~実録・闘病体験記~ 「私はこうして胃がんを乗り越えた」
11/5(木) 17:03配信
13
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Medical DOC
仕事中にかかってきた、病院からの緊急電話
仕事中にかかってきた、病院からの緊急電話
編集部:
最初に、胃がんと診断された経緯から伺わせてください。
大場さん:
私の勤めている会社では、35歳以上の社員は全員、人間ドックの受診が義務づけられています。そこで毎年、誕生日月の10月に、胃の内視鏡も含めた検査をしてもらっていたのです。検査の1週間後、病院から「すぐに来てほしい」と電話がかかってきたのは2017年の仕事中のことで、漠然とした不安に襲われました。業務を中断して駆けつけたところ、胃がんと診断されました。
編集部:
胃の内視鏡検査は「会社の決まり」だったのですか?
大場さん:
会社の費用負担が得られるのは、バリウム造影検査までです。胃がん診断時のさらに4年ほど前から「胃が少し荒れている」との指摘を受け、また、ピロリ菌への感染が判明したため、除菌治療に入っていました。そんな経緯もあって、バリウム造影検査から胃の内視鏡検査へ切り替え、差額を自己負担していたのです。
編集部:
ピロリ菌の感染は、胃がんの主要な原因として知られていますよね?
大場さん:
除菌治療の当時、医師から受けた説明としては、「ピロリ菌のせいで胃炎が治まりにくい。だから、胃がんへ発展しないうちに除菌を」というものでした。なお、1回目の治療では除菌しきれなかったのですが、仕事の忙しさもあって数年がたち、やっと2回目の除菌治療を受けていたなかでの「胃がん発覚」という流れですね。
編集部:
胃腸や消化器の調子って、普段はどうだったのですか?
大場さん:
正直、自覚症状は“全く”ありませんでしたね。むしろ「大食い・早食い」なのに体重が60kg前後で変わらず、それを自慢していたところもあります。身長が178cmなので、元々痩せ気味といえるのでしょうか。ちなみに、現在の体重は55kg前後で安定しています。
ショックはやがて、「早く治療を終えたい」という希望に
ショックはやがて、「早く治療を終えたい」という希望に
編集部:
胃がんの発覚時、医師からはどのような説明を?
大場さん:
第一声は、「胃の中に悪いモノが見つかった」でした。ただし、胃がんの初期ということで、胃の約8割程度を摘出すれば大事に至らないとの説明もありましたね。とりあえず安心したものの、食べることが好きでしたから、「胃が8割も摘出されたら、どうなっちゃうんだろう」というショックと大きな不安を覚えました。
編集部:
摘出手術以外に、治療の選択肢はあったのですか?
大場さん:
かつて腰のヘルニアの治療で背中を切開し、そのときの術後の痛みが今でも忘れられず、医師に「開腹せずに、内視鏡や腹腔鏡では手術できないんですか」とお聞きしたのですが、「まだ若いから開腹のほうが確実だよ」と言われ、最終的に納得しました。「ある程度再発も防げる」点も、開腹手術を選んだ大きな理由です。
編集部:
告知を受け、最初に頭をよぎったことはなんでしょう?
大場さん:
手術まで約1カ月で検査して、その後の退院まで約2週間かかるとのことで、まず仕事のことが心配でした。加えて、「入社10年目の社員に与えられる特別休暇」を取得できておらず、近々、妻と旅行する予定があったのです。もちろんキャンセルせざるを得ませんでした。一方で、生命保険の営業という仕事柄、「これは、自分自身の貴重な経験になるかもしれない」とも思いました。我ながら、割と冷静でしたね。
編集部:
「余命」という言葉が頭をよぎったりしましたか?
