Yassie Araiのメッセージ

ときどきの自分のエッセイを載せます

朝日記180223  ヴァイツゼッカーのゲシュタルト・クライスを読むことと、過去の2月23日朝日記と今日の絵

2018-02-23 20:15:39 | 絵画と哲学

朝日記180223  ヴァイツゼッカーのゲシュタルト・クライスを読むことと、過去の2月23日朝日記と今日の絵

 絵は(ザクロの実 2010)です。徒然ことは二つです。

徒然こと 1 Victor WeizsaeckerのGestaltKreisと Horace LambのHydrodynamicsを読むこと

徒然こと2  223日のarchives 7点です。

 

徒然こと 1  Victor WeizsaeckerのGestaltKreisと Horace LambのHydrodynamicsを読むこと

きょうは風邪をひいてしまったようで、天女舞の太極拳も休みました。

いま二つの本に付き合っています。

ひとつは、ヴィクトール フォン ヴァイツゼッカーのゲシュタルト・クライス みすず書房(Victors von Weizsaeker Gestaltcrise 1950)という本で、もうひとつは、H. ラムの流体力学(Sir Horace Lamb、Hydrodynamics、1032 Dover社)です。前者は初版が1938。つまり、私がうまれたころの出版です。神経生理学の古典で、昨年新装版が出版だされました。訳者の木村 敏・濱中淑彦はこの世界の第一級の学者で、この人たちの訳注の丁寧さをふくめ渾身の作品でもあります。 結局、通して3回ほど付き合ってしまいました。 私にとっては珍しいことであります。後者は、前者を読んでいるうちに、啓発をうけ、書棚にうずもれた状態からようやく取り出したものです。これはたしか1971年にWisconsinの大学の書店で仕入れたもので、ずうっと眠っていました。 流体の付き合いは仕事でお世話になった分野ですが、まがりなりにも糊口を与えてくれた感謝を、この本を通じてお礼のつもりで手にとりました。前者から入ります。

 失認症や失調症などの現代の注目の病の治療の分野への治療の道を拓いたひとです。ハイデッガーやフロイドのながれを汲み、哲学的にも人間の知覚と運動が一体的なものとして実存的(現象論)な観点からとらえる先進一大医学領域です。 一方、カントの認識批判哲学を、大脳系の思考の基盤として、ふたつの関係のなかでの学問構築でした。現在 アメリカにおいて、認知科学Somertic Scienceとして華々しい発展を遂げている源となったようです。

わたくしが特に注目しているところは、人間は自分の生理的能力から、たとえば、見るということに着目すれば、遠近、マクローミクロなどで焦点を分け、あえて倍率の異なるいくつかの階層を切り替えて知覚し、行動をとるというところです。(計算化学では、シームレスズーミングという用語があります)

 それをつぎつぎと切り替えていく能力がどういうもものであるか、まことに詳細に研究していて、その事例を上げていいきます。それだけでも十分に面白いです。 汽車が発車して、加速して、巡行速度になっていく過程での視覚のとらえ方のがらっと変わるその違いが典型例です。(Eizen Bahn Nystranum鉄道揺視、回転扉での視界の切り替え、馬の常歩~速歩~駈歩、読書で字を追うなど) 見る階層を切り替えていく(見て、消して、あらたに見る、そして消す)ということを知覚に焦点をあてます。彼はこの知覚は運動と一体になっているとします。刺激にたいする知覚と運動の一体環(クライス)でとらえる。それをおこすのが自我(Ego)と環界(Umwelt)との「絡み」であるとします。それらはいつ創造されたというものではなく、存在了解として、すでに存在しているとみる。それが生命であると位置づけます。 (その点での物理数学的な説明は主題から外れるとしたのでしょうか、意識的に避けいるようです。 彼の甥が著名な理論物理学者ですが、彼自身はあまり力学的記述は得意ではないようでしたが、さて?)私は、逆にこちらの力学の方に、大いに刺激をうけました。特に、流体力学でこれを考えるとどうなるかというものです。ご承知のように、力学での座標系はふたつ、つまりEuler系とLagrange系です。これを知覚が上手く切り替えている能力に興味をもつとします。 化学工学では、Wisconsin大学のByron Bird教授は、その名著Transport Phenomenaで、有名な記述があります。橋の上から、川の鱒の群れを観察するのと、カヌーにのって川の流れに乗って、同じものを観察するものとでは見え方が違う。人間は身体的な反射能力によって、その場で見易い系を選らんでいるというものです。二つの座標系の間では相互に変換が可能です。 このように見ると病理や治療としては、単純な刺激反射系だけでは、見えない現象が病状としてとらえられたようで、医学に一大変革に貢献しました。 これが可能なのは 彼はこれを生命という神秘的な能力として最後は片づけようとしていますが、読んでいて、ここで一たんたちどまり、力学的な階層で考えることは、いまの情報通信の時代において、一層大切なとらえ方であると直感しましす。 人間身体レベルでの知覚と運動を備えた機械 (たとえば自動運転車など)の発想が一方にあってもよいと思えるからです。 

 今の機械は、単純に人間の能力の延長で、その能力を、直線的に大きく越えることに価値と目的を是認し、この方向での科学技術的な装備実現として、文明社会での生存を競います。  大まかにみて、航空機のように、高速輸送は、それでよいとも見られますが、自動運転車のような分野は、人間感覚に調和する機械かなあと感じます。 将棋や囲碁の話題で、世の中がIoT AIによって、人間機能に勝ることを喧伝しています。 多分ある機能において勝ることはよ確実ですが、事業の企画や、社会生活での価値や願望は人間(生命)からの発源意外ではありえないものです。 人間が機械に命じないかぎり、ものごとが始まらない。そういう視点でこれからの文明を考えていくことの意味を、この本が教えています。 ところで、ふとこの本の出版が、そういえばヒットラーの時代であったこと、この時代に、フロイドやハイデガーなど、世界に頭ひとつぬきんでいたこのような卓越したドイツであったことに、文明のもつパラドックスをみるおもいであります。

