肌身に感じる必要性を国民に知らしめることに繋がるのでは」との期待感です。そのためには直接の負担感が無い国債よりも、負担が目に見える増税の方が適しているのではと考えます。
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国民の負担感 (onecat01)
2022-12-23 11:34:02
 管理人殿

 共有する負担感の大切さ・・そういう考え方もありますね。

 けれども増税は必ず景気の伸びを抑え、不景気につながるというデータもあります。国を守るためには国防費の増額が必要だと、国民の多くは国際情勢を見て痛感しています。

 このようなときなので、増額の方法について、景気下降の策を取り、税収減にする方が良いのか、私は門外漢ながら、やはり財務省の意見に賛成しかねます。

 これも前回同様、財政音痴の意見なので、聞き流してください。
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遅くなりました (管理人)
2022-12-24 11:33:10
onecat01 様
コメントを有難うございました。
財政音痴ですので、金額と影響を定量的に判断する術を持たないので、定性的な主張に留まっています。
今後とも、ご指導をお願いします。
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