大場さん:
どうしても、インターネットなどで、いろいろと調べたくなりますよね。その中には、落ち込むような情報も、勇気づけられる情報も、たくさんありました。素人考えですが、その差は「がんを早期発見できたかどうか」だった気がします。自分は早期発見のケースなんだから大丈夫だろうと。そう、自分を励ますしかなかったですね。むしろ、「早く摘出してしまいたい」という気持ちが芽生えてきました。
監修医師からのコメント:
寒河江 三太郎先生(厚木胃腸科医院 院長)
最近の研究により、腹腔鏡下胃切除と開腹胃切除を比較すると、早期胃がん(ステージ1)の場合は、短期的(手術したあとの合併症など)にも長期的(がんが再発しないかどうか、長生きできるかどうか)にも同等という評価になっています。進行胃がんの場合は、短期的には同等、長期的には現在研究中となっています。
治療の際は、医師からメリット・デメリットを伺った上で、治療法を選択するようにしましょう。
胃の全摘になるかどうかは、がんの出現部位による
胃の全摘になるかどうかは、がんの出現部位による
編集部:
その後、どのような治療を受けることになったのですか?
大場さん:
がん治療そのものは、胃の約8割の摘出をもって“終わり”ということになりました。胃が2割しか残っていない状態でしたから、術後は固形物などは食べられず、流動食などを1日数回に分けてとっていましたね。私自身、料理ができませんので、妻の支えなしには生活できませんでした。胃を摘出した人向けの「料理レシピ本」なども出版されていて、妻は何冊も買って参考にしていました。感謝で一生、頭が上がりません。
編集部:
先ほど、体重もあまり落ちていないとのことでしたね。
大場さん:
医師によっても異なるのでしょうが、私の担当医は「とにかくお腹一杯食べなさい」という方針でした。その通りに実践していたら、術後3カ月ほどして、固形物や通常の食事量に「胃がなじんで」きました。今では、消化補助剤の処方を受けているものの、普通に食事できます。
編集部:
「元のように食べられなくなるのでは」という不安は、払拭されたわけですね。
大場さん:
はい、私の場合、がんが胃の下の方にできていたため、胃の上部を部分的に「残せた」そうです。もし、上のほうにできていたら、胃を全く残せない「全摘」になっていたのだとか。そう考えると、2割でも、あるとなしでは大違いですよね。本当にラッキーでした。胃を少しでも残せたおかげで、今ではちゃんと食欲もあります。
編集部:
ちなみに、セカンドオピニオンは受けられましたか?
大場さん:
最初に聞いた時は、開腹手術には抵抗を感じたんですけどね。一方で「早く摘出してしまいたい」という気持ちもあったので、考える時間をかけず、すぐに手術を受けました。セカンドオピニオンで時間を取られたくなかったからです。
編集部:
転機となる手術を終えて、心境の変化をお聞かせください。
大場さん:
これからの時代、3人に1人や、2人に1人ではなくて、「がんは全ての人がかかる病気」になる気がします。少なくとも、何らかのがん発症リスクは、皆さんそれぞれが抱えているのでしょう。だからこそ、定期的なチェックによる早期発見が大事だと思います。実際、私の担当しているお客さまにもそう伝えるようにしています。自覚症状があってから検査なのではなく、“定期検査を続けながらがんと向き合っていく”。そんな心境です。
今だから言えること、伝えたいこと
今だから言えること、伝えたいこと
編集部:
勤めている職場も、がんへの理解がありましたか?
大場さん:
生命保険の営業ですからね。私のお客さまで、がんに罹患された方もいらっしゃいますし、そんな方々の不安な気持ちを共有できて、これからは他のお客さまにもお伝えできると思ったら、むしろ前向きになりました。そういえば、入院中、同室の高齢のがん患者さんがいまして、改めて実感したことがあります。
編集部:
どのようなことでしょう?
大場さん:
ご高齢でのがんの症状がつらかったのでしょう。どうしても治療に前向きになれないようで、お薬を飲み忘れたり、食事をとらなかったりと、医師や看護師から何度も注意されていました。それを見て自分は若いうちに早期発見してもらい、本当にラッキーだったなと実感しています。
編集部:
もし、病気にかかる前の自分にメッセージを伝えられるとしたら?
