青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-31

2021-03-10 13:19:39 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月9日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雌雄異熟の話は、つまるところ雌雄同株とか雌雄異株とかの話に関係してくるわけで、雄と雌の持つ根本的な意味を考えなくてはなりません。僕の頭脳では、ちょっと難しすぎる。

でもチョウについてなら、その話題で幾らでも話が出来ます。全く話が逸れるけれど、蝶の話をします(本来ならば 写真メインで進めたいのだけれど探し出すのが大変なので文章だけで行く)。

★モンキチョウ亜科の2つのグループ「モンキチョウ」(寒冷地/郊外/草原性)と「キチョウ」(温暖地/都市/森林性)

このあいだ、モンキチョウの写真(とまった葉っぱと同じ色!)を紹介しました。普通種ですが、いろんな興味深いテーマを秘めた蝶です。良く知られているのは、(雌が雄を追いかける!)求愛パターン。

一方、余り知られていないのが、キチョウの雄の「謎の求愛?」です。今回はその話をする予定ですが、その前に、えーと、モンキチョウの古い和名は「オツネンチョウ(越年蝶)」と言いますね。春早くから秋遅くまで一年に何世代も出現を繰り返すので、てっきり成蝶で冬を越すとの誤解に基づくもの、と説明されています。でも、なんか「後付け」のような気がします。そんな(春早くから秋遅くまで一年を通して出現する)蝶は他にも幾らでもいることだし、わざわざモンキチョウを当てることはないかと。単純に(成蝶で越年する)キチョウと混同しているだけなのではないでしょうか?

モンキチョウとキチョウ。両者を併せて、シロチョウ科の大きな一群であるキチョウ亜科(あるいはシロチョウ亜科キチョウ族*)を構成します。

*毎度同じことを言いますが、分類単位の選択は、研究者ごとに異なります。前者を採った場合、モンキチョウは「キチョウ亜科のモンキチョウ族」、キチョウは「キチョウ亜科のキチョウ族(ヤマキチョウ族)」、後者の場合なら、それぞれの「亜族」または「属群」に纏められることになります。

簡単に言えば、キチョウ(黄蝶)の仲間は、モンキチョウのグループと、キチョウのグループに分けられる、ということです。

★★静止時に絶対に翅を開かない蝶

それぞれについて述べる前に、モンキチョウとキチョウの両方を合わせたキチョウの仲間(以降、一応「キチョウ亜科」で話を進めます)は、蝶の中でも、例外的と言ってよい大きな特徴を持っています。

それは、止まって(静止して)いるとき、絶対に翅を開かない、ということ。100%例外なくこの性質を示すのは、シロチョウ科キチョウ亜科の種(日本産計9~10種)と、タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科キマダラヒカゲ属の種(2種)だけです。

そういった共通の特徴を有してはいても、モンキチョウとキチョウには、様々な相違点も見つかります。共に、大都市近郊にも普通に見られますが、細かく見渡すと、大雑把に言って、都市内部や住宅地などでよく見かけるのがキチョウ(近年になって、従来の「キチョウ」は「キタキチョウ」「ミナミキチョウ」の2つの種に分けられていますが、ここでは従来通り一括して「キチョウ」で記していきます、その詳細については別の機会に)、郊外の畑の周辺などに多いのがモンキチョウ、ということが出来ます。

簡単にかつ大雑把に言うと、モンキチョウのアイデンテティは、北の寒冷地の草原的環境(クローバーなど草本性マメ科を主な食草とする)にあり、キチョウのそれは、南の温暖地の森林的環境(ハギ類など本木性マメ科を主な食草とする)にある、ということです。

そのことは、種の単位だけではなく属単位でも当て嵌まります。モンキチョウ属Coliasは、北半球の冷温帯域に多数の種を擁し、キチョウ属Euremaは、世界の暖温帯~亜熱帯域に数多くの種が分布しています。

ただし、族(亜科と属の間の分類単位)まで範囲を広げると、そうも言えなくなる。

★★★モンキチョウの仲間の暖地性の一群ウスキシロチョウと、キチョウの仲間の寒冷地性の一群ヤマキチョウ

モンキチョウの仲間には、寒冷地のモンキチョウ属Coliasだけでなく、亜熱帯性のウスキシロチョウ属Catopsiliaが含まれます。同様にキチョウの仲間には、暖地性のキチョウ属Euremaだけでなく、北半球の温帯域に分布する ヤマキチョウ属Gonepteryxが含まれます。

