ぶとりの会とは堅太り、禿げ太り、焼け太り、ヤカラ太り(だったかな)の4人による女人禁制おっさんの鯨飲馬食の会である。スチールカメラの師匠と巨匠、評論家の宗匠、そして私。グスコーブドリという宮沢賢治の名作もあるではないかいな。悪に敢然と立ち向かう正義の会なのである。
ともあれ河原町OPA前で巨匠に拾ってもらい、裏寺町の立ち飲み「たつみ」へ。ここで4人合流。まず鶏肝なんぞで日本酒ひや。ツアーに出かける前に前飲みをし、胃袋に「これから行くぞ」といふ軽い信号を送っておく。
向かった先は、西院にある支店の方の「水月亭」。豚ホルモン焼きの名店。雅やかな名前なのに、内容はかなり濃い系である。
早速マッコリで乾杯。上水(うわずみ)と白の2種類、ジョッキで出てくる。サラリとした酸味が濃い味を中和してくれる。隣り合った団体は地元の労働者だと思ったが、東京のカツドウ屋だという。師匠、首からぶら下げたカメラを手に、どんどん他人の輪の中へ入ってゆく。人物画の師匠、静物画の巨匠か、なるほど~。
ただの食い助なのであるが、一品出る度に4人でカメラを構える。一体何モンや。まずは看板にもある蒸し豚。あっさりしていていける。これがスペインではハモンセラーノになるのだろう。豚肉食の知恵を持つ民族の歴史に乾杯。キムチを乗せて食うとさらに美味い。
レバ刺し。これまた結構なるかな。ふと豚って生で行けたっけなぁ~と疑念がよぎるが、そのまま行くべし。いけるッ!
小袋があるということは主人は済州島出身かな。鶴橋界隈では「小袋のタタキ」を頂いたことがあるが、刺身は初めて。赤貝の如き食感。辛いように見えるが、キムチの汁の如きタレに酢がきかせてある。ミュージシャンのコブクロを聞いた時、どうしても豚の子宮が浮かんで仕方なかった。
豚足は焼き直すと皮下脂肪の部分が柔らかくなり、オツでげす。
おっさん4人、コラーゲンたっぷり摂取して何になるというのだ。
この鍋がいい。我が家ではガキの時分、これでよくジンギスカンをやった。北海道出身でもないのになぜあったのかなぁ。
腸焼。あらかじめタレに揉み込まれている。しっかり漬け込んだ感じ。
このラフさもまた、本格派なるゆえん。
ホルモン(心臓、ミノ)バラ、天身…これは何を食ってるかをハッキリさせたいのが日本人。だが考えりゃそう四角張った話でもあるまい。美味けりゃいい。
ホルモンはしっかり焼いてパクつこう。マッコリもいいが、濃い目の味付けは白飯が欲しくなるのだ。
というわけで、ホルモン&めし。肉と飯は本来的には合わないと思うのだが、そこに醤油(または味噌系)の味付けが媒介となると、なんと両者は絶妙のマリアージュとなることか。
いやぁ食べた、だが、実はまだ秋場所は始まったばかりだった・・・
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