GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

美味しい漬物に出会う 発酵食品と個人商店

2017-09-14 02:02:27 | FOOD&DRINK
ようやく美味しい漬物に出会えた。
昔ながらの酸っぱい白菜漬け。しかも塩と昆布と唐辛子が効いてる昔ながらの味。田舎っぽい味。漬物らしい味。
懐かしい友達に偶然出会った時のように喜んでしまう。これだよこれ。

これを売ってるのは今住んでるとこから自転車で10分くらいのところにある八百屋。
個人(家族?)でやってるお店で、野菜だけでなく魚も扱ってる。
以前ちらっと寄った時に気になっていたのだが、その時はまだいろいろ行かなきゃいけないとこがあったので断念。この店がある地区は生活活動圏(導線)じゃないからなかなか来れなかった。

先日スダチを購入した話を書いたが、スダチといえば秋刀魚。秋刀魚といえばスダチ。
でも肝心のサンマが今年は不漁。スーパーにも「新物/北海道産」って秋刀魚はあったが、こんなやせ細った一度冷凍されたサンマを食べるなら食べないほうがましだ。
そういやあの八百屋は魚も扱ってたなぁ、と足を伸ばし今日行った。
残念ながら秋刀魚は今日は入れてないとのこと。卸にあったけどあんなの痩せてて美味しくもなんともないし高いし、だから仕入れてないと。うんうん、わかる。今日は秋刀魚は諦めよう。もっと秋深くなったら宮城のものとか千葉のものが出回るだろう。それまで待とう。

しかしもう一つのお目当、漬物はあった。聞くと自家製、自分のところで漬けてるのだそうだ。これは期待できそうだ。って買ったのが先に述べた漬物。大ヒットでした。美味い漬物と美味しいご飯があればなんとか生きていけるよ。

そして上乾ちりめんってのもあった。あれ?なんか変だなぁと思ってよく見たらちりめんじゃこ(しらす)だけじゃない。定番の片口鰯の稚魚、いかなご、その他判別不明の稚魚、エビ、沖アミその他諸々が混在。選別するのが面倒だからそのまま干しちゃえって作ったのか、それぞれ作ってたのをパートの新人が間違えて全部一緒にしちゃったのか。しかも安い。これも買おう。

これもヒットでした。

最近はこういった個人のお店がどんどん消えてる。
俺がガキの頃は、お肉はお肉屋で、野菜は八百屋、魚は魚屋、お茶や乾物は乾物屋、お菓子は駄菓子屋、豆腐は豆腐屋、お米はお米屋さんでが当たり前だった。スーパーの進出によって、一つの店で全部まかなえるとか、大量仕入れで安いとかで、どんどん商店街は寂れ、個人店は閉めて行った。花屋とケーキ屋と自転車屋はなんとか残ってるが、本屋とか酒屋はかなり厳しい。

俺はこの個人店が好きだ。
スーパーに比べりゃ高いし、愛想の悪いおばちゃんやおっさんの店もある。入りづらい(覗きにくい)店もある。しかし、ほとんどの店が愛想のいい、話好きの人が多い。
例えば魚屋なら食べ方や料理の仕方教えてくれたり捌いてくれたりする。スーパーではレシピを書いた紙を置いてあるだけだ。2匹パックのを1匹だけ欲しいと思ってもしてくれないとこも多い。数があるのはいいのだが種類は少ない。いつも同じような魚だけ並んでる。

肉屋だって「タンとハラミが欲しかったんだけどなぁ」って言ったら「ちょっと待っとき、切ってきたるわ」って用意してくれたりね。

「今度家でBBQやるからカルビのおいしいとこ用意しといて」って言ったらちゃんと用意してくれる。

鳥屋(大阪ではかしわやと言う)だって毎年年末に「3年くらいの鶏の首の皮とガラが欲しい」という俺の要望に応えてくれたりする。


そして個人店ならではってことは多々あるが、以前に書いたが真夏にエアコンがぶっつぶれた時のこと。この時は痛切にあぁやっぱり個人店だなぁって思った。
梅田のヨドバシカメラは即日取り付けって垂れ幕がしてあったから行った。店員としゃべってるとどうも変だ、即日では取り付けられないと、今は混んでるから1週間くらいかかると。じゃぁ垂れ幕外せよ。ジャロやAC、消費者センターに訴えるぞ。しかも気に入ったエアコンは今品切れで、取り寄せで1週間くらいかかると。だめだこりゃ!とそのあと車でミドリ電化(今のエディオンね)やJOSHIN、ヤマダ電機と回ったがどこも一緒の対応。今が暑いんだ、そんなに待てるか。

で、いつも店の電気工事をしてくれるところに半泣きで電話したら「取り付けたげるよ」って。物だけ用意してくれてもいいし、こっちで紹介して仕入れてもいいよって。せっかくだからエアコンもそちらで取り寄せてもらってつけてもらうことにした。すぐ折り返し電話がかかってきて、明日に取り付けに行けるって。ありがたい。
大手の家電チェーンより地元密着の個人店だなぁ。ついでにシーリングライト(LEDはまだ普及してなかった)も変えてもらった。

