罰当たりなタイトルですが話は深刻です。
76歳孤独死、8カ月後の今も家賃 UR、主なき口座から
(2008年7月6日(日)13:00 毎日新聞)
都市再生機構(UR、旧日本住宅公団)の賃貸住宅団地で、居住者が孤独死した後も、URが家賃を金融機関口座から引き落とし続けていることが分かった。部屋も死亡時の状態のままにされている。URは「退去手続きや残された財産管理の引き受け手がないためのやむを得ない措置」としているが、違法性を指摘する専門家もいる。居住者の高齢化などで孤独死が急増している状況の中、法的な整備を求める声が出ている。
(中略)
既に8カ月以上が経過し、男性の身寄りも分からないにもかかわらず、URは男性の口座から毎月3万円前後の家賃の引き落としを続けている。
(中略)
羽衣国際大の岸本幸臣教授(住居学)は、「入居者が亡くなった時点で、民法上の賃貸借契約は解約されたと解釈すべきで、その後の家賃徴収は違法だ。しかし、親族が見つからずに荷物が搬出されない場合はURも対処に迷うだろう。身内のない独居老人が亡くなるケースは今後、増える可能性があり、民法上問題が出ない対処方法を法的に整備する必要がある」と指摘している。
社会的には今後大きな問題になってくると思います。
民間の賃貸マンション・アパートでは連帯保証人を求めるのでこういうことがあると連帯保証人や最近流行っている連帯保証会社に連絡をして後片付けをしてもらうのでしょうが、身寄りのないお年寄りなどは連帯保証会社も契約してくれないと思うので、結局借りることができない、ということになりかねません。
そこで、公営住宅やURにはセーフティネットが期待されるのですが、URがこれでは独立行政法人の役をなしていないように思います。
「退去手続きや残された財産管理の引き受け手がないためのやむを得ない措置」というのは最初の1,2ヶ月ならわかるのですが、死亡を確認しながら8ヶ月も口座から引き落としているだけ、というのは家主としては怠慢なように思います。
どのみちしばらくは貸せないからといって故人の口座から引き落とし続けている、という感じもします。
法律的に言ってもこういう場合どうやって部屋の占有を回復して原状復旧費用などを回収するのかはけっこうややこしい部分もあると思うのですが(「住居学」の教授のコメントも微妙に違うような・・・)、何もしない、というのはさすがに怠慢だと思います。
それと民事法上の問題以外に、賃借人が死亡しているのを知っているのに銀行に通知せず、しかも自動引き落としの依頼書を根拠に口座から引き落としているのは詐欺罪にはならないのでしょうか?(被害者が不存在、という意味では三角詐欺とはちょっと違うのか、最後は財産は国庫に帰属するから国が被害者となるのでしょうか)