2022年(令和4年)12月に福津市教育委員会は福津市のホームページに「新設校建設事業の現状について」を公表しています。この資料の4頁に”4.建設地の安全性について”の末尾に「なお、建設地は津波による被害を受ける想定はありません。」と明言しています。確かに福岡県津波浸水想定 市町村『福津市』の地図では、想定区域には入っておりません。しかし、地図には次のような〔留意事項〕が付記されています。
〇「津波浸水想定」の浸水域や浸水深は、避難を中心とした津波防災対策を進めるた
めのものであり、津波による災害や被害の発生範囲を決定するものではないことに
ご注意ください。
〇「津波浸水想定」では、津波による河川内や湖沼内の水位変化を図示していません
が、津波の遡上等により、実際には水位が変化することがあります。
この福津市教育委員会が掲載した資料は留意事項を無視し、いかにも安全であるかのように、誤解を招くように記載されています。新設校の予定地は、手光今川等に挟まれた低湿地で、福間海岸からわずか600mしか離れていない場所です。活断層(西山断層)が動けば、最大8.2マグニチュードの地震がおこり、福間海岸にはすぐに津波が到達し、盛土した校地は崩壊する危険性があります。これらの危険性を無視する福津市教育委員会は、いかに児童の安全性を蔑ろにしているかのいい事例です。
また,学校・自治体などの安全配慮義務の考え方が変わった宮城県石巻市大川小学校の津波訴訟控訴審判決が思い出されます。2019年10月10日付で、最高裁判所の上告及び上告受理申立ての棄却により、仙台高等裁判所の判決が確定いたしました。『大川小学校津波事故訴訟の控訴審判決の特徴は、従来の法的論理を変更した点にある。すなわち、大川小学校は、石巻市作成のハザードマップで予想浸水区域に入っていなかたものの、そのマップが依拠した宮城県作成の2004年津波浸水域は概略の想定結果にすぎず、おおきな北上川のそばにあり、地震動で堤防が沈下、損傷を起こし得る実際の立地条件に照らして検討すれば、津波の被害を受ける危険性はあった。(中略)ハザードマップを妄信せずに、さまざまなデータと実際の立地環境にかんがみて、あり得る災害を想定し、組織の運営責任者は、避難場所の設定を含む防災の備えに日頃から連携して取り組むことを大川小学校控訴審は示している。』(専修大学法学部 飯 孝行 教授の論文より抜粋)つまり建設地が津波浸水想定区域に入っているか否かだけで、組織の運営責任者(福津市長及び福津市教育委員会等)は安全性を判断することなく、公立学校における義務教育を受ける児童の安全確保義務に基づき判断しなければなりません。
大川小学校のような大惨事が起こってからでは遅いのです。今こそ、危険な宮司地区に小学校を建設する計画に反対をしましょう。