大手量販店ではできないことを個人店ではできる。個人店ではできないことを大型量販店は強いると思ったほうがいいか。
スーパーや量販店にはそれなりの良さもある。便利だ。でも個人店のほうが好きなのは、先の電気屋のようにお得意さんには融通きかせてくれたりするからなのだ。

話がだいぶそれたが、漬物の話に戻す。
漬物はスーパーでも色々売ってるがどれもこれもダメだ。アミノ酸抽出液、ph調整剤、クエン酸、ソルビン酸、着色剤・・・。保存料は使ってません、化学調味料付点かって言ってもこれじゃぁね。しかも塩分控えめとか何%カットとか減塩とかばっかり。
そして肝心の味がダメだ。白菜でも大根でもナスでも、漬物本来の味ではなく調味液の味しかしない。これは漬物じゃなくて調味液漬けだ。

だいたい漬物にしても梅干しにしても干物にしても保存食品なのに賞味期限がやたらと短い。
そりゃ塩も少なく、天日で干さず、合成酢と調味料で作ってりゃもたんわな。
食品の保存は昔から、干す、燻ぶす、加糖、塩蔵、漬けるだ。
腐敗と醗酵と熟成は紙一重。腐るのか旨味が増すのか、賞味期限がついてるものは大概腐るだな。

日本人は昔から発酵食品と共に生きてきた。そりゃ湿気のこんだけ多い国。今なら冷蔵庫や冷凍庫もあるが、昔はそんなものはない。
いっぱい採れた(獲れた)時に、それをどう保存するかを考えた結果、発酵という手段にたどり着き、それだけじゃなく旨味を増すことも気づいたんだろう。

海に周りを囲まれてるから昔から塩が取れた。だから魚の干物や塩漬けから始まったんだろう。そして山の方では燻すとか干す、乾かすってので、山菜・野菜、獣肉などを保存したんだろう。さらに味噌、醤油、酒、酢、昆布、鰹節、煮干し・・・によって料理の味が深くなり、保存の方法も進化。さらにそこから納豆や漬物、梅干し、海産物の塩蔵、味噌漬け、鮓・・・。チーズは外国のもののように言われてるが、日本だって古くから酪というチーズの原型みたいなのがある。美味さの表現で使われる醍醐味の「醍醐」はこれをさらに加工したもの。

イワシは腐りやすいが、シラスは腐りにくく、さらにちりめんじゃこ(上乾)にすれば長持ちする。さらに煮干しにすると1年はもつ。
鯖も鮮度が落ちやすいが、こんか漬けとかすれば長持ちする。鰆も味噌漬け(西京漬)にすればいい。鱒だって酢漬けにすればマス寿司に、秋刀魚だってコハダだっていくらだって鮭だって塩漬けや酢漬けにして保存。滋賀の鮒鮨、八丈島のくさや、富山方面のいしり(烏賊の魚醤)秋田のしょっつる(ハタハタの魚醤)、新潟のかんずり(唐辛子を発酵させたもの)など、地方の郷土食に発酵食品は欠かせない。

マグロだって牛肉だって熟成したほうがおいしい。え〜!?でも、新鮮なほうがおいしいシィ〜っていう人は歯ごたえを楽しめば良い。アジの干物とアジの刺身、どちらも美味いからな。強制しない。好きな方を食えばいい。
椎茸は生より乾燥させた冬子(どんこ)の方が美味い。ただし戻すのが面倒だ。筋子やイクラやウニは鮮度がいい方が美味い。大根は掘り立ても美味いが切り干し大根も美味い。ワインは熟成が長い方が美味いが日本酒は曽於年に飲む方が美味い。牛乳は搾りたてが美味いがヨーグルトは熟成した方が美味い。

発酵食品って腐りかけってことでしょう?などという人はパンやうどんやラーメンだって実は発酵食品ということを知らないのかねと言いたい。おにぎりに巻いてる海苔だって発酵食品だ。お茶も紅茶もね。            

そう、日本人は発酵食品で生きてきたのだ。
昔は家で漬物つけたり梅干しつけたり味噌を作ってたらしいが、今の現代社会じゃちょっと無理。頑張ればできるんだろうけど面倒臭い。毎日ぬか床を掻き回せる自信がない。買ったほうが早い。
でも、それを支える個人商店はどんどん消えゆく。そしてまがいものばかりを売るスーパーやコンビニばっかり増えていく。
キムチ一つ取っても、韓国で食わしてもらったのとか、昔食べたのとかとは全然味が違う。美味しくない。

食べ歩きだ、スウィーツだ、ラーメンだ、デパ地下だ、美味い店、本当は教えたくない店、ってあんだけ雑誌やテレビで毎回取り上げられてるが、本当のうまさがどんどん消えていってるのは何故だ。
NPO立ち上げて、この忘れ去られていく郷土料理や本当の味を残していかねばダメだな。
なんて思いながら、漬物と混合ジャコをおかずにご飯を食べる。
でも満腹になったら、まぁいいかぁ〜って思ってしまう。

ドウデモイイが最近食べ物ネタばかりだな。
飢えてるのかな?