定公4年( -506)~哀公27年( - 468) / 呉越争覇の時代
※ 子路の死(哀公15年、 -480):衛の大夫孔圉(こうぎょ:孔文子)は、太子
蒯聵(かいかい)の姉・孔伯姫を夫人に迎えた。二人のあいだに生まれた子が、
憚(かい)である。ところで、孔氏が側近く使っていた者に、渾良夫(こんりょ
うふ)という若者がいた。背がすらりとしていて、なかなかの美男子であった。
かれは主人の孔圉が死ぬと、夫人の伯姫と通じた。
当時、太子蒯聵は戚の地に立てこもっていた。伯姫は渾良夫を戚へ使いにやっ
て、弟の太子に引き合わせた。そのとき太子は渾良夫に向って、「わたしを衛
の国君に迎えられるようにして欲しい。そうなれば、おまえを太夫にとりたて、
立派な車に乗れる身分にしてやるし、大それた罪を犯しても、三度まで死を免
じてやろう」 と、もちかけた。渾良夫は太子に忠誠を誓い、衛に戻るとさっ
そく孔伯姫に、協力してくれるよう頼んだ。
閏月のある日、太子は渾良夫の手引きで衛の都城内に潜入し、ひとまず孔氏の
別邸に腰を落ち着けた。夕闇が追ってから、二人は女の着物をひっかけて馬車
に乗り込み、寺入(宦官)の羅に手綱をとらせて、孔氏の本邸に向った。入口
で一行は孔氏の大夫・欒寧(ちんねい)に怪しまれたが、親類の家の妾だとご
まかして通り抜けた。二人はすぐさま伯姫の居室に身を隠した。伯姫はかれら
に夕食をとらせ、それが終ると、自分自身、戈を手にして案内役を買って出た。
そのあとに太子が続き、さらに一味の兵士5人がよろいかぶとに身をかため、
いけにえの豚をかついでつき従った。かれらは、孔悝を崖際(がけぎわ)に追
いつめ、むりやり忠誠を誓わせた。それからさらに孔悝を高台に登らせて、群
臣を呼び集めさせた。
そのとき、大夫の欒寧は、酒を飲もうとして、焼肉のできあがるのを待ってい
た。謀反だと知って、かれはただちに使いを邑宰(ゆうさい)の子路(仲由)
のもとへ走らせる一方、家臣の召獲(じょうかく)に命じて、馬車の用意をと
とのえさせた。そのあいだ、自分はゆっくりと酒を飲み、焼肉を食べていたが、
準備がととのうと、国君出公を奉じて、魯へ亡命した。
一方、子路は急報に接して、すぐさま城へ向った。城内に入ろうとすると、亡
命しようとして城を出てきた大夫の子羔(しこう:高柴)に出遇った。「城門
が閉まっていて入れません。行くのをおやめください」と、かれは押しとどめ
たが、「とにかく行ってみるつもりだ」と、子路は答えた。「いや、どうか思
いとどまってください。事態はもはや手遅れなのです。危険な場所に自分から
飛びこんではなりません」と、子羔はなおも押しとどめた。だが子路は、思い
とどまらなかった。「わたしは孔氏の禄を頂戴している身だ。孔氏が危険にさ
らされているのに、わが身のことなどかまってはいられない」。こう言って、
子路は子羔と扶を分かち、城へ向った。城門までくると、城門を守っていた大
夫の公孫敢が門の内側から、「入ってもむだだ。帰るがいい」と、かれを入れ
まいとした。子路は憤然として言いかえした。
「その声は公孫どのだな。禄を食んでいながら、わが身の危険を免れようとす
るほど、わたしは恩知らずではない。禄を頂戴している以上、主君を危険から
救おうとするのは、当然ではないか」。そこへ、使者が城内から出てきた。子
路はすかさず門内に駆け込み、太子に向って叫んだ。「孔悝さまを利用しよう
としてもむだだ。たとい孔悝さまが殺されたとしても、わたしは、ご意志を継
いで、あなたを追い出してみせる」。一方、群臣に向っては、「太子は諺病者
だ。高台に火をつければ、半分も燃えないうちに、ふるえあがって孔悝さまを
許すにちがいない」と、呼びかけた。あわてた太子は、一味の石乞(せきこつ)
と盂黶(うえん)の二人に命じて、子路に立ち向わせた。二人は戈を手にして
子路に撃ちかかった。予防は冠の紐を切られてしまった。「冠をかぶらずに討
死したとあっては、君子の恥だ」。子路はこう言い放って冠の紐を結び直し、
またも奮戦して討死した(時に63歳)。
孔子は衛の内乱を耳にしたとき、「子羔は亡命してくるだろうが、子路は討死
するにちがいない」と語った。こうして孔悝は、やむなく蒯聵を衛の国君に立
