マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

肉屋のコロッケ

2012-07-03 00:50:50 | Weblog


誰しもが持っている、わが心のコロッケ。

カニクリームとかそんなんぢゃない。 肉屋の店頭、ラードの匂いがプンとするやつ。

布施のやまじんだったり、浜寺公園のプール帰りのコロッケだったり、芦屋は竹園だったり、

南森町なら中村屋だったり、京都東山だったら京屋、黒門なら関口、上六ならやまたけ、

大国町ならのんきや、あげ出すと切りがない。

ボクの生まれ故郷なら、今はもうない肉の阪本だった(阪本自体はたくさんある)。

満足に肉なんか入っていない。 ミンチのように見えたのはジャガイモの皮だったりする。







どんどん揚げて行くヤツを、舟の上に見事な手つきで乗せて行く。

緑のハトロン紙を上に、もう一重新聞紙にくるんで、輪ゴムをパチンととめてくれた。

あの手つきは見事だったなぁ。


ちなみに、こいつは今お気に入りの、高槻の「牛長」のコロッケ。1ケ60円。

いいオッサンが「コロッケ3つ」とかたのむのは恥ずかしいが、食い気の前には何の障害になろう。







小中学生の頃、津久野駅の横の阪本で揚げ立てのコロッケを買い、

でも帰り道、我慢できなくなって、団地の横あたりで新聞紙を広げた。

ザクッと一口・・・ハフハフ・・・旨いのなんの。

揚げ立てのコロッケには、ウスターもなんにもいらない。

これさえあれば、少々大池沿いの道が遠くても、かまやしない。

押さえがきかなくなるのだけが難だった。







美味であるコロッケも、1個の半分を過ぎるぐらいから

やがて来る別れが顕在化し、胸にせまる寂しさを禁じ得なくなる。

ああ、これくらいの量を地面に落してしまうのが一番イヤ。

地団太踏んで悔しがる。








死んだ祖母さんの用意してくれる、日曜の昼飯なんて、キャベツとこれが2個とかだった。

今思えば哀れ。 でもその当時はホイホイ喜んで、テレビで角座か寛美見ながら食ってた。







指先に余りに短い饗宴のなごりを残して、コロッケはきえてしまう。

慌てて食べたから、若干口の中にヒリヒリした感じを残すだけ。

指先に残る油、パン粉。

このままペロリとやったり、ズボンで拭いたり、かくして一巻の終わりを迎えるのである。

この小さな出会いと別れが忘れられないから、

今も肉屋のフライコーナーの前は素通りできないのである。




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