
パトリシア・ハイスミス女史の小説を原作とする太陽がいっぱい。アラン・ドロン演じるトム・リプリーを主演にした名作だが、その原作を読んでいない俺は実はその後にもトム・リプリーのシリーズが作られていることを知らなかった。太陽がいっぱいがシリーズ1作目で今回紹介するアメリカの友人は、その第3作目にあたる。今回トム・リプリーを演じるのは怪優デニス・ホッパー。アラン・ドロンとデニス・ホッパーが同じ役を演じているのだが、全くイメージが異なるし、キャラも違う。まあ、映画的には続編でもなく、もちろん太陽がいっぱいを観ていなくても本作から見ていてもオッケー。
本作はもちろんサスペンス映画であり、スリルを感じさせる場面もある。しかし、俺はスリルを味わいと言うよりも、男同士の危うさと脆さを抱えた友情に共感を覚えた。ちなみにパトリシア・ハイスミスの作品は太陽がいっぱい以外にも映画化されており、アルフレッド・ヒッチコック監督の見知らぬ乗客も彼女の作品の映画化。本作を観れば、なるほどと思わせるシーンがたくさん出てくる。
ちょっとばかり捻ったアイデアに惹きつけられるストーリーの紹介を。
アメリカ人であるトム・リプリー(デニス・ホッパー)はドイツのハンブルクに数年前に亡くなったとされる画家のデルワット(ニコラス・レイ)を訪ねる。デルワットは今はボガッシュと名乗り、彼自身の晩年の作品を書き続けており、それをトムが売りさばいていたのだ。
トムは競売の場で額縁職人ヨナタン(ブルーノ・ガンツ)と出会い握手を求めるが、ヨナタンから握手を断られた上に皮肉を言われてしまう。しかし、トムはその場で友人からヨナタンは実は血液の病気に罹っており、命が幾ばくもないことを知らされる。
トムの元にフランスから友人でありマフィアのミノ(ジェラール・ブラン)が訪ねてくる。ミノがトムに相談を持ち掛けた内容が、『殺してしまいたい奴がいるのだが、素人で殺害に協力してくれる奴はいないかな』という素っ頓狂な相談。その時にトムの頭の中に閃いたのがヨナタン。
ミノはヨナタンに近づき、病状で不安を煽り、その引き換えに大金をちらつかせて、人殺しを願い出るのだが・・・
妻と息子2人を抱えるヨナタンだが、自分が亡くなった後に家族はどうなるのだろうか。そんな心配につけ込む悪い奴が近づいてくる。殺害の素人に人殺しの依頼をするというアイデアが個人的に気に入った。ヨナタンは殺害を無事に実行するのだが、これが素人丸出し。しかし、これでも完全犯罪が成立してしまう展開にマジかよと思った。
この一度の成功に味をしめて、またミノがヨナタンに人殺しの依頼を掛けてくる。さすがに断るだろうとおもってたら、人の良いヨナタンは悩みながらも大金に目がくらんで受けてしまう。このまさかの展開に驚きと後悔の念が湧きだしたのがトム・リプリー。自分がヨナタンを暗殺者に推薦しておきながらも、殺人を実行するとは思っておらず、しかも2回目の殺人を依頼されて、それも引き受けるとはトム・リプリーにとってもまさかの展開。ここから、トム・リプリーは最初に出会った時の印象の悪さが吹っ飛び、ヨナタンに親しみを覚えることになる。
意外なことを切っ掛けに、トム・リプリーとヨナタンが友情に結ばれるのだが、これが非常に熱いものを感じさせる。暗殺のプロではなくて素人が人殺しを実行することのハラハラドキドキ感も楽しめるが、それよりも、この2人の関係の描き方が良い。トム・リプリーの責任感と迷惑をかけてしまったことに対する恩返しの気持ちに不覚にも俺の心に熱いものが込み上げてきた。しかし、この友情も予想通りとはいえ、長くは続かない。ヨナタンにすれば生涯続けば色々と迷惑な友情だから予想外の行動に出るのだが、終わりは余韻を残す。
色々なことがメタファーに使われていたり、何だかモヤモヤするような結末であったり、トム・リプリー演じるデニス・ホッパーの独り言が気になったりで、すっきりした気分で観終われなかったのは不満。しかし、本作で述べた以外にも、トムとヨナタンの間で渡し合いをされるオモチャみたいな小道具は個人的にはツボだったし、ハンブルクの鬱蒼とした雰囲気はストーリーに活かされていた。結構退屈な映画も撮ってしまうヴィム・ヴェンダース監督だが、本作は成功した部類の作品に当たるだろう。こうしてブログを書いている時に気付いたのだが、当時の有名映画監督を登場させていることも彼の映画愛を感じさせる。そんなことでヴィム・ヴェンダース監督作品と聞いて心が躍る人、男の友情を描いた内容が好きな人、あり得ない展開にもしらける気分にならな人に今回は映画アメリカの友人をお勧めに挙げておこう
監督は前述したドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。彼の得意のロード・ムービーの傑作パリ、テキサス、ベルリン天使の詩、アメリカ、家族のいる風景がお勧め
ポチっと応援お願いします。