てた。すなわち衛の荘公である。荘公は位につくと、今までの政策を認めず、
国政に従っていた者全部を排除しようとした。その手初めに司徒(大蔵大臣)
の瞞政を呼びつけて、こう言い渡した。「わたしは長いこと国外で辛酸を會め
てきたのだ。おまえも、少しはその苦労を味わったがいい」。瞞政は城を引き
下がってから褚師比(声子)のところへ駆けつけ、二人して荘公を討とうとは
かったが、結局、失敗に終わった。
〈孔圉団〉諡(おくなり)して孔文子という。孔子は衛の国に来たとき、かれ
と交際したことがあり、「敏にして学を好み、下問を恥じず」と賞めている。
(『論語』公冶長)
〈子羔〉 孔子の弟子高柴(こうさい)の字。先輩の子路の推挙で衛の賢臣の
宰(町長)になっていた。孔子に「柴や愚」(馬鹿正直)と評された人物(『
論語』先進)。この場合、子羔は出公の直臣であるが、子路は孔悝の家臣で、
出公――出公(しゅつこう)は、中国の諸侯に対して贈られた諡号の一つ――
に対しては陪臣――武家の主従関係において家臣の家臣を指した呼称。又者(
またもの)、又家来(またげらい)とも呼ばれた――二人の立場はちがうので
ある。
【エネルギータイリング事業篇:TMD型太陽電池の風】
● ダイカルコゲナイド(TMD)型フレキシブル透明太陽電池の開発に成功
9月21日、東北大学の研究グループは、❶原子オーダーの厚みを持つシート材料である遷移金属ダイ
カルコゲナイド(TMD :Two-dimensional transition metal dichalcogenide (TMD) )を用いて、透明かつフレ
キシブルな太陽電池の開発し、❷透明な二次元シートを使った太陽電池では世界最高の発電効率を達成
し、❸電極の形状と種類を最適化するだけのシンプルな構造のため大面積化できる太陽電池となる。
doi:10.1038/s41598-017-12287-6
【概要】
近年原子オーダーの厚みから構成される二次元シート材料が、次世代のエレクトロニクス用新材料とし
て大きな注目を集めています。炭素のみから構成される二次元シートであるグラフェンは 2010 年のノ
ーベル物理学賞の受賞テーマだが、グラフェンシートはバンドギャップを持たず金属的な振る舞いを示
し、半導体エレクトロニクス分野への応用は困難とされている。これに対し、類似構造を持つ炭素以外
の原子から構成された二次元シートが注目され、特に遷移金属(モリブデンやタングステン)とカルコ
ゲン原子(硫黄やセレン)から構成される遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)は、半導体特性を示し
注目を集めている。中でも、太陽電池への期待は大きく、原子オーダーの厚みであるため90%以上の
光を透過する“透明かつフレキシブルな太陽電池”としての応用ができ。透明フレキシブルな太陽電池
が実現できることで、現在主流のシリコンを用いた太陽電池では設置が困難な車のフロントガラスやビ
ルの窓、携帯電話ディスプレイの表面、さらには人体の皮膚等あらゆる場所へ太陽電池を設置すること
が可能。しかし、それらの発電には空間選択的キャリアドーピングによるpn接合形成や異種TMD を積
層させるヘテロ接合形成等高精度なデバイス作製技術を必要である。
同上研究グループはショットキー型――半導体材料と金属を接合させたときに自発的に形成される電気
的な障壁の一種。接合する金属の仕事関数と半導体のフェルミエネルギーにより障壁の高さが変化する
――太陽電池に注目。用いる電極の種類と形状を最適化するだけで発電が実現できるシンプルな構造を
もつ。❶まずはショットキー形成に最適な電極種の選定を行い、通常同種の金属をTMD 両端に配置す
るデバイスが一般的だが、TMD の両端に設置する電極の種類を変えた異種金属電極構造を用いる。こ
の両端電極対の組合せを様々変化させたところ、両端電極の仕事関数差(ΔWF)が大きくなるにつれ
発電効率(PCE)が向上することを突き止める。❷次に電極の間隔と TMD の配置方法を最適化し、電極
間隔を短く(~2μm以下)かつ TMD を基板に接触しない架橋型とすることで、発電効率が大幅に向
上し、最高で 0.7%(AM1.5G )照射)の発電効率を実現しました。これは同程度(3層以下)の厚
