閔公二年:衛の懿公鶴を好む / 斉の桓公制覇の時代
※ 斉の桓公の制覇の前に立ちはだかったもの、北には強大な異民
族・狄(てき)があり、南に新興の雄国・楚があった。西紀前
六六一年、狄が邢国に攻め入るや、斉の管仲は「戎狄は豺狼で
ある。満足させてはならぬ」と桓公にすすめて、軍を出し、邢
を救援したが、狄はその翌年また衛に侵入して懿(い)公(B.C
668~660)を殺したのである。衛は河南省にあった小国。
【経】十有二月、狄、衛に入る。
※ 冬十二月、狄が衛に攻めよせて来た。時の衛君、懿公は大の鶴
好きであった。衛の国には大夫の待遇をあたえられる鶴さえい
た。いよいよ戦が姶まろうとし、動員。命令が下ったとき、衛
の人々は口々に言った。「鶴に戦ってもらおう。鶴は禄をもら
っているんだ。何もわれわれが戦うことはない」懿公は大夫の
石祁子(せききし)玦(けつ)を、同じく大夫の鼠荘子(ねい
そうし)に矢をあたえ、「これによって、国のため、万事よろ
しく取りはからうように」と言って後を託した。
それと同時に、夫人に刺繍した衣をあたえ、「この二人の言う
とおりにせよ」と、言いのこして、出陣した。
渠孔(きょうこ)が懿公の乗った兵車の手綱を執り、子伯が車
右となり、黄夷(こうい)が先鋒を、孔嬰斉(こうえいさい)
が殿(しんがり)をつとめ、衛軍は狄の軍勢を焚榮沢(けいた
く)にむかえ討った。だが、衛軍は総崩れとなり、懿公はあえ
なくも戦死を遂げた。戦闘に際し懿公があくまで旗印を掲げつ
づけたことが、この惨敗を椙く原囚となったのである。戦いに
勝った秋人は、衛の史官華龍滑(かゆうかつ)と礼孔の二人を
とらえ、これを案内役として衛軍に追い討ちをかけようとした。
囚えられた二人は、狄人たちにむかってこう言った。
「われわれ二人は、太史として祭祀をつかさどっている者、わ
れわれが先に行って神に告げぬかぎり、都をとることはできぬ」
狄人はすっかり信用して、二人を先に衛の都にはいらせた。二
人は都につくと、留守役の石祁子と鼠荘子の二人に、「とても
守りきることはできません」と言い、夜を待って、ともども都
から逃げだした。狄人は衛都に入城し、さらに追撃をつづけ、
黄河の近くでふたたび衛軍を打ち破った。
★このとき狄に追われた衛の遺民は男女合わせて七百三十人。
かれらは自国の属邑であった共滕邑の住民と合流し、合計五千
人が四国に寄寓した。斉の桓公は大軍をひきいて、四を秋の手
から守った。
【ネオコン倶楽部:世界初 印刷法で有機ELを製品化】
5月17日、RGB印刷方式で2017年6月から量産を行う予定の 21.6型有機EL パネルを公開。同社社
長で2017年6月にジャパンディスプレイ(JDI)の社長兼CEOに就任予定の東入來信博氏が会見に応
じ今後の有機ELパネルの開発方針などを明らかにした(EE Times Japan 2017.05.18)。
公開した有機ELパネルは、画面サイズ21.6型(478.1×268.9×548.5mm)、解像度は4K相当の3840RGB
×2160画素(829万画素)。精細度は204ppi。パネル重量は500gでパネル厚1.3mm。輝度は350カンデラ
/m2(ピーク時)、コントラストは100万対1。寿命については、1000時間(LT95、350カンデラ/m2)。
株式会社ジェイオーレッド HP
さらに、価格については、サンプル価格で60万円~100万円の間。量産開始時期はあと1カ月で、量産
技術確立のマイルストーンに達するとし、6月から量産移行予定。またジャパンディスプレイ(JDI)
石川工場(石川県川北町)内にある製造ラインで実施。同製造ラインは、4.5世代(730×920mm)基
板対応製造ラインで生産能力は月産2300枚(21.6型パネル換算で6900枚)で研究開発用ライン(月産
2000枚程度)の機能も兼ねる。
有機ELパネルの製造法には、JOLED が手掛ける印刷法とともに、蒸着法が存在する。RGB の画素を
