米軍のアフガン撤退期限が明日に迫った。
現在、タリバンがカブール空港へのアクセスを遮断、23日にはIS系武装組織による自爆テロ、27日米軍無人機によるIS系武装組織幹部への報復報復攻撃、28日バイデン大統領が報復継続を表明、・・・と緊迫した情勢が続いている。
さらに注目すべきは、自爆テロに関してタリバン報道官が「全土を点としてしか掌握していないために、更なるテロや内戦の危険性が有る」ことを認め、報道では支配下地域においては原理主義法理による行動に対して、20年に及ぶ西欧型自由を知った住民との激しい衝突も伝えられている。
情勢の変化にも関わらず撤退期限を墨守してガニ政権を支え切れなかったバイデン大統領は内外からの厳しい批判に晒されており、身内の民主党からも大統領の資質を問う声が挙がっている。
アメリカは、ガニ政権が存続していたならば、タリバンとの合意を破棄してテロ撲滅と治安維持のための駐留を継続して影響力を残すことも選択できたであろうが、現状では全面撤退しか選択の余地は無いように思える。
そんな中で中国は、早々と経済支援を条件に中国人と中国資産の保全をタリバンに約束させる漁夫の利を獲得し、バイデン大統領の政策変更の余地を更に狭めることに半ば成功し、数日以内に成立すると観られているタリバン政権の承認にまで踏み込めば、アフガンからのアメリカ影響力排除・駆逐という完全勝利も夢ではないように思える。
タリバンも、コーランが食糧を与えてくれないこと、国内の西側資産の凍結・没収という埋蔵金だけでは永続できないこと、中国の支援がアフガン自立を目的としたものではないことを十分に理解して上での中国傾斜であり、アフガンを中国衛星国とすることに同意したものとも観ている。
アフガンの政情はなお予断を許さないものであるが、日本がこれまでアフガン復興のために資金や人的に努力したこは、何だったのだろうかと考えざるを得ない。日本の支援は、純粋にアフガン自立のためであり、アフガンからの見返りを求め資源の簒奪を目的とするものでは無かったと理解しているが、今回のタリバン政権が一時的なものであったとしても、勝者は武器であり・人権を無視する者であるように思える。
国内外を問わず「進歩的な人道主義者や平和愛好家」が口にする、「対話で解決」「仲良く共生」の主張が極めて無力で、一発の銃弾の前には無残にも砕け散るものである現実をアフガンが示しているように思えてならない。武力礼賛ネトウヨの暴言であるかも知れないが、力の原理は、人間の業であり、人類社会が必然的に持つ病巣であり、現代社会に於いても「力」を放棄することは、主張を無にして国威を損なうものと思う。
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