みをもつ TMD 太陽電池の中では世界最高の発電効率である。❸次に、半導体デバイス製造プロセスで
一般的に用いられ ているリソグラフィを使い、シリコン基板にあらかじめパターンニングした電極にT
MD を塗布し作製、センチメートルオーダーの基板上でも容易に発電することを 確認。またシリコン基
板上に限らず、透明フレキシブルなポリエチレンナフタレート(PEN) 基板上でも同様に太陽電池を作
製し発電可能であることを実証。❹また、照射光の波長により得られる発電効率が異なることを突き止
め、TMD 特有の励起子とバンド構造の関係に由来することを発見する。
なお、透明フレキシブル太陽電池は有効に利用できる光エネルギーが小さい(光を透過させる必要があ
る)ため、光を透過しない従来のシリコン太陽電池に比べ発電効率自体が低くなることは避けられない
(※透明と可撓性にこだわらなければ、多層化し出力を大きくできる)が、その分透明性とフレキシブ
ル性という従来太陽電池にはない新たな付加価値をもち、今後より多くの場所に設置可能な新たな太陽
電池の活用できる。例えば、単純に発電量の面積換算、変換効率30÷0.7=≒42.86倍の面積を
確保すれば得られ、蓄電池、インバータ/コンバータなど付属設備含め完全及び太陽光併用型農園用フ
ィルム、ガラスなどの外壁・天井用向け、あるいは、建築用窓ガラス向け省エネ商品に即戦力として使
えそうだ。
【産業用PVでも単結晶シリコン需要増:世界をリードするロンジ篇】
優れた変換効率と耐久性を両立させた単結晶シリコン太陽電池で、世界をリードするLONGi(ロンジ
(中国・西安)が、日本の産業用太陽光発電市場ニーズを捉え、日本市場に向けて、300XV以上の高効率な
単結晶PERCモジュールを供給する体制が整っているという(環境ビジネス、2017年秋季号)。つまり、
今年新たに世界的権威のある国際評価機関や保険会社から、長期信頼腫や安全性リスクが総合評価され
名実ともに単結晶太陽光パネルメーカーのグローバルトップメーカーの座を確保。市場では「単結晶モジ
ュールは産業用に採用するには高価」と言われてきたが、変換効率の高さと実発電量の優位性によって必
要なモジュール枚数を削減でき、用地面積、必要部材(架台・ケーブルなど)および施工、工期が抑えられ
ることから、発電所建設のトータルコストの削減が可能になった。 併せて、改正FIT後の制度変更もあ
り、PV発電所づくりから、PV発電事業施設の長期安定発電、運用が求められることから、単結晶モジュ
ールヘの需要が一気に高まってきているという。
同社は、単結晶シリコンのみにこだわり、インゴットから一貫した技術開発と品質管理を行う強みを活
かし、優れた品質と価格競争力の両立を実現している世界一の単結晶モジュールメーカー。単結晶シリ
コン・インゴット/ウエハのサプライヤーとして世界最大シェアを誇っている同社は、2014年からLERRI
Solar Technology社を傘下に加えたことで、セル/モジュール製造販売までトータルに手掛ける体制が整い
16年には約16.7億米ドルの売上の約半分をモジュール事業が占め、財務体質も、Photon(米)の財務ス
クリーニング連続No1やBiooom Berg New Energy FinanceのTierl格付けなど(最も信頼されている。太陽光
パネルは、技術革新と生産体制の整備が行き届いたことから、ここ数年の間に国際的に価格が大幅に下
落しており、太陽光発電事業の成長を加速させる一因となっている、一方で、価格競争の中でパネルの
品質も下がっているのではないかとの懸念も格強く、金融機関は20~25年間の収益予測に基づいて
投融資を判断するため、パネルの長期的な性能や品質を把握することが重要となる。
このような市場背景の中で、世界の独立系エネルギー専門認証機関のDNV GL社は、太陽光発電モジュー
ルの長期にわたる劣化や信頼性に影響を与える主要な要因について加速試験を行い、「DNV GL/2017 PV
モジュール信頼院スコアカード」を6月に発表。ロンジの主カモジュール(LR6シリーズ)が最高評価のA1-