モンキチョウの仲間もキチョウの仲間も、(族単位では)寒冷地にも温暖地にも等しく分布を広げているのです。ただ日本の大多数の地(都市周辺)においては、寒冷地草原性のモンキチョウがモンキチョウの仲間を代表し、温暖地森林性のキチョウがキチョウの仲間を代表している、というわけです。 

モンキチョウの仲間の一方の属、ウスキシロチョウ属は、日本では南国の蝶です。また、キチョウの仲間の一方の属、ヤマキチョウ属は、日本では山地の蝶です(中国では日本のように分かれてはいず、モンキチョウの仲間の寒冷地性モンキチョウ属も暖地性ウスキシロチョウ属も、キチョウの仲間の寒冷地性ヤマキチョウ属も暖地性キチョウ属も、概ね同じ地域で見ることが出来ます、ちなみに、ヨーロッパには、暖地性のキチョウ属とウスキシロチョウ属はいません)。

シロチョウ科
>キチョウ亜科
>>モンキチョウ族(ここでは「モンキチョウの仲間」と表記)
>>>モンキチョウ属(寒冷地、草原的環境、日本の都市周辺にも普通)
>>>ウスキシロチョウ属(温暖地、森林的環境、日本では南方のみに分布)
>>キチョウ族(ここでは「キチョウの仲間」と表記)
>>>キチョウ属(温暖地、森林的環境、日本の都市周辺にも普通)
>>>ヤマキチョウ属(寒冷地、草原的環境、日本では山地にのみ分布)

★★★★旧大陸(アジア)と新大陸(アメリカ)で、謎の逆転現象

話がどんどん逸れますが、上記の組み合わせに関して、非常に面白いことがあります。

モンキチョウの仲間(モンキチョウ族)とキチョウの仲間(キチョウ族)は、旧大陸(アジア)だけでなく、新大陸(アメリカ)にもいます。

アメリカのモンキチョウ属の種は、日本やヨーロッパの種と、ほとんど同じです(一応別の種になっている)。一方、アメリカのキチョウ属は、アジアでは異端的存在の種(ツマグロキチョウおよびホシボシキチョウ)に近縁な種がメインになります。いずれにしろ、モンキチョウ属、キチョウ属とも、アメリカにもいるわけです。

では、それぞれもう一方の属、モンキチョウの仲間のウスキシロチョウ属と、キチョウの仲間のヤマキチョウ属は、どうなのでしょうか?

両者とも、やはりアメリカにもいます。

ウスキシロチョウ属も、ヤマキチョウ属も、キチョウ亜科の中では大型で、それぞれ明確な外観的特徴を有しています。アメリカにも、アジアのウスキシロチョウとヤマキチョウと、それぞれほぼ同じ姿をした種が分布しています。

ところが、、、、、どう説明すれば良いかな?

新大陸(アメリカ)のウスキシロチョウは、旧大陸(アジア)のヤマキチョウと同じ姿。
新大陸(アメリカ)のヤマキチョウは、旧大陸(アジア)のウスキシロチョウと同じ姿。
これは一体、どういう事なんでしょうか?
上手く意味づけが出来ません(もとより、いちいち意味づけする必要はないですが)。

外観と、基本的形態(雄交尾器の構造など)が、見事に逆転しているのです。

因みに、ヤマキチョウ類(旧大陸のヤマキチョウ属+外観が旧大陸のウスキシロチョウにそっくりな新大陸産のヤマキチョウ近縁属)の雄生殖器は、チョウの中で最も軟弱で透明、よって顕鏡が非常に難しい。 

★★★★★ヤマキチョウ類はチョウの中で最も「長生き」

一度、アジアのモンキチョウとキチョウに話を戻します。

最初に述べた冬越しの話です。モンキチョウは成蝶の姿では冬越しをしません(ウスキシロチョウは熱帯の蝶なので問題外)。一方、(日本や中国の)キチョウやヤマキチョウは成蝶で越冬します。

