10月20日(09年)の当ブログ――《概算要求95兆円から3兆円圧縮への査定は少な過ぎないか》で、国の地方向けの補助金が殆んどの地方自治体で不正流用ができるムダを含ませている補助金算定(とその監視)の杜撰さ等を例に挙げて、民主党の概算要求額95兆380億円の各事業に於ける予算算定にしてもマニフェストに掲げた政策以外は官僚主導で行われただろうから、麻生政権09年度14兆7千億補正予算からムダ遣いや優先順位を洗い出してその約20%に相当する2兆9259億円を取り除くことができたなら、概算要求額95兆380億円にしても20%は不要(=ムダ遣い)・不急(=非優先)の目安の基準とすることができるのではないかといったことを書いた。
また一律20%削減の根拠に、以前建設談合が大手を振って罷り通っていた時代に元請会社が下請に仕事を丸投げする場合、2割から2割5分の相場でハネ、その下請がさらに孫請に丸投げする場合、2割前後をハネるのが慣例となっていることを挙げて、そこに4割から4割5分のムダがあるということだから、その半分としても一律20%削減は無理な数字ではないといったことを挙げた。
自民党参院議員の脇雅史が11月6日の参院予算委員会で質問に立って公共工事削減の煽りを受けて中小建設会社がバタバタ倒産している、建設業は悲惨な状況に追いやられている、日本の公共事業は高コストと言っているが、労働者の賃金は最悪だ、必要な公共工事は進めるべきだと、どういった公共工事が必要なのか理由は言わずにしつこく迫ったのに対して、前原国土交通相が倒産は由々しい状況だがと言いつつ、高コストと底辺の労働者の最悪だという賃金に関して一つの例を挙げている。
「沖縄の公共事業の、じゃあ、地元にいくら、何パーセントのおカネが落ちているかということを調べてみました。そしたらですね、沖縄の公共事業の51%しか落ちていないんですね。
つまりは49%は本土に引き上げられているということ」
実際に肉体労働するのは最も下に位置する会社の土木作業員だから、約半分以下の工事費の中から人件費を捻り出すということになれば、当然最悪賃金となることを示唆していた。
そしてそういったことに改善の余地はあるが、全体的には日本が置かれている巨額の財政赤字を前にした制約要因を考えると新たな公共投資というものはなかなか難しい状況になっているという考えを示していた。
前原国交相が言っているように沖縄の公共事業の例を挙げて、地元の落ちるのは51%、本土に49%引き上げられる(吸い上げられる)ということなら、沖縄の公共事業に限ったことではないだろうから、丸投げする場合、最初は2割から2割5分、次に2割前後と段階的にハネられ、全体で4割から4割5分上に吸い上げられるという噂はかなり根拠のある事実ということになる。
また高速道建設にしても空港建設にしても、計画当初の殆んどの需要予測が実際の需要を下回るといった事態も、事業計画能力と予算算定能力に欠陥があることの証明であろう。
要するに官僚はムダを作り出す能力には長けているが、ムダをなくす能力に見るべき点はないということである。当然コスト意識を欠いていることになる。
さらに25日(09年11月)のブログ、《JICA出身山本一太の言う「納得させる説明能力」》で、仕分け人の追及に省庁側が満足に答えることができない事態は事業計画とその予算付け自体が杜撰でムダだらけだから、どのような雄弁な説明も獲ち取ることができないのだといったことを書いた。
多くの事業が、あるいは殆んどと言っていい事業が計画自体が不満足な形となっていて、予算算定も放漫な計算となっているということであろう。これを言い直すと、事業も予算もムダがあるということである。
これは明らかにコスト意識の欠如が出発点となっている事業と予算のムダではないだろうか。コスト意識が厳しいまでにしっかりしていたなら、ムダな事業を計画したり、あるいは計画した事業の中にムダな部分を生じさせるようなことはしないだろうし、当然予算算定も隙のないしっかりとした計算を成り立たせるはずだからである。
官僚のコスト意識のなさはブログにも書いているが、随意契約や競争入札を装った限りなく随意契約に近い一社応札、天下りが多くいる公益法人等には補助金を多く配分する、仕事を沢山回して契約を多くする等の便宜を図っていることからも十分に窺うことができる。
いわば、すべての事業と予算に対してムダを絶対前提としてかかる必要があるということである。前者のブログで民主党政権の概算要求額95兆380億円から約20%を取り除くとしたら、19兆076億円圧縮できて、76兆304億円と下げることができる、その半分の10%をムダと看做しても、9.5兆円削減できるのではないかと書いた。
そして例え必要とする事業であっても、すべての事業の予算を強制的に一律的に1割カットといったふうに設定して、その少ない予算の中で遣り繰り算段させ、そこを出発点として予算算定能力を高め、官僚のムダ遣いを正していく道筋として、コスト意識を高めていくべきではないかといったことを書いた。
スパコン予算を復活させるとしても、同じくムダの存在を前提としてやはり1割はカットすべきだろう。その他の科学予算も同様の扱いとするのは当然である。
勿論事業仕分けは行って、所管官庁が事業を委託した天下り公益法人がさらに下の法人や企業に丸投げして何も仕事をせずに高額の報酬だけを受け取る、あるいは公益法人経営の赤字経営のイベント施設や駐車場経営といったムダそのものに当たる非生産的な形態を炙り出して、現在行っているようにそういった法人や施設は廃止の方向に持っていったり、報酬の取り過ぎといったことは是正させ、最初に一律1割切った上にさらに予算を削るといったことはしなくてはならないのは断るまでもない。 |