大場さん:
「バリウム検査から胃カメラ検査に切り替えておいて正解!」ですね。それと、これは半ば笑い話ですが、「住宅ローンのがん保障特約付き団体信用生命保険(がん団信)に入っておいて!」です。これは、住宅ローンの返済中にがんを発症すると残債が「0円」になるという特約です。私は残念ながら入っていなかったので、これからもあと30年ローンを払い続けていきます……。
編集部:
がんを意識していない人にも一言お願いします。
大場さん:
「胃の内視鏡検査を、一度でいいから受けてみてください」ということでしょうか。胃の中で凹凸のあるような腫瘍だったら、おそらくバリウム造影検査でも発見できるのでしょう。一方で、胃の細胞組織の中に“染みこんでいくような浸潤性のがん”は、造影に出ません。胃がんの摘出手術前になぜか再度バリウム造影検査も受けたのですが、その画像に私の胃がんは映っていませんでした。あるはずのがんが見つからないって、怖くないですか?
編集部:
最後に、読者へのメッセージがあれば。
大場さん:
もし、発見が遅れ、胃がんが他に転移していたら、放射線治療などの長期的な治療に取り組んでいたでしょう。私自身、今、ここにいなかったかもしれません。これからは、がんの発症は誰にでも起き、避けられない運命という気がしています。ぜひ、内視鏡検査による直接的な早期発見に努めてください。それにより、その後の皆さんの人生が左右されますよ!
監修医師からのコメント:
寒河江 三太郎先生(厚木胃腸科医院 院長)
大場さんがお元気になられて、本当に良かったです。
通常、日本国内での胃がん治療は、「胃癌治療ガイドライン」に沿って行われますが、がんの進展具合により、治療法は大きく異なってきます。 ごく早期の胃がんでは、胃カメラで取れる場合もあります。その場合入院期間も1週間程度です。胃がんが進んでしまっている場合は、大場さんのように開腹手術や腹腔鏡手術などで、胃とその周りのリンパ節・臓器を一緒にとります。進行の具合によっては術前もしくは術後に化学療法を行う場合もあります。少しでも早期発見・早期治療することが有効なのは、間違いありません。
特に胃がんは、早期発見が有効で、早期胃がんでは治癒率が9割を超えています。大場さんのおっしゃるとおり、多くのがんには症状がありませんので、定期的ながん検診、特に胃に関しては、胃カメラ検査と早めのピロリ菌除菌をおすすめします。
編集部まとめ
定期的な健診が受けられる環境だったこと、胃の内視鏡検査へ切り替えていたこと、早期発見により摘出手術だけで済んだこと。胃がんを克服できた要因として、この3点が大きいようです。加えて、家族と職場の協力が得られたこと、たまたま生命保険の営業という仕事もあって、冷静にがんと向き合えたことなどが、以前と変わらない生活を取り戻せたのでしょう。「胃の内視鏡検査を、一度でいいから受けてください」。それが、インタビューを受けてくださった大場さんからの、切なるメッセージでした。
Medical DOC
kal***** | 1時間前
私も発見したのが奇跡とも言われる早期胃ガンでした。ただ顔つきが悪い進行がんになりえるものだった為、半年遅く見つかったら寛解ではなく共存になるところでした。
私も早期ですが開腹しました。内視鏡でも取れるのですが、目で見て術中に残存が無いか検査をしながらやった方が、取り残しが無いそうです。
いくら早期でも取り残しがあるか無いかが、再発との分かれ道なので。
返信1
14
3
liv***** | 52分前
私も早期胃がんが見つかりましたが、悪性度の高い印環細胞がんが噴門近くにできていた為腹腔鏡下での手術で全摘となりました。
健診で胃カメラをずっと飲んでいましたが、がんが見つかった翌々年からは自己負担金が加算されるようになったので、もし初めから自己負担金が発生していたのであれば胃カメラ飲んでいなかったかも…と怖くなります。
おかげさまで術後5年経過し、全摘ですが少しだけ太ってきました。
健診を受けさせてくれた会社、見つけてくれた内視鏡医、手術してくれた外科医、看護師の皆さんに感謝しかありません。
返信0
12
4
miw***** | 3時間前
私は内視鏡手術で、術後はネキシウムの服用だけで済みました。ピロリ菌除去の薬も終わり、最終検査が来週です。
"胃がん"という言葉は、周りにはやはり衝撃的だと感じています。
