長崎市郊外に神ノ島という島がある。そこの教会を目指してバスに乗った。長崎駅前から約30分。教会下というバス停で降りる。
海に突き出した岬の上に像が見えた。純白のマリア像だ。
この島は、今は埋め立てによって陸続きになったが、禁教時代はキリシタンの潜伏場所の1つだった。島の住民、西忠吉、政吉の兄弟は、大浦天主堂のプチジャン神父の布教を手伝い、それが発覚して逮捕されたという記録が残っている。
そんな島に立つマリア像。近づくと意外に大きい。4m60㎝。
見上げれば威圧感たっぷりだ。戦後の1949年に船の安全を願って建てられたもので、「岬の聖母」と呼ばれる。
この岬からの眺めは、うっとりするくらい美しかった。ただ、対岸に見える高鉾島付近の海には、当時多くの殉教者の遺体が沈められたという。
教会は険しい坂の上。1892年にレンガの教会が造られた。
内部はこじんまりした印象だ。
集落のあぜ道を歩いていると、ジロリと睨まれたような気がした。
横を向くと、猫がいた。端正な顔立ちで、おもわずパチリ。
すると、次の路地でも真っ黒な猫が。こちらも1枚。
通り過ぎて気が付いたのだが、この地方の猫は「尾曲がり猫」と言って、しっぽの先が曲がっているのが特徴なのだそうだ。 幕末に到来したオランダ人などが、航海時に船内のネズミ退治のために連れてきたヨーロッパ原産の品種だという。
そんな特徴を確かめることをすっかり忘れていたので、写真にも尻尾は写していなかった。
港の漁船を眺めながら、長崎市内に戻るバスに乗った。
戻ってから向かったのは市内中心部にある中町教会。
キリシタン大名・大村純忠の大村藩屋敷のあった場所に建っている。原爆によって大きな被害を受けたが、その土台の上に1951年に再建された。
1597年の26聖人の殉教後も何度も大規模な迫害が行われたが、この教会脇には1633~37年に西坂で殉教したドミニコ会の司祭ら16人の碑が立っている。16人は1987年にバチカンによって列聖された。1862年に26聖人が聖人とされてから125年ぶりの日本人関係者の列聖だった。
内部は明るい空間だ。
「微笑みの十字架」。日本に初めてキリスト教を伝えたザビエルが信仰の原点としていたもので、スペイン・バスク地方のザビエル城に安置されている。その姿を再現したものが2004年にこの教会に奉献された。
キリスト磔刑のステンドグラスも新しい。
青空に映える尖塔が印象的だった。
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