ドイツが2045年までに化石燃料由来の暖房をなくし、再生可能エネルギーにする計画を打ち出した。
ドイツの暖房事情は、全世帯の半分がガス暖房で4分の1が灯油暖房であるらしいが、計画ではその全てをヒートポンプ方式を念頭に置いた再生エネ暖房方式に変更するとしている。ヒートポンプの動力源は電気であり端的には電気暖房に他ならないので、全電力を再生可能エネルギーにしない限り脱炭素燃料による温暖化抑止という目的は達せられない。
ヒートポンプ暖房設備には、ガス暖房の約2倍の初期費用が掛かるうえに老朽更新の間隔も狭まること等から、世論調査では国民の8割近くが反対しているとされるが、連立2位の緑の党が強硬に主導しているようである。現在のドイツの電力料金はG7中で最も高く日本の2倍強ともされており、これに新方式転換の初期費用などが加われば国民は相当の負担を強いられることになる。
ドイツの電力は、約6割を再生可能発電とされているが補完のための発電用燃料の大半をロシアLNGに依存し、なおかつ不測の事態にはEU電力網から購入していたが、EU電力網の主体はフランス原発ともいわれるのでエネルギ-の致命的部分は外国に依存していたことになる。ウクライナ事変でロシアがガスの元栓を閉めたことで大混乱した記憶も新しいが、今回の暖房革命にはエネルギの元栓をフランスに握られることになるように思える。
そんな自明のなかでも、暖房革命を断行しようとするドイツとドイツ国民の選択は地球温暖化抑止の試金石として注視したいところであるが、同計画の推進者である「緑の党」の主張には日本人の感覚では疑問な点も有る。
殺傷兵器は他国に譲渡しないことを国是としていたドイツが、世界最強の戦車と名高いレオパルド2戦車のウクライナ供与に転舵したのは連立与党である「緑の党」の主張によるところ大きいとされている。多分レオパルド2は多くのロシア人兵士を殺すのは間違いないが、そこにはウクライナ人を救うためにはロシア人の命を奪うことは当然で、イエス神も望まれ・お許しになるとの宗教規範があるように思える。仏教徒ならずとも日本的には人間の生命価値は同等で、例え敵兵であっても殺すことには躊躇いがあるだろうが、キリスト教社会における正邪の判定や邪に対する制裁は、我々と全く異なるものと理解しておかなければならないようである。
G7サミットで岸田総理は「核なき世界」を共同宣言に盛り込みたい意向とされている。米英仏の核保有国も議長国の体面を忖度して白々しく同意するだろうが、正邪の判断と制裁について日本と正反対の価値観を持つ彼らの同意を信じてはならないだろう。
また、LGBT法案の上程・成立も間近であるが、LGBT者を弾圧した過去を持つ西欧社会と彼等に比較的寛容であった日本の土壌を考えれば、法律の内容や処罰規定に温度差があるのは当然であるように思える。かって、部落解放運動家の活動が部落出身者を際立たさせて無用の迫害を引き起こしたことがあったが、LGBT法がマツコ・デラックス氏や釜口ホモエ氏の活動阻害に発展しないことを願っている。
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