本人は割とケロリとしてました。
でもそれも、"初期" と言われたからとわかっています。
私も、年に一度の健診と胃カメラを受けていたからこその早期発見だと、主治医にいわれました。
返信0
26
9
dri***** | 3時間前
私も同じ病気で手術しました。ただ、若いから開腹手術になったとは不思議です。
術後の身体への負担が少ないのは腹腔鏡手術です。また、現在はほとんどが腹腔鏡手術が行われている為、何故と思いました。
返信1
22
6
ミカエル | 1時間前
私も罹患者ですががんは自分の細胞が異常状態であると思えばきつい抗がん剤はもうやりたくないです。何を選んでも再発の可能性はある。
自分の体に優しい食事と免疫上がる生活が最高の薬だと思います。
返信0
4
0
河童の都市 | 1時間前
私も5年前に腹腔鏡手術による胃全摘術を行いました。
転移と再発なく今を迎えております。やはり早期発見が大事です。
胃を残すのと全摘出と、どっちがいいのかはわかりませんが
私の場合は転移による危険回避のための全摘出となりました。
胃は無くなりましたが食欲も食べる量も5年前と変わりません。
また、腹腔鏡手術は先生の腕によりリスクもありますが、術経験の
多い先生に執刀してもらえたら安心です。
私は執刀して頂いた先生に感謝と献血でそれとなしに見つかったので
献血をするのがお勧めです。(血液検査でガンがわかる)
返信0
3
6
Tav***** | 1時間前
>“定期検査を続けながらがんと向き合っていく”。
全ては、この言葉に集約されていると思う。
癌の治療は、部位にもよるが、多くの場合基本的には「延命」であって、「寛解」はあっても、いわゆる「完治」はないと思った方がいい。
手術適応で上手く病巣が取り切れたとしても、引き続いて「抗癌剤」の投与による治療に入ることも多いし、再発の有無を確認するために一定年数の「経過観察」は必須。
一旦、癌に罹患したら、「一生付き合う病気」と覚悟して、一日でも長い「共存」を目指すしかない。
そういう意味で「癌という病自体を完全に乗り越える」ことは出来ないが、ある程度腹を括って「癌ごときに人生を支配されない」という「気持ちの上で乗り越える」ことを目指すことは出来る。
返信0
6
14
[] | 1時間前
がんなど「検診は危険だ」というような害悪な本が出回ってます。
病院の儲け主義を批判するために放射線を浴びて危険、ストレスがかかり、健康を害するとかいう非常にバカらしい内容です。
著者は常識を批判して俺かっけえと自分に酔って目立ちたがり屋なだけです。
そういう本を読むと信じてしまう人がいるのです。
そんな本を書いた著者は、病気になればいの一番に病院に行き、ありとあらゆる治療をするんでしょうなあ。
がんは早期発見、早期治療です。
返信0
9
7
小鉄 | 1時間前
60歳未満のがんにかかる割合は10人に1人。
2人に1人はがんにかかるとか保険屋のいうことを信用してはいけない。
高齢になったら最後は老衰か、がんで死ぬ。
返信0
8
3
vis***** | 3時間前
がん治療医とがんサバイバーの大いなる勘違い
がんを治した、がんが治った、と誇らしげに語る人たちがいますが
実際には、胃全摘、乳房全摘、子宮卵巣全摘、など臓器をそっくり
取っているだけですね。治したのではなく、ただ取っているだけ。
脳腫瘍を治すのに脳全摘して治った、と言っているようなものです。
こういう治療をして、治した、治った、と言っている可笑しさに
気づいていないのでしょうか。
11/5(木) 17:03配信
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仕事中にかかってきた、病院からの緊急電話
仕事中にかかってきた、病院からの緊急電話
編集部:
最初に、胃がんと診断された経緯から伺わせてください。
大場さん:
私の勤めている会社では、35歳以上の社員は全員、人間ドックの受診が義務づけられています。そこで毎年、誕生日月の10月に、胃の内視鏡も含めた検査をしてもらっていたのです。検査の1週間後、病院から「すぐに来てほしい」と電話がかかってきたのは2017年の仕事中のことで、漠然とした不安に襲われました。業務を中断して駆けつけたところ、胃がんと診断されました。
編集部:
胃の内視鏡検査は「会社の決まり」だったのですか?