キチョウとヤマキチョウは、同じ成蝶越冬でも、パターンが異なります。

キチョウ属は年に何世代も発生を繰り返し、最終世代が成蝶で越冬します。越冬する世代と、非越冬の世代では、姿が異なります。

一方、ヤマキチョウ属は、一年に一世代のみ出現。そのほとんどの時期が、成蝶の姿なわけですから、ということは、一つの個体が親(蝶)の姿のまま一年間生きているという、蝶のなかで(親の蝶になってからの)寿命が最も長い種 
ということになります。

スジボソヤマキチョウを例に挙げると、冬を越した雌は、春4~5月頃に卵を産みます。孵化した幼虫は一気に成長し、6月には次世代の成蝶が現れます。

そのあと、夏の一番暑い盛りは、木陰や地面の窪地などに退避して活動を停止し「越夏」するのだそうです。秋になって再び活動を開始(その頃までに交尾を完了)し、「冬越し」に入ります(ヤマキチョウも同じパターンですが、進行過程がひと月ほど後ろにずれる)。

ほぼ一年間親蝶の姿でいるわけで、「蝶」としては最も長生きなのですが、半分ぐらいは休んでるのですね(同じパターンを採る蝶に、タテハチョウ科ヒオドシチョウ属のヒオドシチョウやキベリタテハがいます)。

★★★★★★日本の常識は世界の非常識

ヤマキチョウ属は、スジボソヤマキチョウとヤマキチョウの2種からなっています。両者はそっくりで、かなりの熟練者でも正確な同定を出来ないことがあります。細かい区別点に一つ一つ当たっていくと、かえって混乱して、結果的に間違えてしまったりするのです(交尾器を顕鏡すれば確実)。

頼りになるのは、むしろパット見た印象ですね(翅の質感とか)。慣れればそれで9割がた区別がつきます。

日本だけでなく、台湾でも、中国大陸でも、遠くはヨーロッパまで、2種がセットになって分布しています(種の特定は研究者毎に異なる)。

ここでは便宜上、日本以外の種も、スジボソヤマキチョウとヤマキチョウ(通常地域ごとに別種とされていますが基本形質は共通します)として話を進めます。

日本では、両方とも山のチョウです。

しかし、スジボソヤマキチョウのほうが、各地の山に比較的広く分布している(関西などではかなり都市に近い低山にも見られる)のに対し、ヤマキチョウのほうは、ごく限られた地域の「山地草原」にのみ分布する、いわば絶滅の危機に晒されそうな状態にある種です。

これが中国では逆になります。成都や昆明などの大都市のど真ん中にもヤマキチョウ(細かく分けるとその姉妹種)がいるのに対し、スジボソヤマキチョウのほうは、かなり標高の高い山岳地帯に行かねば見ることが出来ません。

このことは、ヤマキチョウ属のペアだけではなく、多くの(日本と中国に分布する)生物に対しても共通します。

都市近郊の「自然環境は」、もともと人類と結びつきが深いのです。特に日本においてはその傾向が顕著なように思います。

日本独自の生物たちが住む最も日本的な環境(一言で言えば中間温帯域)にヒトがやってきて、日本人が住む日本という国家の中核になる社会が構築されたのです。

そこは地球レベルで巨視的に見れば特殊な位置づけに当たると思いますが、ローカルな視点に於いては、逆に最も普遍的な空間です。

より新しく出現したと思われる種(例えばスジボソヤマキチョウ)が、広い範囲に共通する環境の山間部に棲み、より古い時代から生き続けていると思われる種(例えばヤマキチョウやその姉妹種)は、原則としてその地域独自の環境に成り立っています。しかし、後者は人間の生活圏と被るわけですね。

中国では、そういった環境に、野生生物も人も、混然一体となって(ある意味無秩序に)身近な存在として成り立ち得ている。

日本では、元々の「日本独自の空間」は、後からやってきたヒトに占有されてしまい、(ある意味整然と区分けされることで)本来の住民は、その地域における普遍的な環境から、僅かに残った(ロカリティとしての普遍的要素を保ち持つ)特殊環境に追いやられた。
*“(「雑木林」や「山地草原」などを含む)里山”という空間が近年まで普遍的に存在していたのですが、、、。
**一部の日本独自の蝶(ヒカゲチョウ、スジグロチョウなど)は、都市空間に同化している。

まあ、余り理屈で話を進めたくはないですが、日本の常識は、世界の常識とは大きく異なる、というのは確かなようなのです。 

★★★★★★★越冬様式の違い(そもそも雄は何の為に冬を越すのか?)

