カタ-ルとサウジアラビアの対立がエスカレートしている。
イスラム教スンニ派の盟主を自認するサウジアラビアは、カタールが同シーア派大国のイランとの関係を深めたとして昨年の6月以来断交状態を続けているものであるが、さらにサウジアラビアがとてつもない計画を持っていることが報じられた。カタールはアラビア半島東側ペルシャ湾に突き出た半島国で、全ての国境がサウジと接している。今回のサウジアラビアの計画は、半島基部の国境沿い60㎞に、幅200m・深さ20mの運河を掘削して、カタールを島国にしてしまおうとの構想である。尚且つ運河沿いに軍事基地や核廃棄物の貯蔵施設を作り、カタールをゴミ捨て場の彼方に置こうとするものとも伝えられている。掘削費用は8億ドルとされるが、潤沢なオイルマネーをもってすれば不可能なことではなく、技術的に見ても国境線の標高が最高点でも130m程度とされているので、絵空事の計画とも思えない。もし運河が計画通り掘削された場合は、かって西ベルリンが壁で囲まれて陸の孤島と化した際に連合国が空輸によって西ベルリンを維持したように、カタールは空路と海路で自国を維持しなければならなくなる。日本や英国のように国内の資源が乏しく・生まれながらの島国では、長い年月をかけて海を活用できるインフラを整備してきたが、突然島国となった場合の対応はどうなるのだろうか。カタールは産油国であるために、原油積み出しのための十分な港湾施設を有していると思われがちであるが、原油等の積み込みはパイプラインの先端に設けられたシーバースという軽易な係留施設にタンカーが横付けして行うことが一般的であり、コンテナ船等が荷役可能な大型ふ頭は1か所(2020年までにあと2か所整備)しかないように思われる。この様に脆弱な港湾施設では必要な物資の全てを海路輸送で賄う事には相当な無理があるのではないだろうか。また、近隣国がカタール船籍の船舶や仕向け先がカタールである貨物船の運航に制限を加えており、今でもカタールは海上封鎖されているに等しい状態とも伝えられている。
秀吉は、水攻めで高松城を浮き城に変えて兵糧攻めを行った。兵糧攻めは現代戦でも有効な戦術であるらしく、飛行制限・海上封鎖・経済制裁と名を変えて世界中で行われている。中東の安定のためにも、サウジの運河計画が実現しないことを望むものである。
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