1色ずつ形成するRGB蒸着法での有機ELパネル製造は、Samsung Electronicsが主にスマートフォンに向
けた 5~10型の小型パネルで先行。一方、RGB印刷法は、理論上、適用できるパネルサイズに制約が
なく、JOLEDでは前身1つのパナソニック時代を含め既に12型から55型までの有機ELパネルの試作を
終える。そこで、JOLEDはRGB蒸着法で先行するSamsung、白色EL蒸着法で先行するLGの両社が参入
しにくい12~32型前後の中型パネル領域からの事業参入、市場創造を目指す戦略を掲げる。
わたし(たち)が予想したよりはオーレッド市場形成は6年程度遅れている。しかし、ここまでくれ
ば、この事業プラットフォームの拡張が本格化するとともに、これを構成する技術展開で、ユニバー
スな事業プラットフォームが誕生して。
♞ 関連特許事例
✓ 特許6082974 有機膜の製造方法と有機ELパネルの製造方法
【概要】
有機ELパネルやTFT基板等のデバイスにおいて、有機膜の機能を十分に発揮させるためには、膜
厚が均一な有機膜を形成することが重要である。ところが現在のウエットプロセスで有機膜を形成す
る場合、乾燥時に粘度が高まり易いインクを用いると、膜厚が均一な有機膜を形成することが難しい
場合がある。本発明は、乾燥時に粘度が高まり易いインクをウエットプロセスで塗布し、有機膜を製
造する場合において、均一な膜厚を有する有機膜の製造を期待できる有機膜の製造方法と有機ELパ
ネルの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様における有機膜の製造方法は、基材の第1領域に対し、第
1有機材料と第1溶媒とを含み、増粘率が3.3以上のインクの第1インクを塗布する第1塗布ステ
ップと、前記第1インク中の前記第1溶媒を大気圧未満の第1気圧下で蒸発させ、前記第1インクを
乾燥させて第1有機膜を形成する第1乾燥ステップとを有する有機膜の製造方法とする。
但し前記増粘率は、インク中の有機材料濃度が塗布前のインクの初期有機材料濃度の2倍に達したと
きのインク粘度μと、塗布前の初期インク粘度μ0との比μ/μ0とする。
本発明の一態様に係る有機膜の製造方法によれば、乾燥時に粘度が高まり易いインクを用いてウエッ
トプロセスで有機膜を製造する場合において、均一な膜厚の有機膜の製造を期待できる有機膜の製造
方法を提供することができる(詳細は下図ダブクリ参照)。
【符号の説明】
1 TFT基板(基材) 2 平坦化膜 3 陽極(第1電極) 4 ホール注入層 5 隔壁(バンク)
6 有機発光層 6RX、6GX、6BX 有機発光材料と溶媒とを含むインク 7 電子輸送層
8 陰極(第2電極) 9 封止層 10、10A EL基板 10X EL基板中間体 11 ベース基板
12 ブラックマトリクス(BM) 13R、13G、13B カラーフィルター(CF)層 14 ホール輸送層(HTL)
14X ホール輸送材料と溶媒とを含むインク 20 CF基板 30、30A 有機ELパネル
100R、100G、100B 有機EL素子 101R、101G、101B 開口部
✓ 特許6111396 有機膜材料を真空状態下に維持するための真空装置における真空シ
ール材、潤滑剤、および、有機EL素子の製造方法
【概要】
有機発光層材料等の有機膜材料を真空状態下に維持する際には、例えば、潤滑剤や真空シール材に用
いられている酸化防止剤が、可能な限り不純物として有機膜材料に付着しないようにすることが望ま
しい。本発明は、有機膜材料を真空状態下に維持する場合において、有機膜材料への不純物の付着を
可能な限り抑制することを目的とする。
本発明の一態様である酸化防止剤は、有機膜材料を真空状態下に維持するための真空装置に用いられ
る酸化防止剤であって、真空ポンプとこれに接続された真空チャンバーを備える前記真空装置の、前
記真空ポンプにおける前記真空チャンバーと連通する箇所に用いられ、下記一般式(1)ここでは、