映画ランキング

にほんブログ村 映画ブログ
本作はもちろんサスペンス映画であり、スリルを感じさせる場面もある。しかし、俺はスリルを味わいと言うよりも、男同士の危うさと脆さを抱えた友情に共感を覚えた。ちなみにパトリシア・ハイスミスの作品は太陽がいっぱい以外にも映画化されており、アルフレッド・ヒッチコック監督の見知らぬ乗客も彼女の作品の映画化。本作を観れば、なるほどと思わせるシーンがたくさん出てくる。
ちょっとばかり捻ったアイデアに惹きつけられるストーリーの紹介を。
アメリカ人であるトム・リプリー(デニス・ホッパー)はドイツのハンブルクに数年前に亡くなったとされる画家のデルワット(ニコラス・レイ)を訪ねる。デルワットは今はボガッシュと名乗り、彼自身の晩年の作品を書き続けており、それをトムが売りさばいていたのだ。
トムは競売の場で額縁職人ヨナタン(ブルーノ・ガンツ)と出会い握手を求めるが、ヨナタンから握手を断られた上に皮肉を言われてしまう。しかし、トムはその場で友人からヨナタンは実は血液の病気に罹っており、命が幾ばくもないことを知らされる。
トムの元にフランスから友人でありマフィアのミノ(ジェラール・ブラン)が訪ねてくる。ミノがトムに相談を持ち掛けた内容が、『殺してしまいたい奴がいるのだが、素人で殺害に協力してくれる奴はいないかな』という素っ頓狂な相談。その時にトムの頭の中に閃いたのがヨナタン。
ミノはヨナタンに近づき、病状で不安を煽り、その引き換えに大金をちらつかせて、人殺しを願い出るのだが・・・

妻と息子2人を抱えるヨナタンだが、自分が亡くなった後に家族はどうなるのだろうか。そんな心配につけ込む悪い奴が近づいてくる。殺害の素人に人殺しの依頼をするというアイデアが個人的に気に入った。ヨナタンは殺害を無事に実行するのだが、これが素人丸出し。しかし、これでも完全犯罪が成立してしまう展開にマジかよと思った。
この一度の成功に味をしめて、またミノがヨナタンに人殺しの依頼を掛けてくる。さすがに断るだろうとおもってたら、人の良いヨナタンは悩みながらも大金に目がくらんで受けてしまう。このまさかの展開に驚きと後悔の念が湧きだしたのがトム・リプリー。自分がヨナタンを暗殺者に推薦しておきながらも、殺人を実行するとは思っておらず、しかも2回目の殺人を依頼されて、それも引き受けるとはトム・リプリーにとってもまさかの展開。ここから、トム・リプリーは最初に出会った時の印象の悪さが吹っ飛び、ヨナタンに親しみを覚えることになる。
意外なことを切っ掛けに、トム・リプリーとヨナタンが友情に結ばれるのだが、これが非常に熱いものを感じさせる。暗殺のプロではなくて素人が人殺しを実行することのハラハラドキドキ感も楽しめるが、それよりも、この2人の関係の描き方が良い。トム・リプリーの責任感と迷惑をかけてしまったことに対する恩返しの気持ちに不覚にも俺の心に熱いものが込み上げてきた。しかし、この友情も予想通りとはいえ、長くは続かない。ヨナタンにすれば生涯続けば色々と迷惑な友情だから予想外の行動に出るのだが、終わりは余韻を残す。
色々なことがメタファーに使われていたり、何だかモヤモヤするような結末であったり、トム・リプリー演じるデニス・ホッパーの独り言が気になったりで、すっきりした気分で観終われなかったのは不満。しかし、本作で述べた以外にも、トムとヨナタンの間で渡し合いをされるオモチャみたいな小道具は個人的にはツボだったし、ハンブルクの鬱蒼とした雰囲気はストーリーに活かされていた。結構退屈な映画も撮ってしまうヴィム・ヴェンダース監督だが、本作は成功した部類の作品に当たるだろう。こうしてブログを書いている時に気付いたのだが、当時の有名映画監督を登場させていることも彼の映画愛を感じさせる。そんなことでヴィム・ヴェンダース監督作品と聞いて心が躍る人、男の友情を描いた内容が好きな人、あり得ない展開にもしらける気分にならな人に今回は映画アメリカの友人をお勧めに挙げておこう

監督は前述したドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。彼の得意のロード・ムービーの傑作パリ、テキサス、ベルリン天使の詩、アメリカ、家族のいる風景がお勧め

ポチっと応援お願いします。

映画ランキング

にほんブログ村 映画ブログ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます