新イタリアの誘惑

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モデナ① 大聖堂に到着。天を刺すギルランディーナ、ユーモアさえ感じる「創成期」の彫刻群

2018-07-27 | イタリア・モデナ

 モデナへはパルマからの帰り道に立ち寄った。まずはドゥオモへ。

 街の大まかな地図は持参したものの、ドゥオモまでのルートはよくわからない。そこで普段着のカジュアルな服装の女性に尋ねると、「私の家と同じ方向だから、一緒に行きましょう」と、同行してくれた。

 この日はとにかく暑い。まだ5月だというのに汗がダラダラと流れる。たまたま街頭にあった温度計は37度を指していた(写真は帰りに撮ったもの。数時間後だったがそれでも34度あった)。

 その道すがら「私たちの宝よ」と自慢げに話してくれた大聖堂の鐘楼=ギルランディーナ が見えたところで彼女にお礼を言ってさようならをした。

 大聖堂に続く道。カラフルな傘が道路沿いに一杯吊り下げられた一種のインスタレーションに出会った。

 ドゥオモ、つまり大聖堂はグランデ広場の中心にある。この街の守護聖人ジミニャーノに奉納されたロマネスク様式の建築だ。
 建築家ランフランコと彫刻家ヴィルジェルモによって13世紀に完成した。

 そしてギルランディーナ。大聖堂の横にすっくとそびえる鐘楼は、白大理石で造られ、88mの高さを誇る。

 1310年の完成で、途中まではロマネスク様式だが、最上階と八角形の塔の部分は13~14世紀のゴシック様式になっている。
 先端には青銅製の花飾り(ギルランダ)があり、そのために塔全体が親しみを込めてギルランディーナと呼ばれる。

 周囲には高い建物がないため、昔からこの塔は遠方からでも見ることが出来た。エミリア地方を旅したスタンダールは
  「果てなく続く地平線。西にそびえ立つモデナの塔だけがこれを見えなくさせる」と書いている。

 まずは大聖堂の入口の中央扉から見て行こう。ヴィルジェルモが手掛けた浮彫がすぐ目に飛び込んでくる。
ここに4つの枠に分かれた「創世記」のエピソードが描かれている。

 「左端」から見ると、まず神が土から男(アダム)を造り、「中央」アダムのあばらの骨からイヴを造る。「右」その2人は禁断の木の実を食べてしまう。
 木の実にかじりつくアダムの顔。まるでわんぱく小僧みたい!

 ここはカインとアベルの物語だ。神に対してカインは農作物を(右)、アベルは太った羊を(左)捧げものとして差し出した。 だが、神はアベルの羊だけを受け取る。

 これに嫉妬したカインはアベルを殺してしまう。人類初の殺人だ。
 この絵を見ると,アベルは棒で殴られたようだ。「右端」この結果、カインは労働と放浪の人生に追いやられてしまう。

 神はノアの箱舟を造ることを命じる。「中央」ノアたちはその箱舟に乗る。「右」そして生き延びた子孫たち。

 このように、文字を詠めない庶民たちにも一目でわかるように、教会の正面入口に聖書の物語を掲げるということが行われた。
 ロマネスク時代の代表的彫刻とされる作品だが、かなり悲劇的な内容にもかかわらず、なかなかユーモアたっぷりの絵に見える。

 正面を見上げればバラ窓も備わっている。13世紀、アンセルモが手掛けたものだ。



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