山頂の城から戻って、この村最後の目的地サン・ピエトロ教会に向かった。
テーモ川の向こうにまるで狼煙のような雲が立ち上っている。
教会はホテルから約2キロ離れた草原にポツンと建っている。
サン・ピエトロ通りを歩いてゆく。のどかな田舎道。子供のころに歩いた故郷の道を思い出させる。
左手にはさっき登った山頂の城跡と、カラフルでこじんまりとしたおもちゃ箱のようなボーザの街並みが、日に照らされて輝いている。
ふと、天国に繋がる幸せの道とでも言いたくなるような通りだ。
教会に着いた。ロマネスク様式の素朴な建物。
逆光の中に虹のような光が走った。
石で造られた内陣は、薄暗い中に立つ柱の堅固さと、差し込む光の柔らかさとが溶け合って実に神秘的。
他に誰もいない無人状態だったので、その静けさが耳にツーンと沁みる感じ。
後方から見ると祭壇の両脇に立つ聖ペテロと聖パウロの像がシルエットになって、その荘厳さを一層強めていた。
帰り道で、突然すれ違った観光列車。
一旦ホテルをチェックアウトして旧市街の広場に行き、屋外のテラスで昼食を摂った。
そしてバスに乗り、鉄道の駅のあるマコメールへ。
この日は、夜のジェノヴァ行きフェリーに乗るので、ポルト・トーレス港へは時間の計算できにくいバスではなく電車を利用することにしたためだ。
予想外に電車は遅れたが、十分に余裕を見ていたので問題なし。
再びイタリア半島に戻るため、船中の人となった。次に目が覚めた時にはジェノヴァ港が目の前に広がっているはずだ。
初めてのサルディーニャは期待以上に素晴らしい、まるで天国のような島だった。目の覚めるような景色、温かい人情、おいしい料理など、忘れられない沢山の思い出をあふれるほどにカバンに詰め込んでフェリーに乗り込んだ。
この後イタリア半島再上陸の後、ベルガモ、マントヴァ、ボローニャ、パルマ、モデナ、フィレンツェ、ヴェネツィアと移動しましたが、その旅行記は来年再開する予定です。
次回からは「よさこい2017」を掲載予定です。
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