もうひとつ、スジボソヤマキチョウとヤマキチョウには、決定的な違いがあります。

両者ともひとつの個体で親蝶のまま一年間生きるのですが、その大半は「夏眠+冬眠」の状態で過ごしています。

冬眠後の春の姿が、両者でまるっきり異なるのです。

スジボソヤマキチョウの場合は、どこでどうやって冬越しすれば、こんなに染みだらけ破損だらけのズタボロ雑巾のようになるのかと思うほど情けない姿(因みに枯葉に混じると溶け込んで存在が分からなくなってしまう)。

一方ヤマキチョウの場合、どこでどうやって冬を越せば、このように一点の汚れも、破れもなく、新鮮なままの姿でいられるのか。

それらのことは周知の事実ではあるのですが、といってその実態を子細に調べた、という報告も聞きません。2つの種の正反対の状況は、どんな事情によって導かれているのでしょうか?

ここで、もう一つの、より根本的な疑問。

(両種とも)冬越しした雌の役割は、春に芽生えた食草(クロウメモドキ類)の新芽に卵を産み付けることです。

でも、雄のほうは、、、一体なんの役割があるのでしょうか?

交尾は前年の夏のうちに済ませているはずです。ということは、冬越ししたあとの雄に、用は有りません。

そのことは、やはり成蝶で越冬するキチョウについても言えます。

★★★★★★★★老人が若い娘に手を出すのは本当に犯罪行為なのか?

キチョウ属がヤマキチョウ属と異なるのは、一年に何世代も発生を繰り返すことです。

春、冬越し後の雌によって生みつけられた卵は、一週間ほどで孵化し、幼虫は急速に成長し、親蝶になってからは「夏眠」とか「冬眠」とか余計なことはせずに、すぐに次の世代にバトンタッチすべく、初夏から晩秋まで、早いペースで何度も世代を繰り返します。

外観が、冬越しをする世代(一世代のみ)と、しない世代(複数世代)では異なります。

10月頃の状況は面白いですよ。夏の間に(成長が早いのがあったり遅いのがあったりすることで)出現の順番がごっちゃになって、冬越しをするほうの最終世代と、冬越しをする世代が同時に存在したりします。

さらに興味深いのは、冬越ししない世代の生き残りのボロボロになった雄が、羽化したばかりの冬越しする世代の雌と交尾していたりする。

そのパターンは結構撮影してるので、まんざら特殊な例でもないような気がします。

なお、人間社会に於いては、老人男性が若い娘に手を出すのは、あたかも犯罪のように捉えられがちですが、本当にそうなのかな? 単なる年齢差別なのではないのかと、ジジイとしては不謹慎な想いを懐いています(僕自身60歳になってからやっとモテだしたので、笑)。

でもって、詳しい事は調べられてはいないのだと思われます(誰か調べた人はいるのだろうか?いなければ誰かがぜひ挑戦して欲しい)が、キチョウの場合も、冬越しをする世代は、雌だけではなく雄もちゃんと冬を越すわけです。

でも、交尾はその前に済ませているわけでしょうから(まさか全部ジジイに取られてわけじゃないだろうし)、冬越し後の雄は用無しというわけです。何のために生きているのでしょうか?

まあ、一応、ちゃんと用があるみたいですね。

地面を這うようにして、芽生え始めたばかりの食草(概ね落葉樹のマメ科灌木)に卵を産み付けている雌の真上1mぐらいのところを、雄は、ヘリコプターのようにホバリングし続けている。

僕の観察した限りでは、ちょっかいを出すような気配はありません(ちょっかい出したいのだけれど、我慢してるのかも知れませんが)。雌が一生懸命産卵しているのを「上から見守っている」という雰囲気です。

一体、どういう意味なんでしょうかね。

いや、意味など探っても、本当のところの答えは出ないだろうし(むりやり意味付ければ付けることは出来るだろうけれど)。

「不思議」 
それが答えでも良いのではないでしょうか? 






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