一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

村上ファンドのシンガポール移転(村上ファンドvs阪神電鉄 番外編)

2006-05-19 | M&A
昨日の記事で揶揄してしまったのですが、村上ファンドの「運用機能のシンガポールへの移転」(プレスリリースはこちら)についてちょいと考えてみました。

外国に移転、と聞くとまず思い浮かぶのがTBSなどの放送局の株の外国人保有規制です。
また、既に組成済みのファンドには日本の金融機関や機関投資家も出資しているという噂ですが、運用先の外国人への変更が投資家の内部規則に引っかかったりしないのでしょうか(年金とかいたらうるさそうです)

そういうデメリット(ほとんど無いのかも知れませんが)を考慮しても移転する動機としては

① 運用会社を移転することに税制上のメリットがある
② 日本に比べて当局の規制が比較的緩い
③ 将来的に(日本にとっての)外国人の投資を集める場合の手法の自由度が高い
④ その他日本国内にいるとまずい事情がある

というあたりでしょうか。

①についてはisologさんが詳しく分析されていますが、運用会社を移すだけでは税務上のメリットが非常に大きいというほどでもないのかな、という印象も受けます。

②は、シンガポール当局の規制がどの程度なのかは知らないのですが、日本で金融商品取引法が制定されると、投資事業組合などにも規制が広がるので、業務執行組合員に金融庁検査が入るのをきらった、という事情があるのかもしれません。

③これもよくわかりませんが、これが理由なら移すのは投資ヴィークルの方で運用会社を移転させるほどではないような感じもします。(または至極真面目に中国にほとんどの生産拠点のある日本企業を買収して切り売りし、中国企業の部分を香港あたりでIPOさせるなどというウルトラCでも考えているのでしょうか)

となると④もあるのかな、ということになりますね。
これについてはいろいろ言われているようですが、私は真偽のほどはよくわかりません。
ただ、今のところ日本株投資が主力で、しかも1200億円も突っ込んでいる阪神電鉄株問題の交渉が佳境ななかで、村上氏が家族ぐるみでシンガポールに移住(かどうかはわかりませんが、家族でシンガポール便の飛行機に乗っていた、という目撃談あり)というのはちょいと不自然な感じもするわけです。


それやこれやで、阪神電鉄側にも「引き延ばし」という選択肢があるのではないか、なのであえて自分から6月の定時株主総会という期限を切って退路を立つ必要もないのでは、と思った次第です。
逆にいえば、村上ファンドにここまで買われるということは、ある意味グータラな経営をしていたわけで、今更定時総会までに白黒つけるなんてかっこつけても仕方ないとも言えますよね(あ、グータラな経営をしていたから危機管理能力がないのか・・・)

コメント
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