大場さん:
会社の費用負担が得られるのは、バリウム造影検査までです。胃がん診断時のさらに4年ほど前から「胃が少し荒れている」との指摘を受け、また、ピロリ菌への感染が判明したため、除菌治療に入っていました。そんな経緯もあって、バリウム造影検査から胃の内視鏡検査へ切り替え、差額を自己負担していたのです。
編集部:
ピロリ菌の感染は、胃がんの主要な原因として知られていますよね?
大場さん:
除菌治療の当時、医師から受けた説明としては、「ピロリ菌のせいで胃炎が治まりにくい。だから、胃がんへ発展しないうちに除菌を」というものでした。なお、1回目の治療では除菌しきれなかったのですが、仕事の忙しさもあって数年がたち、やっと2回目の除菌治療を受けていたなかでの「胃がん発覚」という流れですね。
編集部:
胃腸や消化器の調子って、普段はどうだったのですか?
大場さん:
正直、自覚症状は“全く”ありませんでしたね。むしろ「大食い・早食い」なのに体重が60kg前後で変わらず、それを自慢していたところもあります。身長が178cmなので、元々痩せ気味といえるのでしょうか。ちなみに、現在の体重は55kg前後で安定しています。
ショックはやがて、「早く治療を終えたい」という希望に
ショックはやがて、「早く治療を終えたい」という希望に
編集部:
胃がんの発覚時、医師からはどのような説明を?
大場さん:
第一声は、「胃の中に悪いモノが見つかった」でした。ただし、胃がんの初期ということで、胃の約8割程度を摘出すれば大事に至らないとの説明もありましたね。とりあえず安心したものの、食べることが好きでしたから、「胃が8割も摘出されたら、どうなっちゃうんだろう」というショックと大きな不安を覚えました。
編集部:
摘出手術以外に、治療の選択肢はあったのですか?
大場さん:
かつて腰のヘルニアの治療で背中を切開し、そのときの術後の痛みが今でも忘れられず、医師に「開腹せずに、内視鏡や腹腔鏡では手術できないんですか」とお聞きしたのですが、「まだ若いから開腹のほうが確実だよ」と言われ、最終的に納得しました。「ある程度再発も防げる」点も、開腹手術を選んだ大きな理由です。
編集部:
告知を受け、最初に頭をよぎったことはなんでしょう?
大場さん:
手術まで約1カ月で検査して、その後の退院まで約2週間かかるとのことで、まず仕事のことが心配でした。加えて、「入社10年目の社員に与えられる特別休暇」を取得できておらず、近々、妻と旅行する予定があったのです。もちろんキャンセルせざるを得ませんでした。一方で、生命保険の営業という仕事柄、「これは、自分自身の貴重な経験になるかもしれない」とも思いました。我ながら、割と冷静でしたね。
編集部:
「余命」という言葉が頭をよぎったりしましたか?
