(OPPOのスマホで)
国会で、現在、「経済安全保障推進法案」を審議中である。そもそも、このような法案がなぜ必要なのかわからない。「経済安全保障」という考えは、アメリカで数年前から言われだしたものである。アメリカ政府の主張を聞いても、自分の国の企業が他国に対して優位性が崩れてきたので、他国を敵視し、自国の企業に支援し、他国の企業の進出を妨害するものにすぎない。
おかげで、この3月、auがガラケイをサポートしなくなったのとき、私は、性能に優れたファーウエイ(HUAWEI)のスマホを手に入れられず、かわりに、意地で、OPPOのスマホを手にした。
企業はお金儲けのために活動している。決して、国を守るために活動していない。国が、自国の企業を守り、他国の企業を潰すために、動いていいものか。それでは、私はフェアでないと思う。
1980年代、日米摩擦が起きたとき、アメリカは、日本政府が自国の企業を守るため、企業がすべき研究活動を政府機関が肩代わりしている、と批判した。じっさい、当時の日本はアメリカに対する劣等感があり、あらゆる面で日本政府が自国の企業を支援していた。
当時、私はアメリカ系のIT会社に務めたので、アメリカの企業研究者から、日本人は金儲けだけのために働いている、常軌をいっしている、アメリカが育て来た企業の自由な研究風土を壊している、と批判された。日本企業の急激な進出で、人間とマシンの新しいインタフェースを研究していたアメリカのゼロックス研究所が閉じた。ノーベル賞受賞者を抱えるベル研も閉じた。
結局、この日米の紛争は、為替レートの自由化、日本がアメリカから兵器を買い取ることで決着した。
そのアメリカ政府が、中国の科学技術の急激な発展に恐れおののき、数年前から、自国の企業防衛に走ったのである。中国の政治が民主的でない理由で、中国企業を排除する立場にたったのである。これがなければ、ロシア軍のウクライナ侵攻で、中国とアメリカとが協力してロシアの侵攻を止めることができただろう。
私は、政府が企業に介入できるのは、労働者を経営者の横暴から守るときだけで、経営者を他国の企業から守るために介入するのは、アンフェアだと思う。
大局的にみれば、人間に優劣がなければ、どこの国も、一人当たりの国民総生産が同じ程度になるはずだから、中国の国民総生産がアメリカの国民総生産を追い越すのは、自然なことである。また、たくさんの人がいれば、それだけ、優秀な人もいるだろう。人口の多い国の製品が優れるのも仕方がない。
日本の企業が世界で活躍したければ、国籍を問わずに、優秀な人を集めれば良い。しかし、優秀でない人間も生きる権利がある。それが民主主義である。
政府は企業のためにあるのではない。政府は、企業から国民を守るために、国民の幸せのためにある。企業はとどのつまり金儲けのために活動しているので、人の幸せのためでない。
「経済安全保障」の名目で、日本政府が自国の企業防衛に走ったり、日本の研究者に軍事研究を押しつけたり、研究の機密保持を押しつけたりするのは、おかしい。日本の企業経営者も自分の経営の過ちを従業員に責任を取らす体質をやめないといけない。
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