そういえば、平昌冬季オリンピック、ドイツが台頭していますね。

 

徒然こと2  223日のarchives 7点です。ご覧ください。

1.    No 321Venetian Sehnsucht

https://www.youtube.com/watch?v=D-zDwf50T6U

 

2.    朝日記170223 新しい音楽絵画no 366early spring 2017と今日の絵

http://blog.goo.ne.jp/gooararai/e/75762e86d10d5b5187b219472c29b284

 

3.    no 366early spring 2017Variation

https://www.youtube.com/watch?v=6p20mjpuIiM&feature=share

 

 4.    no 366early spring 2017マイ ムービー

https://www.youtube.com/watch?v=0oXgCxxRSyU&feature=share

 

 5.    No 198Goodbye2013Ohyama(Bolero version)

https://www.youtube.com/watch?v=DYdE9VCnmog

 

 

 6.    朝日記150223  「私の話は嘘である」ということを数学は証明できるかというお話と きょうの絵

http://blog.goo.ne.jp/gooararai/e/d1cacb2916d90b1c846537bac7112f5a

 

 

 7.    朝日記130223 論説『オピニオンの発信に関する切り口と事例について』

http://blog.goo.ne.jp/gooararai/e/78a70e48f32ea925eed788b7ea664920

 

~~~~~友人とのコメント交流 2024/7/6転載~~~

八尾徹さんとの交信 (あらいやすまさ)2018-04-07 22:40:56本朝日記にもとづく 八尾 徹さんのコメント交流

① arai to yao letter
八尾 徹様
 八重桜のころは決まって春の嵐です。気温の差もおおきいのでご自愛ください。
 さて、
 もしかしたらすでにお送りしたのと繰り返しなっている懸念がありますが、以下の朝日記を
ご参考までに 送ります。 先日の話題のEuler系とLagrange系の意識での転換についてに
関連します。ここではヴァイツゼッカーの問題意識との関連を述べたものです。
  記

朝日記180223  ヴァイツゼッカーのゲシュタルト・クライスを読むことと、過去の2月23日朝日記と今日の絵
2018-02-23 20:15:39 | 絵画と哲学
朝日記180223  ヴァイツゼッカーのゲシュタルト・クライスを読むことと、過去の2月23日朝日記と今日の絵

荒井康全 2019/4/7


② yao to arai letter;

荒井康全様

朝日記を再送いただき、ありがとうございました。
あらためて詳しく拝読し、お話されたことがよく分かりました。

環境の変化に合わせて知覚と運動の一体環のズーミングを
変えていくという捉え方は、正に今後の自動運転や介護ロボット等
各分野で重要になっていくでしょう。
ダイナミックシームレスズーミングと言った方がよいかも知れませんね。

荒井さんの仰る通り、流体力学での二つの座標系の切り替えを逐次瞬時に
切り替えて対処していくのが、人間や生き物の動作でしょう。
今後のAIロボットにそのような機能が組み込まれることが大切ですね。

このご指摘をズバリとされたことに共感を覚えました。
ありがとうございました。

お風邪を軽くみないで、くれぐれもお大事になさって下さい。

                   2018. 4. 7 八尾 徹
                   回顧雑感

(ザクロの実 2010)

 以上。

 

 


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八尾徹さんとの交信 (あらいやすまさ)
2018-04-07 22:40:56
本朝日記にもとづく 八尾 徹さんのコメント交流

① arai to yao letter
八尾 徹様
 八重桜のころは決まって春の嵐です。気温の差もおおきいのでご自愛ください。
 さて、
 もしかしたらすでにお送りしたのと繰り返しなっている懸念がありますが、以下の朝日記を
ご参考までに 送ります。 先日の話題のEuler系とLagrange系の意識での転換についてに
関連します。ここではヴァイツゼッカーの問題意識との関連を述べたものです。
  記

朝日記180223  ヴァイツゼッカーのゲシュタルト・クライスを読むことと、過去の2月23日朝日記と今日の絵
2018-02-23 20:15:39 | 絵画と哲学
朝日記180223  ヴァイツゼッカーのゲシュタルト・クライスを読むことと、過去の2月23日朝日記と今日の絵

荒井康全 2019/4/7


② yao to arai letter;

荒井康全様

朝日記を再送いただき、ありがとうございました。
あらためて詳しく拝読し、お話されたことがよく分かりました。

環境の変化に合わせて知覚と運動の一体環のズーミングを
変えていくという捉え方は、正に今後の自動運転や介護ロボット等
各分野で重要になっていくでしょう。
ダイナミックシームレスズーミングと言った方がよいかも知れませんね。

荒井さんの仰る通り、流体力学での二つの座標系の切り替えを逐次瞬時に
切り替えて対処していくのが、人間や生き物の動作でしょう。
今後のAIロボットにそのような機能が組み込まれることが大切ですね。

このご指摘をズバリとされたことに共感を覚えました。
ありがとうございました。

お風邪を軽くみないで、くれぐれもお大事になさって下さい。

                   2018. 4. 7 八尾 徹
                   回顧雑感





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