マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

大阪の天麩羅職人諸兄 !

2013-11-21 19:13:47 | Weblog

香ばしく揚がった、才巻海老の頭。






塩をパラリと散らして、サクサクッ…。 未熟な車海老でなきゃ、こうはいかない。


こちらはミナミ・島之内にある「天冨良 天繁」。
もうこの地で28年にもなる。

主人は東京銀座の有名店「天一」出身。
天一仕込みの天麩羅がミナミで食べられるようになったか…と
感慨深かったもんだ。






ビールはキリンとアサヒ。後者にした。


まずはイカのたらこ和え  ビールに合わないはずはないね。





すぐさま、天麩羅。 ここいらが専門店だ。

主人はすぐに裏に活海老を取りに行ったけど、欲をいえばもうひと呼吸欲しい。

お造りなんぞ出さなくていいから、何か一品挟み、何にするかは悩ましいところだが、

そしていざ天麩羅へ向かう、その間合いがせわしない。 


初手は、多くの天麩羅屋がそうするように、車海老。

熱いところを急いでムシャムシャ食ってしまうが、

不必要に衣をまとわせず、周りは火を通し、中心部分は半生。ひとつも油を感じさせない。

そのクセのない淡い甘味。勿体ないので、レモン使わず、塩だけで。

偽装で一躍有名になったパナメイ海老やブラックタイガーではこうはいかないだろう(たぶん)。

尻尾がカリリとアクセントになる。 







油の配合まで聞かなかったが、太白胡麻油とコーン油とのブレンド。

ほとんどそれと判らない程度の胡麻の香り。

東京で天麩羅に目覚めたもんとしては、もうちいと胡麻油の香りがするのが好きかな。







きす 片身はレモンと塩。もう片身は天つゆと大根おろしで。

クセがない上品な魚だ。

酒に切り替える。 秋田の両関の冷酒一種類のみ。

さて、野菜の部へ。






シイタケには海老が打ち込んである。

アヂヂ…ヤケドしたってかまやしない。

揚げて出される端から食べて行く。

大急ぎで写真を撮ってからだが。

なんなら、その鉄箸から直接口に入れてもらいたい程。







ぎんなん 間に三度豆だったかな。

そして、ほたてが見事。 甘味と香り、こんな美味いほたて、

なかなかお目にかかれるもんぢゃない。

衣に閉じ込められるから、そこに歯を立てた時、熱と共にふわっと

香りが立ち昇るのだ。 顔がゆるんでしまう。







箸休めにサラダが出る。 この5倍は食べたい。

主人、長井和夫さんは北九州の出で、銀座天一に16年いて、

帝国ホテル店の店長まで行き、独立した。

職人だから多弁ではない。 愛想もお世辞もないから

怒ってるのかというと、そうではない。

訊ねれば応えてくれる。




グリーンアスパラ


奥さんを病気で3年ほど前に亡くされたらしい。

ちょっと白髪が進んでいるお姿を見るに、当人もご病気を

されたのかもしれない。 昔の面影しか頭になかったので、

一瞬、歳をとられた気がした。こっちも同様、歳とってる訳だけどね。

かつて食べに来た、昼間の天丼を数年前にやめてしまったという。

そりゃ残念。 そこもなんとなく元気がないように感じた一因。

 


ワカサギ


東京での具合はわからないが、今や天麩羅という料理、

割烹料理やらに組み込まれてしまい、専門店など風前の灯。

今の若いのは回転ずしでいいように、天麩羅なぞ、スーパーの冷えた奴で

いいのかもしれぬ。実は非常に優れたセンシティブな料理なのである。

天麩羅は油と水分との交換作業。

薄い衣一枚隔てて、高温の油により、内側の魚菜を短時間に

蒸し上げてしまう。行きすぎると火が通りすぎ、壊れるから

その見極めがお職人の腕ということになる。

だから、さっと置かれたら、もたもたせず口へ放り込みたい。

会話なんか後回しだ。




ブナシメジ、ヒラタケ


脂っこさなんかよほどステーキや焼き肉の方が感じるのだが、

なんとなく天麩羅、油っぽい気がして敬遠してしまうのだろうか。

なんだって天麩羅になりそうなものだが、高温で揚げて持ち味が出るものと

そうではないものがあるのだろう。それにしても意外な天種に乏しい。

こちらもだいたい予想が付く食材ばかりだった。

江戸前寿司だって勉強して、昨今いろいろなものを握ったりしてるじゃないか。

寿司に比べて、高級天ぷらになると割高な気がしてならない。

価格に挑むもよし、具材に挑むもよし、もっとチャレンジしていいんぢゃないのかな。

その余地は十分にあると言っておきたい。 出でよ、天麩羅屋の新星!




穴子


穴子も天麩羅に欠かせない準主役。これだけはカレー粉と塩で。半身は天つゆで。

素材に凝る以外には天つゆぐらいしか店の個性を出せないのだから、

塩レモンばかり多用せず、天つゆで食ってもらいたいね。

関西の天麩羅は野菜を多用し、白く軽く上品に揚げて、船場の旦那衆の酒肴として、

数をたべてももたれないように工夫された。

そうした関西の天麩羅もよかろうが、浅草風のプンと胡麻油のするのは、

酒よりも飯に合った。




      



はじかみが出てくると、あとはラストの食事となる寸法。

ここからは追加。

レンコンとサツマイモ、海老アンコールを所望。

海老を4回ぐらい続けたいが、懐の具合というものがある。




レンコン


そういえば、粋人たちの間で素人天麩羅が流行った時代があったという。

プロの職人のいなせな感じを真似して、家族に食わせたりした。

だがそんな粋な人間もほぼいなくなった。

家で戯れに寿司を握る人はいても…それだけ天麩羅が遠ざかってしまったのか…。







低いところに冷蔵庫があるのだろう、主人は座りこむように、

ボウルに粉を取り出し、冷水で混ぜる。その動作も楽ぢゃないな、きっと。

関西風天麩羅の嚆矢ともいわれる「天寅」の主人はかつて、

油はのんでかかれと言った。はねることもあるだろうが、

怖がっていてはだめだ…てなことを書いていた。

そんな話も聞いてみたかったが、他のお客もいるし、ジャマはしないでおこう。


ほどなく、アンコールの海老。







やっぱり才巻。 天麩羅の主役はやはり海老に尽きるだろう。

品格と華がある。 歌舞伎役者に海老蔵とつけたのもむべなるかな。




サツマイモ


じっくり揚げられたサツマイは、ほっくほくの鳴門金時。

今さらだろうけれども、もう少し主人は多弁でもいいな。

素材のこととか、油のことを喋ってくれた方が、よりおいしく食べることができるだろう。



シメはかき揚げでごはんになるが、天茶もミニ天丼にもしてもらえる。

ツレは天茶に。 これが実に美味そうだった。







でも、こっちはかき揚げで丼よぉ。 ああ、迷いませんとも。

ここだけはちょっと濃い丼つゆにつけて、東京っぽいのがよろし。







熱いところを崩して、ご飯に混ぜて、天ばら飯みたいに

してしまうのが絶対美味いと思うのだけど。

下品だが見せてしまう。

こいつを掻き込む。







お椀はしじみの赤だし。 ああ、いい塩梅ですな。







久々の天麩羅。 長らく行ってなかったが、どうも弾みが付きそうで怖い。






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