昨日のETV特集『ウクライナ侵攻が変える世界 2014 対立の原点』が興味深かった。これは2014年5月24日の『歴史と民族から考えるウクライナ』の座談会の再放送にコメントを加えるものだった。
現在、日本で見られる報道の多くはロシアが悪い、プーチンが狂人だ、の大合唱である。私もロシア軍のウクライナ侵攻は悪い、ただちにロシア軍は撤退すべきであると思うが、なにか、その報道に納得できかねないものが潜んでいると感じる。それは西側(the West)の一元的価値観の賛美である。
西側とはなんなのか。CNとかBBCを聞いていると、西側とはアメリカやイギリスのことを言っていて、この両国がひきいる自由主義経済の世界支配を主張している。問題は、そうではないでしょう。人道的問題でしょう。力で人を従わせていいものではないでしょう。軍事侵攻をはじめたら制圧できないからと言って、無差別攻撃をはじめていいものでないでしょう。私はそう思う。
だから、「西側」だけが世界ではないという、『歴史と民族から考えるウクライナ』座談会の立場を評価したい。ロシアには反米感情が渦巻いている。ロシアだけでなく、世界にも反米感情が渦巻いている。それがあるから、ウクライナ軍事侵攻でロシアを非難する国連決議に35ヵ国が棄権し、12ヵ国が無投票だった。
アメリカ中心の秩序が面白くないというプーチンの立場、ヨーロッパとアジアとが溶け合ったユーラシア主義が、これまでの「西側の傲慢 western hubris」のため、いまはさざ波でも大きなうねりになるかもしれない。
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