民平的幸せ体感記3【40代編】

かつて世界一周一人旅をした「みんぺ~」のユルくてどうでもいいブログ。ちょっとハッピーな気持ちになれるとかなれないとか。

児童養護施設職員と「最初の日」

2020年09月02日 | 児童養護施設の仕事
あなたにとって大切なものってなんですか?

人でも物でも場所でも時間でも何でも良いです。

3つくらい、頭に思い浮かべてみて下さい。

これはいつかどこかで受けた研修で講師に聞かれた問いだ。

この問いは、児童養護施設へ入所するコが抱く喪失感をイメージする時のヒントになる。

どんな事情にせよ家族と離れる体験は傷になる。

友達関係、よく行くお店、よく遊ぶ公園、ペット、当たり前の日常…

そんな大切なコトやモノとのサヨナラ。

ある日、住んでいた家庭や地域を離れて児童養護施設での生活を始めるコは、それだけの喪失感を抱えてやってくる。

一昔よりは、事前に施設見学してもらえるし、可能な範囲で意思を確認した上で入所に至る様にはなった。

それでも子ども達は、大小様々な喪失感を抱え、心に傷を負ってやってくる。

それが児童養護施設だ。

だからこそ、そんなコたちが施設で生活を始める「最初の日」を、出来る限り大切にしようと思っている。

長く施設で生活したコも、そんな「最初の日」のコトをよく覚えているもので、時々話題にあがる。

どんな風に迎え入れてくれた。

○○さんが話しかけてくれた。

○○を食べた。

○○さんが優しくしてくれた。

…でも不安だった。

…寂しかった。

だからこそ「最初の日」は丁寧でなければならない。
掃除はもちろん、寝具はしっかり天日干しして良い匂いの部屋にする。
好きなキャラクターなんかを事前に聞いておいて、ウエルカムボードを用意する。

好きな食べ物や嫌いな食べ物を事前に聞いておいて、可能な範囲で用意する。

不安で堪らない「最初の日」に、少しでも「安心」や「嬉しい」を感じてもらえるように。

キミが来るのを待っていたよ。

そんなに頑張らなくて大丈夫だよ。

そんなに良い子にしなくて大丈夫だよ。

安心できる居場所になりますように。

焦らずゆっくり見守っていくよ。

そんなメッセージを様々な形で伝える。

児童養護施設に新たにやってきた子どもが生活を始める「最初の日」はそんな感じ。

いつか思い返した時に暖かな気持ちになれる。
大切な「最初の日」が、そんな一日になりますように。


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