火龍
宇宙戦艦ヤマト2202スピンオフ
ー朱い惑星(ほし)のドラコンー
【前編】
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西暦2203年__。
地球は"時間断層"反重力特異点という打出の小槌を失った・・・
連邦防御軍上層部では、"これを良し"とはしない者がいた。
地上の復興は望むもの以上に再開発が進み、一応のところ完了した。
連邦防衛軍にしても、時間断層を失うまでの半年間で、壊滅した基地、艦、航空機等の再建は成し遂げ、数だけは白色彗星ガトランティス戦役の戦時中並みに再建された。
人員に関しては現在、連邦政府で議論されているが、クローン人体を投入する方向で進んでいる。
また、戦時中に開発、導入された無人戦闘機及び無人戦闘艦の配備も、進められている。
だが、一部の軍上層部の人間には物足りなさを感じる者がいた。
生産するスピードの感覚が麻痺してしまったのか、満足行くものではなかった。
そこで"苦肉の策"的案件を打ち出したのだ。
生産工場を現在の十倍にし、フルオートメーション化とアンドロイドによる生産を24時間フル稼働と打ち出したのだ。
そして、その用地を再び火星に求めたのである。
火星"アルカディアシティ"の再建。
内惑星戦争終結後、資源採掘も再開される事なく、放置されたままガミラス戦役、白色彗星ガトランティス戦役と大きな戦争を二度も迎えた。
そう。火星にはまだ資源が豊富に埋蔵されているのだ。
時間断層の消失を良しとしない連邦防衛軍上層部の人間は今後、増えるであろう人口を踏まえて、アルカディアシティを五倍に拡張、資源採掘プラントと生産工場をセットで建設、再建されたアルカディアシティ都市部と軍施設を置き、「新しい火星を!」スローガンに連邦政府に持ちかけたのである。
時は流れ__。
西暦2205年。
2203年に打ち出された火星再建計画の三分のニが完成した__。
「大佐。機が熟したようだ。」
「そうは思わんか?」
「地球は二年も前に再興を果たしたにも関わらず、未だに火星から資源をむさぼり尽くしている。」
「私がこの案件を持ちかけた時は、さほど、乗る気を見せなかった高官(れんちゅう)も、今では手のひらを返したように、火星に資源を求めて来る。」
「だが、もうそれも終わりにしなければ成らない時が来たのだ。」
「火星は、我々の火星は地球から独立する時なのだ。」
「ハッ。中将殿。」
地球時間午前零時__。
火星守備隊司令部は、地球、火星の全通信網をハッキングにより掌握、地球、火星の全土に向け、地球連邦政府及び防衛軍に対し、火星独立を掲げ、宣戦を布告した。
ー艦隊戦力ー
拠点防衛戦略戦闘指揮艦:改・アンドロメダ級ネメシス(コントロール艦)を旗艦とする無人戦闘艦ドレット・ノート級20隻、重駆逐艦(コントロール艦)10隻、駆逐艦40隻、改・ドレット・ノート級空母4隻、改・コスモゼロ重駆逐戦闘機(コントロール機)36機、無人コスモゼロ300機、防衛ミサイル衛星20基。
これを前衛部隊とした。
ー防空戦力ー
無人コスモタイガーⅡ100機、武装シーガル20機、100式空間偵察機10機、防衛ミサイル衛星20基。
ー陸戦隊戦力ー
ガミラス式戦闘車両サルバー重戦車50両、ガミラス式兵員輸送装甲車メルバー100両。
そして、これを後衛部隊とし、更に24時フル稼働の工場で生産されている航空機と車両が存在する。
戦闘艦も新たに改・アマテラス級二隻建造しているがまだ、完成はしていない。
現在、保有している艦艇は全て地球で生産され、この二年間で配備されたものである。
◆
「かっ!火星が独立戦争を仕掛けて来ただと!?」
地球連邦防衛軍軍務局長の芹沢は、非常呼集の呼び出しにイライラを募らせていた。
「今、司令部(そちら)へ向かう!」
「あとの報告は司令部に着いてから聞く!」
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15分後、防衛軍司令部に姿を現した芹沢は、山南を艦隊司令とする太陽系防衛第一艦隊を呼集、対艦隊戦に備えていた。
「此方、山南。」
「第一艦隊が出撃出来るまで、あと一時間は掛かります。」
「その間、戦闘衛星での対応を具申します。」
「山南少将。」
「火星の全戦力の資料は有るかね?」
「一応、データとして防衛本部のコンピュータとリンクした資料なら。」
「やはり、全部は持っていなかったか。」
「…と、仰いますと?」
「アマテラス級の改良型を新造している。」
「此方も、データを入手している訳ではないが、情報としては入手した。」
「そこでだ。山南少将、このアマテラス級の改良型を鹵獲して貰いたい。」
「艦の鹵獲が無理なら、データだけでも入手して貰いたい。」
「やって貰えるかな?」
「それと、今や火星には軍属を除き10万人の人間が暮らしている。」
「制圧にはくれぐれも、慎重にな。」芹沢軍務局長とのやりとに、割って入った連邦政府藤堂長官が告げた。
「了解しました。」
映像通信が切れ、山南は思う。
「…物欲の後遺症は治りが遅いのか。」と。
「さて、あと45分か。」
「パイロットの人選と行きますかな。」タブレットをパラパラとめくるが、山南の目に止まる人員は居なかった。
「時間が無いな。」
「月で乗せるとするか。」
「通信士。此方、山南だ。」
「月面鎮守府航空隊本部に繋いでくれ。」
「ラジャー。」
「月面鎮守府航空隊本部と繋がります。」
「うむ。」
「と云う訳だ。もう一人、貴官の信頼しているパイロットを頼む。」
「了解しました。」
通信が終わると出撃まであと、30分を切っていた。
「よし。全艦艇に通達。」
「各艦、出撃準備に入れ。」
「機関長。補助エンジンに火を入れろ。」
甲高いモーター音が、微かに伝わって来る。
時折、艦(ふね)の揺れが感じ取れる。
「やっぱり艦(ふね)は人間が動かすに限るな。」
「なぁ。アンドロメダよ。」
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◆
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「おっ。地球連邦艦隊が動き出したようだ。」
「周回軌道に乗ったところで、連絡だ。」
「自然に作り出される電波障害で、通信は傍受されんからな。」
「まぁ。此方も傍受出来ませんけどね。」
「コチラ・ムーンアイ・カルガモノ・オヒッコシガ・ハジマッタ。」タイムラグが大き過ぎる為、今や使用されなくなった超空間モールス信号を送る偽装パトロール機。
タイムラグが大き過ぎると云うリスクは有るものの、傍受されにくいと云うメリットを採用したのだ。
【中編】へ
つづく。
この物語は、もし私が2202ー愛の戦士たちーの続編を作るとしたら的に、二次創作した物語です。
私的設定が混ざっています。
使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。