日韓議員連寧の合同総会が、”確たると成果もなく”と云うよりも、誤ったシグナルを韓国に手渡したという印象のうちに終了した。
日韓議員連盟は、韓国が軍事政権下にあった冷戦時代の1972年にアメリカの意向で結成された日韓議員懇親会が、1975年に現在の名称に改称されたものである。設立当初は自民党と民社党(西尾末広党首:中道穏健派)所属議員のみ参加していたが、韓国の民主化に伴って共産党を含む左翼政党も参加して、現在の超党派の構成となり衆参100名以上の議員が参加している。設立当時は韓国が軍事政権下にあり韓国国会は有名無実の存在であるとともに日韓の外交チャンネルも少なかったために、日本側の意思伝達の非公式チャンネルとしてそれなりの存在感を示していた。しかしながら、現在では、日韓併合を非とする韓国の歴史認識と、先に韓国最高裁が示した戦時補償の賠償責任に対して、それぞれを是として全ての非は日本にありと主張する志位共産党委員長が顧問を詰める等、百害あって一利の無い存在となっている。韓国側議員にしても先月竹島に上陸して駐屯する部隊を激励したのは、議員連盟に名を連ねている議員である。連盟の日本側会長を務める額賀福志郎議員は、旧創世会(竹下派)の流れをくむ党内最大の額賀派を率いてYKK(山崎・加藤・小泉)後の総理・総裁候補と目されながら、現在では額賀派の看板を譲った竹下派の顧問に祭り上げられており、賞味期限の切れた過去の政治家と云わざるを得ない。今回、実現した文大統領との会見においても徴用工問題については何を慮ってか婉曲な抗議に留まり、有権者の主張と期待を背にする代議士としての覚悟が感じられないもので、派閥内ですら求心力を失ったことと無縁ではないように感じられるのは斜視過ぎるだろうか。日韓関係が危うい現在にあってこそ政府の意志を離れた議員としての立場から所信を述べ、日韓の政府間交渉に一石を投じる程度のことは期待していた。総会への祝辞を取り止めた安倍総理の真意も、その辺にあったのではないだろうかと推測するものである。
左右の主張とりわけ極左すら乗り合う呉越同舟の日韓議連は、既に時代の使命を失っているものと思う。加えて経綸の才なき会長の下では尚更であるが、神輿に乗る人は軽い方が好まれるということからも、額賀会長は志位委員長にとって理想的は存在であるのかもしれない。日韓議員連盟の解消を発議して日韓関係に一石を投じることが、額賀会長に残された最後の花道と思うのだが。
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