図2(a)に該当。で表される芳香族第2級アミン誘導体を含む。 但し、R1~R10のうち少なくとも1
つは下記一般式(2)で表され、その他は主鎖の原子の数が3以下の置換基とする。(式(2)中A、
、ここでは、図2(b)に該当は原子の数が3以下の鎖式構造を示し、主鎖の原子の数が3以下の置換基
を有していてもよい。R11は5員環以上8員環以下の環構造を有し、R11が複数の環構造を有する場合
には各環構造を結ぶ結合鎖における原子の数は3以下とし、各環構造は主鎖の原子の数が3以下の置
換基を有していてもよい。)
有機膜材料を真空状態に維持する場合において、真空ポンプにおける真空チャンバーと連通する箇所
に用いられる酸化防止剤として、本発明の一態様である酸化防止剤を用いることで、少なくとも当該
酸化防止剤が有機膜材料に付着することを抑制できる。したがって、有機膜材料を真空状態下に維持
する場合において、有機膜材料への不純物の付着を可能な限り抑制することが可能である(詳細は下
図ダブダブクリ参照)。
【符号の説明】
1、26 真空チャンバー 2、27 真空ポンプ 3 接続部材 4、30 酸化防止剤 5 被乾燥物
66、68 アルキル鎖 7 間隙 10 有機EL表示パネル 11、101 基板 12、102 陽極
13 ITO層 14、103 正孔注入層 15 バンク 15a 開口部 16、105 有機発光層
16a、105a 有機発光層材料 17、106 電子輸送層 18、107 陰極 19、108 封止層
20 駆動制御部 21~24 駆動回路 25 制御回路 28、29 排気管 100 サブピクセル
104 正孔輸送層 109 界面領域 200 有機EL発光装置 210 有機EL素子 220 ベース
230 反射部材 1000 有機EL表示装置
✓ 特許5994080 真空装置、有機膜の形成方法、有機EL素子の製造方法、有機EL表示パネル、
有機EL表示装置、有機EL発光装置およびゲッター材を構成する材料の選択方法
✓ 特許5974245 有機EL素子とその製造方法
✓ 特許5939564 有機EL素子の製造方法
【RE100倶楽部:再エネ国際事情篇】
● マクロン仏新政権、原発比率を50%まで下げ再エネを倍増か
6月の国民議会総選挙が今後のエネルギー政策の焦点
今月14日、マクロン氏が新大統領大統領に就任。今回の仏大統領選の結果、フランスではオランド
前政権のエネルギー政策を踏襲し、原子力や化石燃料の比率を下げ、再生可能エネルギーの導入を推
進する公算が高くなっている。❶まず原子力については、現在約75%を占める原子力の比率を25
年までに50%まで低減する方向。老朽化した原発における廃炉を進め、原子力にのみ依存すること
によるリスクや脆弱性を回避する狙いがあるが、政府系の電力事業者であるEDF社と原子力発電の技
術開発を事業の主軸とするアレバ社の競争力を維持し、中国やロシアに対しても技術開発で主導性を
維持したい新大統領の意向もあり、簡単に脱原発に舵を切ることはないとみられている。❷再エネに
関しては、電源構成に占める比率を現在の約15%から30年までに32%と、主に太陽光と風力で
ほぼ倍増させる方針。2月に非政府団体や報道関係者に対し、「大統領の任期初めに、2万6000MW(2
6GW)分の再エネプロジェクト開発を今後5年分の入札をカレンダー管理したい意向を示す。❸化石
燃料は、温室効果ガス排出量の点からも抑制される可能性が高く、22年までに石炭火力を段階的に
廃止していく、というオランド政権時代の目標を堅持する。
May 8, 2017
運輸・交通においても、欧州ではこれまで大きな比率を占めていたディーゼルエンジン車に対する補
助金が見直される可能性が高く、電源で再エネの大量導入を推進すると同時に、モビリティでは電動
化を強力に推し進める。これらのエネルギー政策を支えるため、温室効果ガス関連の規制も強化され
