神出鬼没の虚無僧でござる。丁度10年前の今日、私は水道橋の東京ドーム前に立っておりました。
私が向かったのは 東京ドームの脇にあるという『鎮魂の碑』。
ありました、地下鉄の「後楽園」駅に向かう道路沿いに。ここだけは、人通りが全くなし。
「鎮魂の碑」と刻まれたこの石碑は、戦争に狩り出されて亡くなった野球選手の霊を慰めるために建立されたものです。
名投手「沢村栄治」のことは『巨人の星』で知りました。「ベースボール」は「敵性ゲーム」とみなされたからでしょうか。野球選手の多くが召集され、69人もが戦死したのでした。
そしてその中に「石丸進一」君。もう、この人の名前を聞いただけで涙が溢れます。「特攻隊員として戦死した名古屋軍(現中日ドラゴンズ)のエース、石丸進一君」について、従兄弟の牛島秀彦氏が 裂帛の思いを込めて制作した映画『人間の翼―最後のキャッチボール』。
自主制作映画ゆえか、一般の劇場では上映されることのない映画ですが、私は3回 観る機会があり、ビデオまで買いました。ラストシーンで、父親が飛行機の爆音を聞くと家を飛び出し、「進一が帰ってきた、進一、進一」と空に向かって手を振るシーン。もう思い出しただけで涙が止まりません。
鎮魂の尺八も音にならず。しばし佇んで「後楽園駅」の方に歩を進めると、数十m 離れたところにいたガードマンが一人私に向かって頭を下げてくれたのでした。
右上の段の右から6人目に「石丸進一」。
真ん中の段の右から4人目に「沢村栄治」
このお二人は何かと有名になりましたが、それ以外にも67人もおられることを忘れてはなりません。