1Passを受ける。信頼性テストは、IEC基準を大幅に上回る厳しい内容で、温度サイクル、動的加重、
高温高湿、結露凍結、潜在的な劣化の5項目が対象。世界各国の主要モジュールメーカーの製品性能が
試験された。また、世界最大の保険・再保険仲介会社であるエーオンの日本法人エーオンジャパンでは、
太陽光パネルメーカーの出力保証をバックアップする新たな保険の枠組みを開発。このスキームに採用
メーカーとしてロンジが選ばれる。今後、国内の太陽光発電所の長期信頼性を確保し、実現・運用をサポ
ートし、近い将来、国内において『出力保証をバックアックする保険』に加入可能な信頼陛の高い太陽
光パネルがロンジから提供されることになる。これにより、太陽光発電事業の長期信頼比を確保すると
同時に万一のパネルの不具合による出力保証を保険でバックアックする画期的なものとなっている。
● 300W以上の高効率単結晶モジュール 日本市場へ供給
同社は、16年に日本法人も設立。日本国内に技術サポート体制を構築し、品質とフォロー体制にハイ
スペックを求める激戦の日本市場に本格参入。きめ細やかで迅速な顧客対応で、早くも市場ニーズに応
え実績を伸ばしている。同社の製品は、大幅な出力低下を引き起こすPID(Potential induced Degradation)
現象への対策はもとより、塩水噴霧試験やアンモニア腐食試験等もクリアしており、日本の厳しい環境
化での使用も不安はない。さらに高強度フレームの採用により、表面許容静荷重(積雪)は5400Pa、裏面
許容静荷重(風圧)は2400Paを誇り、出荷時のセルのクラック検査も厳格な独自基準で行われており、そ
の管理は徹底している。保証サービスも、製品保証10年間に加え、出力保証はFIT買取期間を超える
25年の間、年率マイナス0.55%をリニアで保証している。太陽光パネルメーカーは、各社独自の製
品評価に基づいた25年の出力保証を行っているが、その客観性について疑問視されており、また、FIT
格の低下に伴い製品の品質や信頼院を犠牲にしたコストダウンを不安視する声もある。同社の太陽光パ
ネルが品質と信頼性を重視する日本市場で認知、導入され、その結果として、安全かつ信頼腫が高く、資
産価値の優れた発電所が増えると期待するという。この世界、日々新たである。面白い!
19日、トランプ米大統領は、ニューヨークの国連本部で行った就任後初の一般討論演説で米国は北朝
鮮を「完全に破壊」せざるを得なくなる可能性があると発言。トランプ氏は41分間にわたる演説でイ
ランの核問題、ベネズエラの民主主義を巡る問題、イスラム強硬派などについても言及。キューバ政府
も批判したという。ところで、北朝鮮に対してアメリカが何らかの攻撃をした場合、北朝鮮の報復は、
(1)目標に到達しないリスクを冒しても既に攻撃を宣言しているグアムをミサイルで狙う、(2)在日米軍
基地を攻撃する、(3)在韓米軍を攻撃する、(4)韓国を攻撃する――の4つの選択肢のコンビネーション
になる。ただこの全ての場合において、日本あるいは韓国(もしくは両方)に被害が及ぶことになり、
アメリカの一存だけでは武力行使というオプションを取ることはできず、日韓両国の同意を取り付ける
必要がある。だが、実際に「戦争」を目の前に突き付けられたとき、日本も韓国も容易には武力行使に
同意しないだろうとし、マティス、ダンフォード、さらにジョン・ケリー大統領首席補佐官はいずれも、
イラク・アフガニスタンで01年以降続いている出口の見えない戦いの当事者だったことを上げ、朝鮮に
対する軍事攻撃は非常にハードルが高い。つまり、「言うは易し、行うは極めて難し」などという主張
がある(「炎と怒り」発言のトランプに打つ手はない?、ニューズウィーク日本版、2017.09.22)。そ
うかと言って、北朝鮮の核保有をなし崩しに認めてしまえば世界的な軍事的脅威は逆戻りするし、追い
詰め過ぎると「道連れヤケクソ暴発」も「ゼロ」ではないだろう(そのとき、緊張のあまり北朝鮮内部
崩壊も起きる可能性もある)が、いずれにしても、「(国家間の)戦争は最大の環境破壊」をもたらす
ことだけはリアル(現実)である。
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