エネルギー事業者に課せられる二酸化炭素価格を、20年までに56ユーロ/t、23年までに百ユー
ロ/tとする方向である。ただ、これらのエネルギー政策は、フランス国民議会による承認を取り付け
る必要がある(日経BPクリーンテック研究所 2017.05.18)。
30.そういうのにはたぶんかなりの個人差がある
あくる日の午後、私は署名捺印した離婚届の書類を投函した。とくに手紙は添えなかった。た
だ切手付きの返信用封筒に入れた書類を、駅前の郵便ポストに放り込んだ。でもその封筒が家の
中からなくなったというだけで、私の心の負担はずいぶん軽減したようだった。その書類がこれ
からどのような法的経路を辿ることになるのか、そんなことは私にはわからない。どうでもいい。
好きな道筋を辿らせればいい。
そして日曜日の朝、十時少し前に秋川まりえがうちにやってきた。明るいブルーのトヨタ・プ
リウスがほとんど音もなく坂を上ってきて、うちの玄関の前にそっと停まった。車体は日曜日の
朝の太陽を受けて、晴れがましく鮮やかに輝いていた。まるで包装紙を解かれたばかりの新品の
ように見える。ここのところ、いろんな車がうちの前にやってくる。免包の銀色のジャガー、ガ
ールフレンドの赤いミニ、免色が寄越す運転手付きの黒いインフィニティ、雨田政彦の黒い旧型
ボルボ、そして秋川まりえの叔母の運転するブルーのトヨタ・プリウス。そしてもちろん私の運
転するトヨタ・カローラ・ワゴン(長くはこりをかぷっているせいで、どんな色だったかよく思
い出せない)。人々はおそらく様々な理由や根拠や事情があって、自分か運転する車を運ぶのだ
ろうが、秋川まりえの叔母がどのようなわけでブルーのトヨタ・プリウスを選択したのか、もち
ろん私には知りようもない。いずれにせよその車は、自動車というよりは巨大な真空掃除機のよ
うに見えた。
プリウスの静かなエンジンが静かに停止し、あたりはほんの少しだけより静かになった。ドア
が開いて、そこから秋川まりえと彼女の叔母さんらしき女性が降りてきた。若く見えるが、たぶ
ん四十代の初めというところだろう。彼女は色の濃いサングラスをかけ、淡いブルーのシンプル
なワンピースに、グレーのカーディガンを羽織っていた。黒い艶やかなハンドバッグを持ち、濃
いグレーのローヒールの靴を履いていた。運転するのに向いた靴だ。ドアを閉めると、彼女はサ
ングラスをとってバッグにしまった。髪は肩までの長さで、きれいにウェーブをかけられていた
(しかしさっき美容室から出てきたばかり、という過剰な完璧さはない)。ワンピースの襟につ
けれた金のブローチのほかには、目だった装身具はつけていない。
秋川まりえは黒のコットン・ウールのセーターを着て、茶色の膝までの丈のウールのスカート
をはいていた。これまで学校の制服を着ている彼女しか見たことがなかったので、いつもとは雰
囲気がずいぶん違っていた。二人が並んで立つと、いかにも品の良い家庭の母子のように見えた。
でも二人が実際の母子ではないことを、私は免色から間いて知っている。
私はいつものように窓のカーテンの隙間から、彼女たちの様子を観察していた。それからドア
ベルが鳴らされ、私は玄間にまわってドアを開けた。
秋川まりえの叔母はずいぶん穏やかな話し方をする、顔立ちの良い女性だった。はっと人目を
惹くような美人ではないが、きれいに整った上品な顔立ちだった。自然な笑みが明け方の白い月
のように、口元に控えめに浮かんでいた。彼女は手土産に菓子折を持ってきた。私の方が秋川ま
りえにモデルになってもらいたいとお願いしているわけだから、手土産を持ってくる必要なんて
まったくないわけだが、初対面の相手の家を訪問するときには何か手土産を持参するものだとい
う教育を、きっと小さい頃から受けてきた人なのだろう。だから私は素直に礼を言ってそれを受
け取った。そして居間に二人を案内した。
この項つづく
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