シンボルツリーとは、まさに家のシンボルとなる木のコト。
記念樹としての意味合いもある。
ひょろっとして、ツルッとしたその姿は、なんだか親父っぽい。
親父、ボクは、こんなにステキで幸せな家を建てました。いつも天国からボクたち家族を見守ってくれてありがとう。
新築に伴って、シンボルツリーを植える人もいれば植えない人もいる。
そこにこだわる人もいれば、なんとなくオススメされたものを植える人もいる。
もちろんボクはこだわって選ぶ人。
さて、どんな木を植えようか。
出来れば、そこに想い入れやストーリーがある木を選びたい。
桜、ヒバ、ブナ、ハナモモ、柿の木…
思い当たる木を色々提案してみたけど、納得できる説明を受けて諦めた。
なるほど。
イメージと実際は違うのだ。
我が家、そしてボクに色んな意味でマッチする木かどうか。
むむ、なかなか難しい。
その他、よくオシャレな家の庭に植えられている人気の木も色々オススメされた。
オリーブ、ヒメシャラ、ハナミズキ、ジューンベリー、ヤマモミジ、ソヨゴ、ヤマボウシ…
人気の木にはそれなりの理由がある。
虫のつかなさ、育てやすさ、適度なサイズ感…そして見た目もステキだ。
ボクが提案した木はいずれも、虫がつきやすかったり、巨木になるため、我が家にはマッチしないのである。
オススメされた木はどれもステキだ。
確かにステキだ。
うーん、でも何か違う。
それから数週間、ネットで色々探しまくった。
そんな中で出会ったのが「サルスベリ」という木。
名前を知ってはいたけど、シンボルツリーとしては思い浮かばなかった。
少し亡き親父の話をしよう。
ボクの親父は、一年半程前に亡くなった。
脳梗塞から奇跡の復活を遂げた後、執筆活動を生きがいとしながら数年間を過ごした。
妻を、息子たちを、その嫁たちを、孫たちを大切に想い、様々な形でボクたちに伝えてくれた。
そんな親父が残した唯一の童話が「サルスベリ」にちなんだ物語。
正直、内容はよく分からなかったけど、可愛がった孫達への深い想いや愛情は伝わってくる。
そんな短い物語だった。
「サルスベリ」の花言葉は「雄弁」「愛嬌」「不用意」。
なんとなく皆に愛された親父っぽい。
「サルスベリ」は、別名「百日紅」とも言い、夏の終わりに花を咲かせ、そこからしばらくの間、咲き続ける。
夏の終わりに容態悪化し、9月末まで命を燃やし続けた親父を思い出した。
初めから決まっていたのかもしれない。
我が家のシンボルツリーは「サルスベリ」に決めた。
ひょろっとして、ツルッとしたその姿は、なんだか親父っぽい。
とにかく優しく穏やかな人だった。
夏の終わりに、どんな花を咲かせてくれるんだろう。シンボルツリーとは、家族の象徴であり、家族と共に成長していく。
親父を想いながら大切に育てたい。
この木に見守られながら生きていきたい。
親父、ボクは、こんなにステキで幸せな家を建てました。いつも天国からボクたち家族を見守ってくれてありがとう。