大場さん:
どうしても、インターネットなどで、いろいろと調べたくなりますよね。その中には、落ち込むような情報も、勇気づけられる情報も、たくさんありました。素人考えですが、その差は「がんを早期発見できたかどうか」だった気がします。自分は早期発見のケースなんだから大丈夫だろうと。そう、自分を励ますしかなかったですね。むしろ、「早く摘出してしまいたい」という気持ちが芽生えてきました。
監修医師からのコメント:
寒河江 三太郎先生(厚木胃腸科医院 院長)
最近の研究により、腹腔鏡下胃切除と開腹胃切除を比較すると、早期胃がん(ステージ1)の場合は、短期的(手術したあとの合併症など)にも長期的(がんが再発しないかどうか、長生きできるかどうか)にも同等という評価になっています。進行胃がんの場合は、短期的には同等、長期的には現在研究中となっています。
治療の際は、医師からメリット・デメリットを伺った上で、治療法を選択するようにしましょう。
胃の全摘になるかどうかは、がんの出現部位による
胃の全摘になるかどうかは、がんの出現部位による
編集部:
その後、どのような治療を受けることになったのですか?
大場さん:
がん治療そのものは、胃の約8割の摘出をもって“終わり”ということになりました。胃が2割しか残っていない状態でしたから、術後は固形物などは食べられず、流動食などを1日数回に分けてとっていましたね。私自身、料理ができませんので、妻の支えなしには生活できませんでした。胃を摘出した人向けの「料理レシピ本」なども出版されていて、妻は何冊も買って参考にしていました。感謝で一生、頭が上がりません。
編集部:
先ほど、体重もあまり落ちていないとのことでしたね。
大場さん:
医師によっても異なるのでしょうが、私の担当医は「とにかくお腹一杯食べなさい」という方針でした。その通りに実践していたら、術後3カ月ほどして、固形物や通常の食事量に「胃がなじんで」きました。今では、消化補助剤の処方を受けているものの、普通に食事できます。
編集部:
「元のように食べられなくなるのでは」という不安は、払拭されたわけですね。
大場さん:
はい、私の場合、がんが胃の下の方にできていたため、胃の上部を部分的に「残せた」そうです。もし、上のほうにできていたら、胃を全く残せない「全摘」になっていたのだとか。そう考えると、2割でも、あるとなしでは大違いですよね。本当にラッキーでした。胃を少しでも残せたおかげで、今ではちゃんと食欲もあります。
編集部:
ちなみに、セカンドオピニオンは受けられましたか?
大場さん:
最初に聞いた時は、開腹手術には抵抗を感じたんですけどね。一方で「早く摘出してしまいたい」という気持ちもあったので、考える時間をかけず、すぐに手術を受けました。セカンドオピニオンで時間を取られたくなかったからです。
編集部:
転機となる手術を終えて、心境の変化をお聞かせください。
大場さん:
これからの時代、3人に1人や、2人に1人ではなくて、「がんは全ての人がかかる病気」になる気がします。少なくとも、何らかのがん発症リスクは、皆さんそれぞれが抱えているのでしょう。だからこそ、定期的なチェックによる早期発見が大事だと思います。実際、私の担当しているお客さまにもそう伝えるようにしています。自覚症状があってから検査なのではなく、“定期検査を続けながらがんと向き合っていく”。そんな心境です。
今だから言えること、伝えたいこと
今だから言えること、伝えたいこと
編集部:
勤めている職場も、がんへの理解がありましたか?
大場さん:
生命保険の営業ですからね。私のお客さまで、がんに罹患された方もいらっしゃいますし、そんな方々の不安な気持ちを共有できて、これからは他のお客さまにもお伝えできると思ったら、むしろ前向きになりました。そういえば、入院中、同室の高齢のがん患者さんがいまして、改めて実感したことがあります。
編集部:
どのようなことでしょう?
大場さん:
ご高齢でのがんの症状がつらかったのでしょう。どうしても治療に前向きになれないようで、お薬を飲み忘れたり、食事をとらなかったりと、医師や看護師から何度も注意されていました。それを見て自分は若いうちに早期発見してもらい、本当にラッキーだったなと実感しています。
編集部:
もし、病気にかかる前の自分にメッセージを伝えられるとしたら?
大場さん:
「バリウム検査から胃カメラ検査に切り替えておいて正解!」ですね。それと、これは半ば笑い話ですが、「住宅ローンのがん保障特約付き団体信用生命保険(がん団信)に入っておいて!」です。これは、住宅ローンの返済中にがんを発症すると残債が「0円」になるという特約です。私は残念ながら入っていなかったので、これからもあと30年ローンを払い続けていきます……。
編集部:
がんを意識していない人にも一言お願いします。
大場さん:
「胃の内視鏡検査を、一度でいいから受けてみてください」ということでしょうか。胃の中で凹凸のあるような腫瘍だったら、おそらくバリウム造影検査でも発見できるのでしょう。一方で、胃の細胞組織の中に“染みこんでいくような浸潤性のがん”は、造影に出ません。胃がんの摘出手術前になぜか再度バリウム造影検査も受けたのですが、その画像に私の胃がんは映っていませんでした。あるはずのがんが見つからないって、怖くないですか?
編集部:
最後に、読者へのメッセージがあれば。
大場さん:
もし、発見が遅れ、胃がんが他に転移していたら、放射線治療などの長期的な治療に取り組んでいたでしょう。私自身、今、ここにいなかったかもしれません。これからは、がんの発症は誰にでも起き、避けられない運命という気がしています。ぜひ、内視鏡検査による直接的な早期発見に努めてください。それにより、その後の皆さんの人生が左右されますよ!
監修医師からのコメント:
寒河江 三太郎先生(厚木胃腸科医院 院長)
大場さんがお元気になられて、本当に良かったです。
通常、日本国内での胃がん治療は、「胃癌治療ガイドライン」に沿って行われますが、がんの進展具合により、治療法は大きく異なってきます。 ごく早期の胃がんでは、胃カメラで取れる場合もあります。その場合入院期間も1週間程度です。胃がんが進んでしまっている場合は、大場さんのように開腹手術や腹腔鏡手術などで、胃とその周りのリンパ節・臓器を一緒にとります。進行の具合によっては術前もしくは術後に化学療法を行う場合もあります。少しでも早期発見・早期治療することが有効なのは、間違いありません。
特に胃がんは、早期発見が有効で、早期胃がんでは治癒率が9割を超えています。大場さんのおっしゃるとおり、多くのがんには症状がありませんので、定期的ながん検診、特に胃に関しては、胃カメラ検査と早めのピロリ菌除菌をおすすめします。
編集部まとめ
定期的な健診が受けられる環境だったこと、胃の内視鏡検査へ切り替えていたこと、早期発見により摘出手術だけで済んだこと。胃がんを克服できた要因として、この3点が大きいようです。加えて、家族と職場の協力が得られたこと、たまたま生命保険の営業という仕事もあって、冷静にがんと向き合えたことなどが、以前と変わらない生活を取り戻せたのでしょう。「胃の内視鏡検査を、一度でいいから受けてください」。それが、インタビューを受けてくださった大場さんからの、切なるメッセージでした。
Medical DOC
kal***** | 1時間前
私も発見したのが奇跡とも言われる早期胃ガンでした。ただ顔つきが悪い進行がんになりえるものだった為、半年遅く見つかったら寛解ではなく共存になるところでした。
私も早期ですが開腹しました。内視鏡でも取れるのですが、目で見て術中に残存が無いか検査をしながらやった方が、取り残しが無いそうです。
いくら早期でも取り残しがあるか無いかが、再発との分かれ道なので。
返信1
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3
liv***** | 52分前
私も早期胃がんが見つかりましたが、悪性度の高い印環細胞がんが噴門近くにできていた為腹腔鏡下での手術で全摘となりました。
健診で胃カメラをずっと飲んでいましたが、がんが見つかった翌々年からは自己負担金が加算されるようになったので、もし初めから自己負担金が発生していたのであれば胃カメラ飲んでいなかったかも…と怖くなります。
おかげさまで術後5年経過し、全摘ですが少しだけ太ってきました。
健診を受けさせてくれた会社、見つけてくれた内視鏡医、手術してくれた外科医、看護師の皆さんに感謝しかありません。
返信0
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miw***** | 3時間前
私は内視鏡手術で、術後はネキシウムの服用だけで済みました。ピロリ菌除去の薬も終わり、最終検査が来週です。
"胃がん"という言葉は、周りにはやはり衝撃的だと感じています。
本人は割とケロリとしてました。
でもそれも、"初期" と言われたからとわかっています。
私も、年に一度の健診と胃カメラを受けていたからこその早期発見だと、主治医にいわれました。
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dri***** | 3時間前
私も同じ病気で手術しました。ただ、若いから開腹手術になったとは不思議です。
術後の身体への負担が少ないのは腹腔鏡手術です。また、現在はほとんどが腹腔鏡手術が行われている為、何故と思いました。
返信1
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ミカエル | 1時間前
私も罹患者ですががんは自分の細胞が異常状態であると思えばきつい抗がん剤はもうやりたくないです。何を選んでも再発の可能性はある。
自分の体に優しい食事と免疫上がる生活が最高の薬だと思います。
返信0
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河童の都市 | 1時間前
私も5年前に腹腔鏡手術による胃全摘術を行いました。
転移と再発なく今を迎えております。やはり早期発見が大事です。
胃を残すのと全摘出と、どっちがいいのかはわかりませんが
私の場合は転移による危険回避のための全摘出となりました。
胃は無くなりましたが食欲も食べる量も5年前と変わりません。
また、腹腔鏡手術は先生の腕によりリスクもありますが、術経験の
多い先生に執刀してもらえたら安心です。
私は執刀して頂いた先生に感謝と献血でそれとなしに見つかったので
献血をするのがお勧めです。(血液検査でガンがわかる)
返信0
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Tav***** | 1時間前
>“定期検査を続けながらがんと向き合っていく”。
全ては、この言葉に集約されていると思う。
癌の治療は、部位にもよるが、多くの場合基本的には「延命」であって、「寛解」はあっても、いわゆる「完治」はないと思った方がいい。
手術適応で上手く病巣が取り切れたとしても、引き続いて「抗癌剤」の投与による治療に入ることも多いし、再発の有無を確認するために一定年数の「経過観察」は必須。
一旦、癌に罹患したら、「一生付き合う病気」と覚悟して、一日でも長い「共存」を目指すしかない。
そういう意味で「癌という病自体を完全に乗り越える」ことは出来ないが、ある程度腹を括って「癌ごときに人生を支配されない」という「気持ちの上で乗り越える」ことを目指すことは出来る。
返信0
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[] | 1時間前
がんなど「検診は危険だ」というような害悪な本が出回ってます。
病院の儲け主義を批判するために放射線を浴びて危険、ストレスがかかり、健康を害するとかいう非常にバカらしい内容です。
著者は常識を批判して俺かっけえと自分に酔って目立ちたがり屋なだけです。
そういう本を読むと信じてしまう人がいるのです。
そんな本を書いた著者は、病気になればいの一番に病院に行き、ありとあらゆる治療をするんでしょうなあ。
がんは早期発見、早期治療です。
返信0
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小鉄 | 1時間前
60歳未満のがんにかかる割合は10人に1人。
2人に1人はがんにかかるとか保険屋のいうことを信用してはいけない。
高齢になったら最後は老衰か、がんで死ぬ。
返信0
8
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vis***** | 3時間前
がん治療医とがんサバイバーの大いなる勘違い
がんを治した、がんが治った、と誇らしげに語る人たちがいますが
実際には、胃全摘、乳房全摘、子宮卵巣全摘、など臓器をそっくり
取っているだけですね。治したのではなく、ただ取っているだけ。
脳腫瘍を治すのに脳全摘して治った、と言っているようなものです。
こういう治療をして、治した、治った、と言っている可笑しさに
気づいていないのでしょうか。